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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第二章 幼少期編
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魔王城と運命の出会い

投稿2連発

1投目

「お城?」

「ええ。お城よ。あなたも3歳になったんだし、こちらから魔王陛下にご挨拶しないとね」


 3歳になってしばらくした頃、オレは母さんに連れられて魔王城に来た。

 魔王城は3歳以下の子供は入れないらしい。

 まぁ子供なんて何するか分からんしな。



--------------------



 というわけで、今オレは母さんに手を繋がれて門の前に立っている、のだが……

 この城、間近で見るととにかくデカい。

 門も例外ではなく、見上げるこちらの首が痛くなってしまうほどだ。


「こんにちはリーデル殿!」


 門の前に来てすぐに衛兵に話しかけられた。

 街を巡回している兵士よりも立派な装備をしている辺り、位も高いのだろう。


「こんにちはバーズさん。奥さんとは仲良くしてますか?」

「いやぁ相変わらず尻に敷かれていますよ。昨日も飲みに行って帰るのが遅くなっただけで機嫌を損ねてしまいましてな」


 母さんは衛兵と軽い世間話をする。

 信じられない事だが、母さんは街の人全ての名前と環境を覚えているようで誰に対しても親しげに接する。

 これは慕われますわ。


「おや、そちらが話に聞く娘さんですかな?」

「こんにちは。リーシアです」

「可愛らしい娘さんですなー」

「勿体ない言葉です」


 オレが褒められると母さんも嬉しそうに微笑む。

 いつもの光景である。


「本日は陛下との謁見でございましたな。話は聞いております。どうぞお通り下さい」



--------------------



 人族だった頃、魔王という名前は恐怖の対象だった。

 そんな魔王の住む魔王城なんて、それは大層恐ろしい城なんだろう、とか思ってた。

 だが現実は違った。

 広大な城内には多くの窓から光がふんだんに取り入れられ、廊下の隅にもチリ一つ見当たらない。

 装飾品の一つ一つが豪華で、それでいて主張しすぎず、品の良さを感じさせる。


 これほど見事な城が他にあるのだろうか。


 オレと母さんは廊下を歩いていく。

 途中、色々な人とすれ違った。

 兵士、学者、官僚、商人……

 母さんに挨拶し、オレにも自己紹介をしてくれた。

 でも10人を超えた辺りから、全く覚えられなかった。


 そうしてある部屋の前にたどり着いた。

 その部屋は魔王城の最上階に位置する。

 誰の部屋かは推して知るべしだろう。


 見張りの兵士が中に母さんの来訪を伝えると、扉が内側から開いた。


「どうぞお入りください」


 中から顔を出したのは少し疲れた表情をした女性だった。

 チラリと指を見てみるとペンだこが潰れていた。

 文官だろうか。


 中はそれほど広くない部屋……と感じたが、それは錯覚だったようだ。

 実際は広い部屋なのだが部屋中至る所に書類が積み上げられており床が殆ど見えない。


「忙しい中ごめんなさいね」

「いえ」


 母さんはその女性に声をかけながら部屋に入った。

 オレはそれに続く。


 書類の山の中にも最低限の足の踏み場は残されており、それが道のように部屋の奥の机に続いていた。

 その机にこの部屋の主が座っていた。


「ご機嫌麗しゅう。魔王陛下」

「リーデルか」


 魔王陛下はそこでやっとオレたち親子に気づいたらしく、メガネを外して書類から顔をあげた。


「お時間を作っていただき恐悦至極ですわ」

「なに、友人に会うのだから当たり前だろう。お前たちも休憩しなさい」


 魔王陛下が指示をすると、部屋の中にいた数人の文官がフラフラと部屋を出て行く。

 文官って机に座ってるだけだから楽だと思ってたけど、以外と体力のいる仕事なんだろうなぁ。

 何せこの書類の量だ。

 陛下は流石に疲れを見せていないが。


「お前に陛下と呼ばれるのはむず痒い。いつも通り呼んでくれ」

「ふふ。分かりましたゴーシュさん」


 そこで魔王陛下はオレに視線を移す。


「息災だったか?リーシア」

「は、はい!お久しぶりです」

「そう緊張するな」


 いや、そうは言われましてもね…

 いつもは偶に来てくれるおじさん、ぐらいに思っていたけど、こうして見ると立派な魔王陛下なのだ。

 そらぁ緊張もしますわ。


「リーシアももう3歳か」

「ええ。最近は街の子供と一緒に森の中を走り回るお転婆さんになってしまって」


 母さんはフフと笑う。


 訂正しよう。

 ダースは考えなしに森を歩くので目を離せないだけだ。

 この前も巨大な蜂の魔物、バトルビーの巣を突っついてバトルビーの群れに追いかけ回された。


「元気なことはいいことだ。そうだ。実はリーシアに会わせたい者がいてな。そろそろ来ると思うんだが……」

「オレに………?」

 

 その時ドアが何の前触れもなく開いた。

 ノックも無しかよ、と思って後ろを振り向いたが……その瞬間、時が止まった。


「参上したぞ、親父殿」


 現れたのは、赤い髪の少女、いや超のつく美少女だった。

 パッチリとした目に長い睫毛。

 端正な顔立ち。

 幼さの中にも妖艶さを感じさせる赤い唇。


「来たか。ミリアーナ」


 それがオレと、ミリアーナ・スカーレット・ヴェルヘルムとの出会いだった。

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