呆気ない幕切れ
「いっ………てぇ……」
吹き飛ばされた私は、そのまま外壁に叩きつけられた。
頬をさすろうとしたその瞬間、目の前に現れた人影に胸ぐらを掴まれ、宙に吊し上げられる。
「余所見をするとは、良い度胸じゃのう」
「ぐっ……」
やべぇ。
相当怒ってらっしゃる。
ていうか私とミラ、身長差ありすぎ。
足が地面につかないんですけど。
「降参だ!降参!」
「なっ!?お主!」
『き、決まったぁぁー!優勝はミリアーナ選手!』
私の突然の降参宣言に驚いたミラの拘束を振り切り、私は入ってきたゲートに走る。
「リース、お主!」
「すまん!この埋め合わせは必ず!」
私はそれだけ言ってゲートをくぐり、退場したのだった。
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確かアイツがいたのはこの辺だったな……
あの聖神教の男がいた付近の観客席の裏まで来た。
あの男はどこだ?
聖神教がいるのは別におかしな事ではない。
ゾディアス王国は宗教の自由が認められている。
しかし布教にはあくまで王の許しを得なければならず、その政治的な力はほとんどない。
やはりそこが大きい。
大陸の西側諸国の多くは政治の中枢に聖神教の関係者が入り込んでいるため、聖神教の力が強い。
その余地がないゾディアス王国では聖神教は力を振るえない。
よってあまり布教が活発ではない。
それだけに、この国の教徒は熱心で清廉な人物が多いが……
一方、さっき見た男、あの男の紋章は青だった。
聖神教では色で階級が決められており、青はその中でも上から3番目になる。
相当高位の神官のはずだ。
そんな人物がゾディアス王国にいる。
きな臭い匂いがプンプンする。
「まだ用意できんのか!」
「っ!」
大きな声に私は身を震わせる。
曲がり角の向こうで誰かが話しているようだ。
私はそーっと角の向こう側を覗き込んだ。
さっきの男が誰かと喋っていた。
その姿はあまりよく見えないが、聖神教の関係者に違いない。
「……で……ので、再びの………が…ます」
「だからそれを早くせよと言っているのだ!」
さっきの男は見たところ司祭か司教って感じだな。
司教の男が何かに怒っているようだ。
あいにく、その話し相手の声は小さくて聞き取れない。
「何の話をしてるんだ……?」
「………です……で、後………下さい」
「ふざけるな!私がどれだけ貴様らに投資したと思っておるのだ!大体、貴様らがしくじりおるから余計な手間が増えておるのだろうが!貴様らがミスをしなければ今頃は……」
「何をしてるんですか?」
「……なっ!?」




