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外道ノ転生  作者: 西の雷鳥
第五章 闘技大会編
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リースVSジーナその3

 4属性複合魔法『極彩』は私の本気。


 精霊達の力により4属性の魔力を1つにまとめ、その時に発生するエネルギーすらも取り込み巨大な魔力の塊を形成、上空で分散させ全方位から降り注がせます。

 4属性の精霊を同時に纏うことが出来るからこその極大魔法です。


 上空で虹色の球が弾け、魔力が尾をひく流星のように次々と闘技場に降り注ぎます。

 本来なら大軍に使うような魔法ですが、その対象はリースさん1人。


 逃げ場はありません。

 必然的にリースさんは魔法で防御します。

 しかし魔力弾全てが着弾するまでの時間は1分後に調整してあります。

 それまで保つでしょうか?


 最初の魔力弾がリースさんに迫ります。

 しかし魔力弾はリースさんの手前で何かにぶつかり霧散します。

 ええ、思い通りです。


 魔力弾は間髪いれずにリースさんに殺到します。

 衝撃で地面が抉れ、土埃が舞います。

 リースさんの姿はすぐに見えなくなってしまいました。


 一度発動した『極彩』は止まりません。

 あとは魔力弾が全て無くなるのを待つのみです。


「リースさん……」


 これが私の全力です。

 全力を出すと言った手前、この技を使わずに試合を終わらせる事は出来ません。

 この破滅的な威力を持つ魔法を……


 しかし不思議と心配する気持ちはありません。

 リースさんなら……

 私の師匠なら……


 最後の魔力弾が土埃に吸い込まれ、『極彩』が終わりました。

 そしてそれと入れ違いになるように飛び出してくる白銀の少女。


「ジーナ!」

「リースさん……」


 ええ……信じてましたよ。

 あなたなら無事だと。


 リースさんは全身ボロボロ。

 地竜で作った防具も殆ど原型をとどめていません。

 しかしその眼の戦意は衰えず、剣を構えて私に突進してきます。


「これで終わりだぁ!」

「そうですね……」


 今の私は、武器も持たず、『切り札』の魔法に全魔力を費やしたばかり。

 そう『極彩』までも耐えきられると私には勝ち目はありません。

 リースさんもそう思っているはずです。


 しかし私は信じていました。

 師匠の力を。


カキィン!


「何っ!?」

「無駄です」


 私は鎧と服の隙間から取り出した短剣でリースさんの剣を受け止めました。


 私は信じていました。

 リースさんなら『極彩』を耐え抜き、勝利を確信して近接戦を挑むと。


 さっき魔力を全て注ぎ込むとリースさんに申し上げましたが、実のところまだ魔力は残っています。

 そう、この時のために。

 ここで勝負を決めるために。


 私は空いている左腕でリースさんの右腕をガシッと掴みました。

 多分これであの防御魔法は使えないはず。


「ヒィル君お願い」

『おうよ!』


 炎の精霊ヒィル君の準備は万端。

 あとは無防備なリースさんに魔法を撃ち込むだけ。


「チェックメイトです」

「それはどうかな!」

「っ!?何!?」


 その時、何かが私の肩を貫きました。

 これは……

 魔弾!?

 しかし目の前のリースさんは何も……!?


「しまっ!?」

「チェックメイトだ」


 思わず力を緩めた私の拘束をリースさんは振り切り、そして剣を持った右腕を振るいます。

 私の意識はそこで途切れました。



--------------------



『しょ、勝者はリーシア選手です!』


 歓声が湧き上がる中、私はへたり込む。

 はぁ……危なかった。


 何なんだ最後のあの魔法!

 ツルギの時並みに死ぬかと思った……!


 それにしても、やっぱりジーナは魔力を残してたか。

 嘘つきやがって。


 本命は、魔法を耐え切り突撃してきた私に対するカウンターだという事は予想できた。

 実際、ジーナは隠し持っていた短剣で私の攻撃を受け止め、腕を掴み『絶空』を封じた。

 あれは掴まれてると発動できないからな。

 そして魔法で止めを刺そうとした。


 だから私も一計を案じた。


 土煙から飛び出す前に、最後の魔力を振り絞りに振り絞り、『我空』を発動。

 ポケットの魔弾を1発だけ自分の周囲に浮かせておいた。

 ジーナに腕を掴まれた瞬間、魔弾を操作し肩を撃ち抜いて拘束を解いたのだ。

 あとは剣の柄で思い切り殴って意識を刈り取るだけ。

 嘘ついたお仕置きだ。


「ジーナ、強かったよ……」


 多分聞こえてないと思うが、目の前で倒れる少女にそう言う。

 最後の最後こそ読み合いで勝利できたが、ジーナは終始私の想像を超えていた。


 ツルギも私も人の事言えないが、秘密の切り札が多すぎだな。

 大会終わったら、一度手の内をさらけ出し合った方がいいかも……

 なんかこの先の信頼関係とか心配だ。



--------------------



「スカーレットさん、すごい試合でしたね!」

「ええ先生。私、思わず見入ってしまいました」


 妾の横に座ったエルフの女性、メイヤー女史が興奮したようにそう言う。

 うむ、妾もそれには同意じゃ。

 今の試合は本当にレベルの高い素晴らしい試合じゃった。


「決勝戦の相手はリーシア選手に決まりましたね!8歳くらいに見えるのに強いですね」

「ええ」


 リースは8歳ではなく10歳なんじゃがのう。

 まぁ訂正する事もないじゃろう。


「スカーレットさん、大丈夫ですか?リーシア選手強そうですよ?」

「私は学園の代表としてここにいますから。負けられませんね」

「そ、そう気負わないで下さいね!」

「元々私が言い出して生徒会で決議されたんですよ。私が責任を果たさねばなりません」


 方便じゃがのう。

 別に生徒会なんぞどうでもよい。


 対戦相手はリースじゃ。

 ふふふ……腕が鳴るのぅ。


「それより先生、例の候補の件ですが……」

「ええ。比較的年齢層の高いこの闘技大会で丁度良い人が見つかるかは不安でしたが、目星はつけてあります」

「それは良かった」


 なら一安心じゃ。

 その候補というのは聞かずとも分かる。

 妾の思った通りに事が運んどるのう。


『悪巧みしてる顔してますよ』


 妾の斜め後ろに立っているアンナの声が頭に響く。

 先ほど、リースの様子を見に行かせた時は一度メイド服を脱いだようじゃが、今はいつもの姿じゃ。


 こやつのメイド服以外の姿なぞあんまり見た事なかった故、見たかったのぅ。


『全部聞こえてますが』


 言っておるんじゃよ。

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