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ガリウスの救世者  作者: たぷから
第6部「轟鳴の滅殺者」
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第2章 4-2 表裏

 と、何件かの屋台が肉を焼き始めた。


 近づくと、羊や山羊の肉を焼き、同じく焼いた野菜と共に薄焼きパンへ挟んでいる。ライバが一つ、買った。四ンバリンだった。


 香辛料の香りがきつく、食欲が出るには慣れが必要と感じたが、まず一口。

 「……うん、うまい」

 ライバがそう云った瞬間、顔をしかめて口を開けた。

 「どうしたの!?」

 すわ、毒かと思ったが、

 「……辛い! カッッラ! あ……」


 そのまま、見る間に額より汗をダラダラと流しだす。よほどに辛いようだ。唐辛子粉がふんだんに使われている。スティッキィは買うのをやめた。


 隣の屋台の若者が笑いながら、水を売ってくれた。水は、カップ一杯で十五ンバリンである。


 腹ごしらえを終えた二人は、炎天下の元、街を探索したが、どうにも暑さ……いや、熱さ(・・)がたまらない。服屋へ入り、こちらの人間が来ている麻地のふわりとした女物の服を買い、日差し避けの頭からかぶるフードも買った。顔も見え辛くなり、ちょうどよい。


 服は、ひとそろいで五十七ンバリン。

 まったく減らない。

 重い荷物を抱えながら、二人はウガマールの街並みを、一通り見て回った。

 とにかく、礼拝所というか、神殿が多い。


 覗いてみると、人々が好きなように訪れ、祈りを捧げている。神殿により、様々な神がいるという。竜の国と同じ竜神も、信仰が残っている。


 ひとつの小神殿に、神官が数人いた。大きな神殿では、統括の神官とその部下の複数の神官がいた。二人は、とある神殿で話を聞いた。


 ウガマールには、奥院宮(おくいんのみや)を含む大神殿があり、その末端の小神殿が百近くあるという。人口は十万を超え、旧連合王国の都市国家群の中では、最大の規模を誇っていた。


 なお、ウガマールにおける神官の階級は、以下のとおりである。

 まず、奥院宮の、隔絶された世界から。


 全ウガマール神域奥院宮大密大秘神官長

 大密神官

 密神官

 秘神官

 秘神官補


 通常、ただ単に神官長と呼ばれるのが、「全ウガマール神域奥院宮大密大秘神官長」である。クーレ神官長がその地位について、二十一年になる。五十七歳でその任を負い、現在七十八歳となる。この世界においては、もはや仙人に近い長寿だ。また、クーレ神官長は珍しく純粋なストゥーリア人で、千二百年を数える長い奥院宮の歴史の中にあっても三人目、四百六十年ぶりという珍しさだった。神官長は年に一、二度、あるいは数年に一度ほどしか表には出ず、奥院宮のさらに奥よりウガマールの全てを支配している。かつて連合王国の一部だった時代でも、国王を凌ぐ権威と権勢を誇っていた。


 次に、神官長を補佐する立場の「大密神官」がいる。これは複数いるのが習わしで、その数は定められていない。現在は、先祖がバスマ=リウバ人貴族である南方人種のムルンベ大密神官を含めて七人がその責を担っている。その中で筆頭であるムルンベ大密神官は、五十八歳になる。そろそろ、神官長の交代があってしかるべきと思っているが、彼の野望はそれだけではない。


 次が、現在、四十二人いる密神官だ。何人かはウガマールを護るガリア遣いや強者衛兵(つわものえいへい)である神官戦士の教導騎士を兼ね、神殿表(しんでんおもて)の司教に匹敵する。


 次が、奥院宮で通常の神官である秘神官となる。カンナはこの秘神官の位にいる。神殿表の司祭に匹敵する知識と祭祀権をもっているが、奥院宮では普通に業務や儀式をこなす一般神官にすぎない。奥院宮に三百人ほどいる。


 秘神官補は、秘神官となるべくウガマール全土より集められた特別な学生たちを指す。人数は、定まっていない。現在は三十人ほどいるようだ。


 そして、一般人が日常的に接し、ウガマール全土に派遣され、また政務も取り仕切る聖俗合わせた権力者である、神殿表の神官たちが以下のとおり。


 枢密司教(大密神官を兼ねる)

 密司教

 司教(密神官と同格)

 司祭長

 司祭(秘神官と同格)

 神官

 神官補


 ウガマール全土へ派遣されるため、人数は奥院宮の数倍いる。また奥院宮より階級が細かく別れて設定されている。


 筆頭位である「枢密司教」は、総理大臣と考えると良い。他の都市国家でいう総督に匹敵する。慣例的に大密神官の中から選ばれる。ムルンベ大密神官が、いまその任にあってウガマールの表側を支配している。


 枢密司教が総理大臣なら、「密司教」は各大臣に相当する。神殿表より奥院宮へ進む者もたくさんいるが、奥院宮と関わりなく、引退するまで純粋に表の神官として職務を務める者にとっては、最高位がこの密司教となる。


 「司教」は事務方の最高位である。あちこちの役所でいちばん偉い。必然、人数も限られるが、地方の役職も含まれるので、司教の中でもヒエラルキーがある。当然、首都であるウガマールの中央政府に務める司教が最もステイタスが高い。奥院宮の密神官はこの位に匹敵するため、地方ではかなり大きな権限を有する。

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