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ガリウスの救世者  作者: たぷから
第3部「北都の暗殺者」
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第2章 1-2 暗殺ゲーム

 「街道筋の盗賊どもといえば、背後で操っているのはそのグラントローメラではないか。相変わらず、自分で自分の荷物を奪って片や保険金をせしめ、片や奪った食糧を闇で高値で売りさばくなどと……やることがせこい」


 「まったくですな」

 バーケンの声には何の澱みもない。仮面は、そんなバーケンを逆に信用しているのだった。


 「しかし、その目論見もカルマのおかげで御破算ということですか」

 「そうなりますな」

 甲冑にバーケンがうなずく。


 「で? それとメストと何の関係が!?」


 仮面の苛立った声がさらに高くなる。仮面は、バーケンの勿体ぶった性格をあまり好んではいない。


 「連中、ここへくる前にパーキャスへ寄ったそうなのですが、ガラネルのバグルスも、依頼によりメストが派遣したシロン、マウーラ、ヴィーグスとも、皆殺しにしてくれたということですぞ」


 バーケンの言葉に、仮面と甲冑が無言となった。シロン(と、ついでにヴィーグス)は仮面の、マウーラは甲冑の配下だった。


 「おまけに、このスターラで『フルト』どもの相互組織を作ろうというのだから、我々の利権を脅かしかねませんぞ」


 「云われんでも、わ、分かっとる!!」


 仮面が興奮して怒鳴り声を上げた。バーケンも、この人物の手堅さを信用していたが、短気な性格は嫌いだった。ぜったい、この性格のせいで足をすくわれ、いつか組織ごと滅亡すると観ていた。


 「メ、メスト筆頭のガリア遣いが……カルマごときに……!!」

 仮面の右手がぶるぶると震えた。彼にとっては、稼ぎ頭であったシロンを失ったのが痛い。


 「に、二年近くもシロンをあのような最果ての島に派遣させておいて……前金ではまったく足りない……大損だ……大損だぞ……!」


 で、あった。


 「ガラネルのバグルス……ギロアといいましたか……そやつも殺されたのでは、ガラネルも穏やかではないでしょう」


 置物のようだった甲冑が初めて、ガシャリと音を立ててバーケンの方を向いた。

 「そう……だと思います。ブーランジュウが、仇討ちをと息巻いておりますから」

 「ブーランジュウ?」

 「もう一匹の、ガラネルの使うバグルスですよ」

 「ああ……」

 甲冑が、知っているような、知らないような生返事をした。


 「バッ、バグルス風情に云われんでも、我々が、責任もってカルマなんぞ叩きつぶしてくれるわ! な、なめおって! そのための招集なのだなっ!?」


 「左様」

 バーケンが、ゆったりとうなずく。

 「……で、どのような方法で殺るのだっ!?」


 仮面が息を荒らげる。いまにも自分でつっかかって行きそうな勢いだ。


 「お待ちください。これは、そもそも誰の依頼になるのでしょうか?」

 甲冑が右手を上げて仮面を制した。それはもっともで、仮面も黙る。


 バーケンもややしばらく黙っていたが、仮面がまたぶるぶると震えだしたので、その覆面で見えない口を開いた。


 「これは、我々メストが自主的に行うべき案件であると考えますぞ。誰からの依頼でも無く……でなくば、メストの面子が保てません。このスターラの裏世界で、筆頭を潰されて黙っていては、末端にしめしがつかない。ここは我等三人がそれぞれ依頼主となり、金を惜しまず、次代のメスト筆頭の座と多額の賞金をかけて、手駒の暗殺者どもを繰り出し、カルマを何がなんでも葬り去らねばなりませんぞ」


 「ほう……」

 仮面が、素直に感心して何度もうなずく。


 「面白い。賞金首として裏社会の連中に狙わせる……なかなか面白い『お遊び』だ」


 「私も、依存はありません」

 甲冑も賛同したので、バーケンもうなずいた。


 「では、相手はサラティスのカルマ四人。筆頭がアーリー、次がマレッティ……カンナというのは、一番の新人ですが、盗賊共を壊滅させたのはこのカンナというやつです。それをお忘れ無く……あとは、既にスターラ入りしており、チョロチョロしていたモールニヤというやつ。しかしこやつ、どうも偽名で動いていたようで、まだ面が割れていない。早急に、正体を探っておきます」


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