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ガリウスの救世者  作者: たぷから
第2部「絶海の隠者」
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第3章 1-5 合流

 「……おおおお前も竜かあああああ!!」


 球電をアーリーめがけ飛ばしつける。アーリーは自ら火炎をまといそれを楯としつつ斬竜剣を出し、球電を弾き返した。プラズマが弾け、爆発するも火炎が護る。


 「りゅううううめえええええ!!」

 カンナが坂を転がるように駆け、黒剣を振りかざす。しかし、アーリーは斬竜剣を消した。


 「……歯を食いしばれえええええ!」


 強烈な右ストレートが、黒剣がアーリーへ届く前にカンナの右頬へ突き刺さった。メガネもぶっとんで、カンナは錐揉みに回転しながら後ろに飛んで坂を転がり登った。


 すかさずアーリーが大股で近づき、立ち上がろうとしたカンナの脳天へ豪快な「げんこつ」をくれてやる。


 カンナは眼から火花が散って、天が回った。


 そのカンナの襟元を両手でつかみ、アーリーはカンナを立ち上がらせた。いや、そのまま持ち上げ、鼻と鼻がつっつくほど顔を近づけ、


 「自分を保てと云ってあるだろう!! なんというざまだ、カンナカームィ!!」

 ガッと、額を当て、アーリーの大喝。


 「このアリナヴィェールチィとの約束を忘れたか!!」

 カンナの眼の光が消え、きょとんとして、アーリーの紅い瞳を見つめた。


 「……アーリーさん?」

 アーリーはほっと息をついて、カンナを坂道へ下ろした。カンナがふらつく。

 「あ、あれ……?」


 頭が猛烈に痛い。

 「メガネを拾ってこい……まったく」


 カンナは頭をおさえつつ、目を細めて周囲を見渡したが、どこにあるのか分からない。アーリーがみつけてくれたので、道から外れ、それを拾った。少し曲がっているようにも思えたが、手で調整してかけた。


 瞬間、丘の下で町を破壊しながら怒りで轟々と吠えている巨大竜が目に入る。

 「アッ! アリ! アーリー! ア……!!」


 ことばにならぬ。町は竜の吐く高温蒸気の息で蒸されて白煙を上げ、踏みつぶされ尾でなぎ倒され、壊滅していた。


 「カンナ……どうやって倒す?」

 「あれをですか!?」

 「そうだ」

 「あんなもの、倒せませんよ!」


 「では、どうする?」

 「おっぱらうしかないんじゃないですか!?」

 アーリーは目を丸くしてカンナを見つめた。なるほど。


 「……追っぱらう……か」

 笑ってしまった。カンナが、何がおかしいのかと不審がった。


 「そうだな。あんなものを倒そうとした私が愚かだった」


 うまくマレッティがギロアを殺せば、支配を失ってどこかへ行ってしまうかもしれない、という考えもあった。


 「では、どのように追い払う?」


 「か、顔の回りでパチパチやるしかないんじゃないかと……ほら、虫がまとわりついたら、いやじゃないですか」


 「虫……か、我々は」

 アーリーは先程ハエみたいに払われたカンナを思い出し、苦笑した。


 「いや、その通りだ。あいつに比べたら……な。では、それで行こう。あの高さまで、先程のように飛べるか?」


 「わたしがですか? とべませんよ……」

 アーリーはやや驚きを交えてカンナを見た。記憶がないのか。


 「では、足元から攻撃を飛ばせるか?」

 「や、やってみます……」

 「あいつの吐く息に気をつけろ。火山のごとき高温の蒸気だ」


 カンナは唾を飲んだ。もう、アーリーがぐちゃぐちゃに破壊された町めがけて、走って向かっている。カンナは急いで後を追った。


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