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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第三章 夏休み編
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69話 旅行⑤

「さって、今日はどうしようかなー」


みんなが食べた朝ごはん―って言っても昨日の残りのカレーだけど―の片付けを終えた僕は伸びをしながらそう言っていると


「まぁ、日差しが強いところを避けたらいいんじゃないか?ほら?ここの商店街だったら通路にも屋根があるみたいだし、どうだ?」


って健吾が前もって調べてきていたのかな?何かの情報が印刷されたっぽい紙を見ながら僕にそう聞いてきたんだよね。


「うん、僕は全然いいんだけど……、ほんとにいいの?」


健吾はここにくる直前に僕に宣言した通り、この旅行中出来るだけ僕と一緒にいるつもりらしいんだよね。健吾は健吾でしたいことがあったはずなのに……。健吾にあの話をしてしまったことを軽く後悔しつつそう僕は健吾に問いかけると


「ん?あぁ、京は気にしなくてもいいんだよ。京と一緒にいられ……じゃなくて、俺がしたことをしてるだけだからな」


って健吾は笑いながら僕にそう返してくれたんだ。何か言い直したような気がするけど、それよりも健吾がいつも通り気を使ってそう言ってくれてるだけだよね?だから僕は


「……別に来るときに言ったことは気にしなくていいんだよ?」


下手に約束しちゃったから断れないのかと思ってそう聞いたんだけど、健吾は


「だから気にしなくてもいいって言ってるだろ?ほらっ、ここでいいんだったらさっさと行こうぜ。時間は有限なんだぜ?」


って言いつつ僕の手を掴んで歩き始めたんだ。

僕はそれに引っ張られる形で出発したのであった。


…………

……



「さて?これからどうしようか?」


商店街に着いた後、健吾が僕の方に振り返りながらそう聞いてきたんだ。もう調べているものだと思った僕は


「え?もしかしてノープラン?」


って聞き返しちゃったんだ。すると健吾が頭の後ろの方をかきながら


「あー……。一応決めているって言ったら決めているが、京の意見も聞きたくてな。ほら?とりあえず場所だけ決めて出てきてしまっただろ?」


って言ってきたんだ。確かに出てくるときに決めたのってこの商店街にするってことだけだったもんね。まぁ、適当にお店を見て回るって感じでいいかな?そう思って答えようと思ったんだけど、その前に……


「うん、そうだけど……。その前にそろそろ手を放してもらえないかな?」


ってお願いしたんだ。出発してから今までずっと健吾と手をつないで歩いていたんだよね。人とすれ違う度に見られてすごく恥ずかしかったんだ。健吾は健吾で僕の手を握ったまま僕の半歩前をずっと歩いていたから手を離してっていうタイミングがなかったんだよね……。まぁ、僕がコケないくらいの速さで歩いていてくれたから少し駆け足で健吾の横に並べばよかったんだけどね……。

僕に指摘されて漸く僕の手をつないだままだったということを思い出したみたいで、健吾は


「あっ、あぁ。すまん。嫌だったか?」


ってパッと僕の手を離してから僕の様子を窺うように聞いてきたんだよね。別に健吾に手を持たれるのは中学のときでも時々あったから気にしなくてもいいのにね?まぁ確かに恥ずかしかったりはしたけど……。そのことを言おうと思ったんだけど、口を開く前に健吾の不安そうな顔を見た僕はプッと笑ってから


「嫌だったらもっと早く離してって言ってるから大丈夫だよ?それじゃあ、折角来たんだし、順番に見ていかない?この商店街に何があるかあるか僕はちゃんとは知らないしね」


って健吾に言ったんだ。僕がまるで気にしていないことに対して健吾は安心したようなガッカリしたような表情を浮かべながら


「……あぁ、そうだな。時間も有限だし、早速見ていくか」


って言った後、もう一度頭をかいてから商店街の方へ歩き始めたんだ。健吾が浮かべた表情の理由はわからなかったけど、もう気にしている様子もないみたいだし、気にしなくても大丈夫だよね?来たからには楽しまないとね。何か面白いものが見つかればいいなって思いながら僕は健吾に追いつくために駆け出したのであった。


…………

……


「……あれはないな」


「あはは……。大丈夫?」


商店街の中を健吾と2人で散策していると、ふとアイスクリーム屋さんを見つけたんだよね。そこで地元名物アイスってのがあったんだけど、どう考えても食べ合わせがが良くなさそうな組み合わせだったんだ。どうしてこれを組み合わせようと思ったんだろって思いながら見ていると、健吾が食べたいのか?って聞いてきたんだよね。健吾には悪いけど、とても食べたいとは思わなかった僕は断ったんだ。そしたら健吾が、それなら自分で食うって言い出して買っちゃったんだ。それで一口食べたらすごい渋い顔をしていたんだよね。余りにもすごい顔だったから怖いもの見たさに一口貰ったんだけど、やっぱりあれはなかったよ、うん……。それで健吾にももう食べるのやめた方がいいよって言ったんだけど、健吾は頑として僕の提案を受け入れずに食べきっちゃったんだ……。何を健吾をそこまで駆り立てたのかはわからないけど、すごい剣幕だったとだけ言っておくよ……。

それで、食べ終わってからは顔を微妙に青ざめながらしきりに「あれはない」って呟いていたんだよね。だから僕は「大丈夫か」って聞いたんだけど、「大丈夫だ、問題ない。それに後悔はしていない」って答えしか返ってこなかったんだよね。だけど、どうみても大丈夫じゃないから何度かまた「あれはない」って呟いたのを聞いた後に「大丈夫?」って聞いたんだ。そしたらついに健吾が


「すまん。少し待っててくれ」


って言って走って行っちゃったんだ。まぁ、かなりキテいたみたいだし、仕方ないよね?

そう思いながら健吾が戻ってくるまでどうしようかと思っていると


「あっ、熱海さん!!」


って大きい声で名前を呼ばれたんだ。名前を呼ばれた方に振り向くと


「やっぱり熱海さんだ。こんなところで会うなんて奇遇だね?」


って、えっと、青木さんだったっけ?がそう言いながら僕の方に小走りで近づいてきていたんだ。青木さんは何ていうか距離が近いんだよね……。だから僕として出来たら距離を離したいんだけど、話しかけられたのに無視するわけにはいかないし……。

そんなことを思っている間に青木さんが僕の近くまで来て


「いやぁ、また会えたらいいなぁって思っていたけど、まさか会えるとはね。これは運命感じない?」


って言ってきたんだよね。相変わらず距離が近かったから僕は思わず一歩下がってから


「あはは……。いやぁ、どうだろうね?」


って苦笑いしながら返したんだ。そしたらまた青木さんが何か言おうとしていたんだけど、その前に昨日も青木さんと一緒にいた人が追いついてきて、


「だからそうやってぐいぐい行くのはやめろって言っただろ。どう見ても熱海さんが困ってるだろ。ほんとごめんね?こいつがいつもいつも」


って青木さんの頭を叩きながらそう言っていたんだよね。毎度毎度頭を叩くのはどうなんだろうと思いながらも青木さんを止めてくれたからお礼を言おうと思って


「いえいえ、このくらいなら大丈夫ですから。えっと……」


名前を言おうと思ったんだけど、まだ名前を聞いていなかったことを思い出したんだよね。それで言葉に詰まっていると向こうもそれに気づいたみたいで


「あぁ、ごめん、そういえば名前を言っていなかったね。谷村(たにむら)遼兵(りょうへい)って言うんだ。まぁ、呼びやすいように呼んでくれたらいいよ」


って名前を教えてくれたんだ。だから僕はすぐに


「ううん。谷村君ありがとう」


って答えたんだ。そしたら青木さんが


「あっ、遼兵、てめっ!俺はまだ熱海さんに名前呼ばれてないのに!」


って谷村君に突っかかっていたんだよね。あれ?そういえば青木さんの名前を呼んだことなかったっけ?昨日のことを思い出しながら首を傾げていると


「それだけお前が熱海さんのことを考えずに行動しているってことだ。ほらっ、そろそろ行くぞ。熱海さんもここには旅行で来てるはずだし、引き止めるのも悪いだろ」


「え?だったら一緒に行けばって、ちょっと待てって、せめてもう少し話だけでもーっ!?」


って谷村君が言ってから青木さんの首を掴んでそのまま去って言っちゃったんだ。それを苦笑いしたまま見送っていると


「京、すまん、またせた。ってどうした?何やら騒がしかったみたいだが……」


って健吾が戻ってきたんだよね。谷村君たちが去って行った方を見ながらそう言っていたんだけど、


「あはは……。でも問題はなかったし、健吾が大丈夫なら行こっか?」


あまり話題にしたくなかった僕はすぐに話を切り上げて健吾を促して歩き始めたんだ。

あの2人が悪いっていうわけではないんだけど、何か忘れているような……、何か心にしこりが残っている気がした僕はそのことを忘れるためにも商店街巡りを楽しむぞと気合を入れなおしたのであった。

ちなみに京と手をつないでいる健吾はうれしはずかしで顔が真っ赤な状態でした。ですのですれ違った人たち人たちに微笑ましい眼で見られていたというわけです。

もちろん京の方に振り返るときは気合で素に戻していましたので、京には気づかれていません。

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