59話 アルバイト①
やっぱり色々と用事が被って急いでるからといって、キチンと練らずにすると碌なことになりませんね。
あっ、この話から第三章です。
ここのある地点で大きく展開する予定です。
「あ、ありがとうございました~」
僕はそう良いながら出来るだけ笑顔になるように意識しながら頭を下げてお客さん見送った僕は、来ていたお客さんが全員帰ってほっと一息つこうとしていたんだけど、
「ほらっ、そこは『いってらっしゃいませ、ご主人様♪』でしょ?ほらっ、京ちゃんしっかりしないと!」
って桝岡に言われ、未だに笑顔だった顔の頬を軽く引きつらせながら
「……ここってそんな店じゃないですよね?」
って何度目したのかもわからない問いかけをしたんだ。だけど、
「でもほらっ、折角京ちゃん目当てで……じゃなかった。こんなメイン通りから外れたような人気の無い喫茶店に来てくれたんだよ?しっかりお客さんが満足してくれるようなサービスをしないと!それにそういうことを言ってる京ちゃんを私が見たいし!!」
っと、もはや隠す気がないような桝岡さんのセリフに僕は
「はぁ……」
っと、フリフリのエプロンがついたメイド服に似た服を着た自分の姿を見下ろしながら溜息をつき、こうなった経緯を思い出したのであった。
――
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「さって、大体のことは決まったことだし、最後に夏休みの練習日の話をするわね。練習日は基本的に毎週火曜日と金曜日の週2回の予定だから、どうしても外せない用事が入らない限り出来るだけ参加をお願いね」
文化祭のことで決めることをほとんど決め終わった真琴が最後にそう言ったんだよね。真琴のことだからもっと多く練習日にされると思っていた僕は
「あれ?週に2日だけなんだ……」
って思わず呟いたんだよね。僕的には余り大きい声は出したつもりはなかったんだけど、真琴の耳にも届いたみたいで、
「えぇ。あたしとしてはもっと練習日を増やしてもいいんだけど、夏休みなのに週の半分学校に来ないといけないのは嫌でしょ?それで委員長と相談したんだけど、さすがに週1じゃ練習量的にも少なすぎるっていうことで週2ってことにしたのよ」
ってしっかり答えてくれたんだ。だから僕もお礼を言おうと思ったんだけど、その前にふと気になった僕は
「そうなんだ。あっ、でも何で火曜日と金曜日なの?」
真琴にそう聞いたんだ。別に他の曜日でも全然いいと思うしね。すると
「月曜は嫌でしょ?それで土日って気分的に出てきたくないじゃない?それで丁度間が空けられる日にちって考えたらそうなったのよ」
って教えてくれたんだ。……火曜日と金曜日になった理由って消去法だったんだ……。まぁ別にいいんだけどね……。
「そ、そうなんだ。うん、わかったよ。ありがとう」
もっと何か理由があるのかなって思っていた僕は想像以上に簡単な理由だったことに対して少し肩透かしを食らった気分になりながらも真琴にお礼を言ったんだ。そしたら真琴は
「何か含みがあるような言い方をするわね……。まぁいいわ。そういうわけでみんなもあたしと京の話を聞いていたと思うけど、火曜日と金曜日で問題ないかしら?どうしても無理だという人が多かったら変えようと思うんだけど……」
僕の言い方に少し引っかかっていたみたいだけど、みんなの反応の方が大事だったみたいで、そう言いながらみんなの反応を待っていると
「ちなみに何時集合の何時終わりなんや?まさか無いとは思うが1日中練習するってことでもないんやろ?」
って、一段落が付いた後に空元君に呼び戻された小野君がそう聞いたんだ。そしたら
「あぁ、そういえば言い忘れていたわね。もちろん1日中するつもりはないわよ?今のところは9時集合で12時解散にするつもりよ。もちろん合間合間に休憩は入れていくわ。あっ、ちなみにこれだけ時間が早いのはそうしておいたら午後から遊べるでしょ?」
真琴も忘れていたみたいで、すぐにそのことについて説明してくれたんだ。確かに午後から自由なのはいいけど、いつも朝ご飯の準備とかで早くに起きてる僕ならともかく、他の人は休みの日に朝早くっていうのは誰か文句を言うんじゃないかな?小野君は「そういうことやったら問題ないわ」って言っていたけど、他で不満が顔に出ている人がいるっぽいし……って思っていたら
「あっ、練習日の方は意見を聞くつもりだったけど、練習時間の方は変えるつもりないからよろしくね?ちなみに時間の方は委員長の希望でもあるからお願いね」
って真琴が誰かが時間に対して反対の意見を言う前にそう言ったんだ。宇佐美さんの希望って意外だなぁって思って宇佐美さんの方を見てみたんだけど、みんなも意外だと思ったみたいでみんな宇佐美さんの方を向いていたんだよね。視線が集中したことで宇佐美さんは肩をビクッてさせていたんだけど、
「えっと……、すいません……。夏休みの間は平日の午後はどうしても外せない用事が入っていまして……。みなさんもどうか協力してもらえないでしょうか……?」
って言ったんだ。すると周りのみんなも「篠宮ならともかく宇佐美さんのお願いなら仕方ないか」とか「今回はあの委員長が頑張ろうとしてるし、しゃーねーかー」って言って、さっきまで不満な顔をしていた人も賛成し始めたんだよね。やっぱりこのクラスってノリが言いというか何と言うか……。まぁ、そもそも宇佐美さんがいないとダンスの練習が出来ないんだけね。
そうしてクラス全体が賛成の雰囲気になったところで
「それじゃ、これで決定!ってことでみんなも協力お願いね。それじゃあ、これで今日の打ち合わせは終わりってことで、あたしは牧野先生を呼んでくるわ!」
って言って真琴は教室を出て行ったんだ。真琴が牧野先生を呼びに行ったんだし、すぐに牧野先生を戻ってくるだろうし、この僅かな時間をどうしようかなって思っていると
「京さん。少し良いですか?」
って優花ちゃんが話しかけてきたんだよね。丁度暇を持て余していた僕は
「うん。今丁度暇だったから全然大丈夫だよ?どうしたの?」
すぐに優花ちゃんに聞き返したんだ。そしたら
「えっとですね……。真琴や小野さん、空元さんはすでに知ってるとして……。後で中山さんや丘神さんにも話そうと思っているのですが……」
って少し言葉に詰まりながらそう言ってきたんだよね。だけど、優花ちゃんが何を言おうとしているのかイマイチわからなかった僕は首を傾げながら
「えっと……?」
って言って戸惑っていると
「あっ、すいません。えっとですね。私は毎年夏休みになると訪れているところがありまして。良ければ京さんもと思ったんですが……」
そう言ってから優花ちゃんは一呼吸を置いた後、僕にこう言ってきたんだ。
「―――旅行に行きませんか?」
第三章が始まったばっかりですが、回想はまだ続きます。




