章間⑬ 生徒会の一幕
更新が遅れてすいません。しかも今回短いです……。
私事ですが、色々と環境が変わりましたので、中々時間を作れなかったんです……(・ω・`)
「会長、要望書です」
漸く体育祭の出来事の処理が終わり、一段落が着いたころ、咲良が僕にそう言いながら紙を渡してきたんだ。言葉の通り要望書らしいが……
「またか……。今度はどっちからだ?見守る会からか?愛でる会からか?」
「今回は愛でる会からです」
「……そうか。今までは比較的大人しくしてくれていたけど、さすがに今回の体育会の件があっては大人しくしてくれない……か……。それで?愛でる会からはどんな要望なんだ?」
「えっとですね……。内容を見た限りでは見守る会と同じで『首謀者グループを退学にさせろ』です」
「やっぱりそうか……。はぁ……。今回は僕も原因の一旦を担ってしまっているからあまり厳しく言い返せないのが辛いなぁ」
そう言いながら軽く溜息をついていると、咲良は
「まぁ今回は自業自得ということで頑張って下さい。希望ちゃんを甘やかすのもほどほどにしないといけないということがこれで身に染みてくれたなら何よりです」
励ましてくれることはなく、むしろいい勉強になっただろって言ってきたんだ。確かに自分でも少し妹を可愛がりすぎている気がしなくもないが、そこまで言われることか?っと、思いながらも、言い返すと10倍以上で返ってくることがわかりきっていた僕はもう一度溜息をついてから
「……とりあえず返事を作っておくかな。確かに被害者の気持ちを考えると軽いかもしれません。ですが、学校側の決定で生徒会も了承済みなのですので、ご期待に添えません……っと、自分で書いておいてなんだけど、僕が言うことじゃないよね?これ?」
つい先程書いたものと同じ文章を見直しながら、僕はそう呟いた。すると
「それもそうですが、熱海さんが入学する前に起きた騒動を治めたことから学校に今回も任せられたのですから頑張って下さい」
咲良は学校から任された仕事ということを強調して頑張るように言ってきたんだ。だけど
「任されたっていうよりは丸投げされたに近いけどね。それに騒動を治めたって言っても団体が2つも残ってしまってるじゃないか」
結局力足りずに、"見守る会――熱海京を暖かく見守る会"と"愛でる会――熱海京を愛でる会"が残ってしまったことから、僕は頭を振りながらそう答えると
「……50は出来そうになっていた団体を2つまで減らしただけでも十分すごいと思うのですが……。残った2つも先に先生を抑えられてしまった形でどうすることも出来なかったところですのに3つも約束事を作れたじゃないですか」
「まぁ、それはそうだけど、もう少しなんとか出来たと思うけどね。約束事と言っても"団体があることを熱海さんに知られないこと"と"団体所属者は熱海さんへの過剰な接触を試みる者をいさめること"と"熱海さんの意思は可能な限り尊重すること"の3つだけだし。……ところで話は変わるんだけどさ?」
「……なんです?」
この話は終わりとばかりに僕が話を変える振りをすると、咲良は返事をしながらも怪訝な顔をしていたんだ。だけど僕はそれを無視して
「前から言っているけど、咲良……、いや佳織はどうして生徒会の仕事中だとそんなに他人行儀になるの?いつもみたいに名前で呼んでくれたらいいのに」
「私は公私混同をしないタイプですので。そういう会長も似たようなものじゃないですか」
話題を変えた先がいつもの話だったことからか、佳織が少し肩を落としながらそう返事してきた。いつもならここでこの話は終わるけれども
「まぁ、それはそうなんだけどね……。でも佳織は体育祭のときは名前まではいかなくても苗字では呼んでくれたよね?」
体育祭では仕事中にしては砕けた口調で話してくれていたことを見逃さなかった僕がそう佳織に問いかけると
「そ、それは滅多に怒らない宗一さ……会長が怒ったからで……。っ……、……ふぅ。それでは、私も仕事がありますので」
そこを聞かれると思っていなかったみたいで、珍しく動揺していた佳織を僕はニヤニヤしながら見ていたんだけど、佳織はすぐに動揺を抑えて自分の仕事に戻ってしまったんだ。だから僕も
「……つれないなぁ」
そう呟きながら仕事に戻ったのであった。
<生徒会の一幕 END>
京ちゃんが入学したのに上級生たちが全然騒がない理由を言っていなかったのでその補足といった感じです。




