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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第二章 一学期編
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46話 体育祭⑥

今回は京の視点ではありません。

京が気がついてから回想という形で入れるかどうかで悩みましたが、結局時系列順?にしました。

失敗した。


熱海さんが倒れた瞬間俺はそう思った。


熱海さんが教室から戻ってきたときに日焼け止めは塗り終わったって言っておったが、それが嘘だということはすぐにわかった。じゃが、篠宮さんたちも気付いておったみたいじゃが、特に注意するつもりもなさそうじゃったから問題ないと思ってしまった。確かにアルビノは紫外線に極端に弱いはずじゃから日焼け止めを塗りなおさないことは決してほめられた行為ではないが、後で軽く注意しておくだけでいいと思ってしまったんじゃ。




…………じゃが、俺が見ている前で熱海さんは倒れてしまった。





これがいつものようにコケただけだったら他のクラスの人は焦るかもしれんが、俺らのクラスならまたかって雰囲気ですんだんじゃが、あの異常な倒れ方はどう見てもただコケただけには見えなかったんじゃ。


そして気がついたときには熱海さんの方に向かって走り始めていたんじゃ。

じゃが、最初から近くにいた連中が熱海さんの様子を見ようと熱海さんに触ろうとしてたいたんじゃ、じゃから


「動かしたらいかん!!」


そう大声で叫んだ!

大声を出したことが功を奏したのか、ビクッってしておるやつもおったが誰かが熱海さんを動かす前にたどり着くことが出来たんじゃ。


「驚かせてすまん。じゃが、先程の倒れ方を見たじゃろ?万が一頭を打っていたら下手に動かしたら危ないんじゃ」


じゃが、このままここに寝かせておくのもマズいからのぅ。何より直射日光は熱海さんにとって悪すぎる。

何かいい案がないかと思っていると小野んたちが追いついてきたんじゃ。じゃから


「小野いいところに来た。すまんが、保健室に担架があるはずじゃから取ってきてもらえんか?」


「担架やな?わかった!すぐ取ってくるから待っててくれ!!」


そう言うと小野はすぐに了承して保健室に走っていってくれたんじゃ。こういうときは本当に頼りになるのぅ。後は……


「誰か日傘を持ってんか?出来れば影を作ってやりたいんじゃが……」


そういうと何人かが自分が持ってきているのであろう日傘を取りに行ってくれた。


「後は冷やしたタオルがあればベストなんじゃが……。用意している間に小野だったら戻ってきてくれるじゃろ。後は……」


そこで俺は言葉を切ってから篠宮さん、服部さん、それと空元と中山を見てから


「ちょっとこっちに来てくれんか?」


って言うと4人ともすぐにこっちに来てくれたんじゃ。全員が近くに来てくれてから俺は小声で


「篠宮さんたちも気付いておったじゃろうが、熱海さんは昼休みのときに日焼け止めを塗りなおすと言って出て行ったが、恐らく……いや、ほぼ間違いなく日焼け止めを塗り直しておらなかったんじゃ。日焼け止めを普通に忘れたっていうこともありえるんじゃが、それだったらあそこで嘘を吐く必要がないはずじゃ。じゃから何か理由があると思うんじゃが、何か心当たりはないかの?」


そう言って全員の顔を見渡すと中山以外の3人は何かしらの心当たりがあるような顔をしておったんじゃ。


「その顔からすると何かしら心当たりがあるようじゃな。俺は小野が戻ってきたら小野と2人で熱海さんを保健室まで運んで応急処置をしたり病院に連絡するなりするつもりじゃから、篠宮さんたちはその原因を突き止めてくれんか?これが第三者による悪意から来ているものじゃったら絶対に見過ごすわけにはいかん。見過ごしてしまったら絶対にそいつらは同じことを繰り返すからな」


っと言ったところで中山が


「俺も一緒に病院までの付き添いをさせてくれ!!京は俺が……っ!!」


って言ってきたんじゃが


「いいや、中山には原因解明の方に回ってもらう。これは俺の勘なんじゃが、これは()()()()に関わってくる問題じゃと思うんじゃ」


「え?それはどういう……」


「あぁ、それはな……」


俺の推測を言おうと思ったところで「待たせたな!」って言いながら小野が戻ってきたんじゃ。じゃから


「すまん。事態は急を要するから説明は省くが、真相にたどり着いたとき、きっとお主がおった方がいいんじゃ。恐らく篠宮さんたちはもう答えが出かけているはずじゃから大丈夫じゃ。それじゃあ、任せたからな!!」


俺はそう言って小野が持ってきた担架に熱海さんの負担にならないように熱海さんを担架に乗せてから小野と2人で保健室に向かったのであった。








丘神と小野が京を担架で運んでいくのを見送った俺は動くことが出来ずに固まっていたんだが


「ほらっ!!しっかりしなさい!!丘神君に頼まれたでしょ!!」


篠宮さんにそう言われながら背中を叩かれたことで我に返ることが出来たんだ。


「あ、あぁ。すまない。それじゃあ篠宮さんたちが把握していることを教えてくれないか?」


だから篠宮さんに一言言ってから現状わかっていることを尋ねたんだ。丘神が言うにはもうすでに真相まで辿りつきかけているらしいんだが……。

すると篠宮さんは


「えぇ、もちろんよ。でもそれにはある人物がいてくれるといいんだけど……。っと、丁度優花が連れてきてくれたみたいね」


そう言いながら視線をある方向に向けた。俺もつられるようにそちらを向くと


「おまたせしました」

「え、えっと……。すいません。どうしてわたしがここに呼ばれたんでしょうか?」


服部さんが少し……いや、かなりおどおどした女の子を連れてきていた。あの子は確か……、京のクラスの委員長の宇佐美さんだったか?

だけど宇佐美さんはここに呼ばれた理由を全くわかっていないみたいだが……。

そう思っていると


「どうしてってあんたね……。委員長のあなたがクラスメイトが倒れたのにこの場に来ていないことがそもそもの問題なんだけど、そこは今回は見逃してあげるわ。でも、そのことを除いても呼ばれた原因に心当たりがあるんじゃないのかしら?」


篠宮さんが宇佐美さんにそう問いかけた。篠宮さんは何やら確信めいた表情をしていたが、宇佐美さんは


「えっと……。それがわからな……、すいません。わからないから聞いているんですが……」


相変わらず自信無さそうに口篭りながらもそう返していた。あれ?やっぱり何のことなのかわかってないんじゃ……って思ったが、篠宮さんが


「ハァ~……。あくまで白を切ろうってわけね……。そっちがその気なら……。空元出番よ」


「は、はいッス」


そう言いながら指を鳴らすと、空元がそういいながら一歩前に進み出た後


「今朝の校長先生の話を聞く前なんスけど、宇佐美さんの様子がおかしいと篠宮さんと服部さんに宇佐美さんの監視を頼まれたボクはこっそり宇佐美さんの様子を伺っていたッス。そしたら宇佐美さんは周りに誰もいなくなったことを確認した後、熱海さんの小物入れから何かを取り出していたッス。宇佐美さんから気付かれない位置から確認していたから何を取り出していたのかまではわからなかったッスけど……。それでも熱海さんの小物入れから何かを取り出していたのは紛れもない事実ッス」


宇佐美さんが京の持ち物を取っていたことを証言した。証言を言い終わったのを確認した篠宮さんがさらに追い討ちをしようとしていたんだが


「ちょっと待ってくれ」


俺が思わずそう言うと全員がこっちを見てきた。それから俺は


「話の流れを止めてすまない。何かを取り出したのはわかっていたのならどうして今まで言い出さなかったんだ?それで日焼け止めが取り戻せていたら京は倒れなかったと思うんだが……。あっ、もちろん責めているわけではないんだが……」


今回のことは未然の防げたのではないかということ尋ねてみた。すると


「えぇ、確かにそうね。でも「待って下さい」……」


篠宮さんが答えてくれようとしたんだが、そこで服部さんが篠宮さんを止めたんだ。その後俺が服部さんの方に意識を向けたのを確認した服部さんが


「今回のことの責任は私にあります。何故宇佐美さんがこのようなことをしたのかはわかりませんが、京さんも朝に日焼け止めを塗ってきていましたから1日くらいは持つと思って体育祭が終わるまでに心変わりして返してくれることを信じてみましょうと言ってしまったんです。すいません。完全に私の責任です……」


悔しそうな顔を浮かべながらそう答えた。それに重ねるように篠宮さんが


「それはその場で満場の一致だったんだからあたしたち全員の責任よ。それと補足しておくけど、理由はそれだけじゃないわ。京に日焼け止めがどれだけ大切かということがわかっているにも関わらずにこんなクソみたいなことをした連中が今回のことを失敗したっていうことがわかったら、これから後にもっとヒドいことをしてくるかもしれない。だからこそ今回のことで大元を突き止められればと思ってワザと放置していたところもあるの。ごめんなさい、中山君にも説明しておくべきだったわね」


言ってきた。だから俺もすぐに


「いや、いいんだ。こちらこそ責めるような言い方をしてしまってすまない。確かに何が原因かはわからないが、京に対して恨みがある連中による仕業ということは見ればわかるもんな……。目先だけ解決したところで意味がないもんな……。気をつけてはいるんだが、俺はどうも京のことになると他のことを考えられなくなりがちなんだ……。だからそうやってしっかり物事を捉えられる人がいるというだけで助かる」


責める形になってしまっていたことを謝ったんだが、微妙な雰囲気になりかけていた。そこを篠宮さんが


「コホン。まぁそれよりも今は宇佐見さんよ。こうやって目撃証言があるんだから言い逃れは出来ないわよ?一体()()()()()()こんなことをしたのか言ってもらえるかしら?」


無理矢理空気を変えるためにワザとらしい咳をした後、再び宇佐美さんを問い詰め、俺ら全員の目線が宇佐美さんに集中すると、宇佐美さんはかなり動揺した様子で


「え……、いや……、これはわたしが……。すいません。わたし1人でしたことなんです。誰にも頼まれてなんかいません……」


って答えていた。しかし、この動揺の仕方から誰かに頼まれて行ったのはまず間違いないだろう。篠宮さんも


「どうしてそんな見え透いた嘘を吐くのかしらねぇ。あなたが誰に頼まれたのかもある程度はわかっているのだから、隠しても意味ないのよ?」


「えっ……!?そんなはずは……っ!?いえ、すいません。これはわたし1人の独断でしたことですから……」


そう言ったのだが、あくまでもこれは1人でしたと宇佐見さんが言い張り、その後も問答を繰り返しても埒が明きなそうになってきていたのだが


「宇佐美さん構いません。ここからは(わたくし)が話させていただきますわ」


という声によって停滞しかけてきた空気の流れが変わったのであった。

本当はこの別視点は1話で書ききるつもりだったのですが、思っていたより文章が伸びてしまって2話構成に変えました。


これまで文章が伸びてしまったとしか言ってない気がする……。

上手くまとめることが出来て短くなったって言ってみたい(・ω・`)

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