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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第二章 一学期編
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45話 体育祭⑤

「顔色が少し悪いみたいだけど大丈夫?」


「体調が悪いようでしたら保健室で休んでもいいんですよ?」


「ううん、大丈夫だよ。別に今は体調が悪いわけでもないし。それよりもほら、早くお弁当食べないと時間なくなっちゃうよ」


「……本当に大丈夫?」


「少しでも気分が優れないと思ったらいつでも言ってくださいね」


「うん、ありがとう。そのときはお願いね」


「えぇ、もちろん。それにしても……」


そこで真琴は言葉を切ってからいつも通り僕たちと混ざっている健吾のお弁当と僕のお弁当を見比べてから


「今日も今日とて中山君のお弁当を作っているのね?あっ、もしかして健吾は僕のものアピールってやつ?終いにはご飯のところにハートマークがつくのかしら?」


「いやいや、そんなこと『絶対に』ありえないからね?それにお弁当を作ってるのも自転車に乗せてもらってるからなだけで、涼しくなってきたら健吾の分は作らないからね?」


「そこまで絶対にを強調しなくてもいいだろ……」


「でも、普通に考えて僕が健吾にそういうことするのっておかしくない?」


「俺は全然大歓迎だけどな!」


「はいはい、冗談はいいから。それにしても午前中は色々とひどかったね……」


「まぁねぇ。でもそんな過去は振り返らないのだぁ!!」


「そうですよ。今日は午後の種目を楽しみましょう」


「そうや。騎馬戦にクラス対抗リレーと盛り上がる種目ばっかりやしな」


「俺はあとは騎馬戦だけじゃが、鬼ごっこ玉入れは無効試合になってしまったんじゃし、何かしらがあったらいいんじゃが……」


「さすがにそれはないんじゃないかな……」


「うむ……。わかってはいるんじゃがな……」


そんな感じで皆と会話の花を咲かせているとお弁当を食べ終えたんだよね。

日焼け止めはどうしようかな……。日焼け止めはないけど、そのことで皆に心配をかけたくないし……。あっ、違う部屋で塗りなおすってことで一旦部屋を出て、暫く時間を潰してから戻ってこれば大丈夫かな?そう思い、立ち上がって部屋を出て行こうと立ち上がったところで


「ん?どこか行くのか?」


健吾が僕に話しかけてきたんだよね。


「日焼け止めを塗り直しに行くだけだよ?」


「ここで塗らないのか?」


「……服の中も塗り直すんだよ?健吾の変態」


「なっ!?」


誤魔化すために僕が言った言葉は思いの他健吾に刺さったみたいで、健吾が何か言い返そうとしていたんだけど、僕はそのまま日焼け止めの入っていない小物入れを持って教室を出て行ったのであった。



………………

…………

……





「ただいまー」


僕はバレないか内心ドキドキしながら教室の扉を開けた。するといち早く気付いた真琴が


「おかえり、早かったわね?」


って話しかけてきたから僕は


「まぁ、いつもしていることだしね?」


って何事もないように返したんだ。


「それもそうね。それじゃあグラウンドに戻る?」


「もうちょっとギリギリでもよくない?別に席が盗られるわけでもないんだしさ」


「まぁ……余り早く行き過ぎて京に負担をかけすぎてもいけないものね」


「そうですよ。次の応援合戦は誰も出ませんし、ゆっくりしていても……誰も出ませんよね?」


って言いながら優花ちゃんが周りを見回すと


「俺は出ぇへんで?出るのは部対応リレーと騎馬戦とクラス対抗リレーの3つやわ」

「ボクも出ないッス。ボクは二人三脚出たから後は100m走だけッスね」

「空元は二人三脚出ていたのか……。すまん、鬼ごっこ玉入れのことで全然見ておらんかった。それと、俺も応援合戦には出ないのぅ。俺は後は部対抗リレーと騎馬戦の2つだけじゃな」


って小野君、空元君、丘神君が返していたんだ。あっ、健吾はもう自分のクラスに戻っていっていたみたいで僕が返ってきたときには教室にはいなかったんだよね。空元君は二人三脚に出ていたんだね……。丘神君も言っていたけど、僕も全然気付いてなかったや……。それと


「丘神君は部活に入っていたんだ?」


「ん?言ってなかったかの?俺は一応サッカー部に入っておるんじゃよ?何でも部対抗リレーは部内の各学年から2人ずつ出ないといけないらしくての。それで俺に白羽の矢がたったってわけじゃな」


「へぇ~。でもそれなら丘神君ってかなり足が速いんだ?」


「んー、まぁ先輩と比べるとまだまだ遅いがの。それでも一応それ程遅くはないと自負はしておる」


「それ程遅くないって……。確かサッカー部の新星とかどうとか言われてるわよね?」


「まぁ……そんな風に言われているような気もしなくはないが……。それよりもそろそろ時間じゃし、向かうとするかの」


「露骨に話を逸らしてきたわね……、別に隠すことでもないでしょうに……。まぁ確かにそろそろ向かわないと応援合戦に間に合わないし、行くとしましょうか」


そう言って丘神君と真琴が立ち上がったのを合図に皆でグラウンドに向かったのであった。



………………

…………

……






「想像していた以上に凄かったね」


「えぇ、そうね。さすがいつも放課後遅くまで残って練習していただけあるってものね」


「そうなんだ?」


「えぇ、どのくらいまで残っていたまでは知らないですが、とても遅くまで残っていたはずですよ?」


「へぇ~。あっ、そろそろ100m走だから僕は行くね?」


予想以上に迫力があった応援合戦について話し合いたかったけど、100m走の集合に間に合わなくなっちゃうから行かないと。


「あっ、そういえば次は100m走だったわね」


「京さん頑張ってくださいね。でも、もし途中で危ないと思ったらいつでも棄権しても大丈夫ですからね?」


「そうそう、もしそれで文句言ってくる奴がいたら叩きのめしてやるから遠慮なんてしなくてもいいわよ?そのために小野(脳筋)がいるんだし」


「誰が脳筋や!誰がっ!!」


真琴の冗談交じりの返しに対して小野君はキッチリ反応していたんだよね。でもさすがに脳筋で反応するのもどうかと思うけど……。そもそも反応するからからかわれているのにね……。


「あはは……。それじゃあ行ってくるね」


「くれぐれも気をつけてよ?空元もちゃんと京のこと見ておいてよ?」


「男子と女子で集まる場所が違うからずっとは無理ッスけど、出来るだけ心がけるようにはしておくッスよ」


「別にそこまで心配しなくても大丈夫だって。ほらっ、空元君も行こう?もう皆集まり始めているみたいだし」


「は、はいッス」


そうして皆の僕を心配してそうな顔に対して大丈夫だって軽くガッツポーズをしてから向かったのであった。そんなに僕って信用ならないかなぁ……。


…………

……


「……ふぅ」


そう言いながら僕は手で日光を遮りながら空を見上げた。テントから集合場所にくるまでにも思ったんだけど、今日って日光かなり強いんじゃないかなぁ?やっぱり帽子をテントに置いてきたのは失敗だった気がするよ……。でも、取りに戻るにしても大丈夫って言った手前、やっぱり戻り辛いしなぁ……。

とにかく、早く順番が来て終わることを祈っているしかないかな。幸いに100m走は走り終わって順位の記入が終わったらそのままテントに戻っても大丈夫だしね。


僕は順番が早いことを祈りながら始まりを待ったのであった。


…………

……


「次の人たちはスタートラインに立ってください」


「はい」


100m走の監督の先生にそう返事してから僕はスタートラインに向かった。順番的には早くもなく、遅くもなくってくらいだったんだけど、僕からしたらかなり長い時間待たされたような気がするよ……。帽子を忘れたのは僕が悪いからかなり待ったとかは口には出さないけどさ。それにしても、少し身体が重い気がするけど、100m走くらいなら大丈夫なはず。


そうして僕と同じ順番だった人たちがスタートラインに経ったのを確認した先生が


「よし、それじゃあピストルがなったと同時にスタートだから、フライングしないようにね」


って言いながらピストルを構えた手を上に挙げた。皆スタートするときにしゃがんでいた気がするけど、早く終わらそうということしか考えていなかった僕はそのときは気にならなかった。


そうしてパンという音と共に走りだしたんだけど、スタートまでは少し重いかなぁと思っていたくらいだった身体がどんどん動かなくなっていったんだ。それでも走ろうと頑張っていたら視界もおかしくなっていって……。最後には身体が動かなくなっていって……。


僕の意識はそこで途切れた。

(いつもですが)実際とは違う部分があると思いますが、そこはご容赦を。

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