番外編⑤ それはあったかもしれない物語
今回の話は本編とはほぼほぼ関係ありません。
本編の間にいれていたものを移動させるためにあげなおしたものです。
はーい、みんな久しぶり!! お姉さんだよ?
今日は特別に1つのある物語の始まりを見せてあげる。
みんなは覚えているかどうかはわからないけど、以前に京ちゃんを女の子にするきっかけを作るために車を用意したって言ったでしょ?
もしあのとき、私が車を用意しなかったらどうなっていたか。
その if の世界を少し見てみましょうか。
………………
…………
……
「……っ!?健吾!!危ない!!」
僕はそう言って迫る車から健吾を逃がそうと全力で健吾にぶつかったんだけど、非力な僕では健吾を突き飛ばすことが出来ず、そのまま車が迫ってきてしまったんだ。車がすぐ目の前まで来てしまい、もう駄目だと目を瞑ろうとした瞬間足元が光出し、その光に飲み込まれるように僕は意識を失ったのであった。
………………
…………
……
「んっ……」
少し身動ぎをした後、僕は目を覚ましたんだけど
「ここ……は……?」
全く見覚えの無い部屋の中にいたんだよね。状況が理解出来ずに混乱しながらも辺りを見渡していると、僕と同じように健吾もキョロキョロと周りを見渡していたんだ。
「ねぇ? ここはどこかわかる?」
健吾の様子からして、恐らくはわからないだろうけれど、万が一という一縷の望みを掛けて聞いてみたんだ。すると健吾はビクリと体を震わせてから
「えっ!? い、いや、それが俺にもさっぱりで……」
と返して来たんだよね。予想通りの回答だったけれど、すごいよそよそしい返しに僕は苦笑を浮かべながら
「どうしたの? そんなまるで初対面の人に会うような反応をして」
健吾にそう聞き返すと
「初対面も何も、俺たち……」
健吾がそれに何かを言い返そうとしたところで
コンコン――
と扉をノックする音が聞こえてきたんだ。そして僕たちの反応を待つことなく扉が開かれ
「良かった。目が覚めたのですね」
と言いながら、女の人が部屋に入って来たんだよね。そして
「話し声が聞こえて来ましたので、もしかしたらと思って様子を見に来て正解でした。伝承の通りのお2人だったのですが、一向に目を覚まされなかったので心配していたのですよ? それと………、すみませんが、私たちと一緒に来ていただけませんか? その場所で改めてお2人の現状について説明をさせていただきます」
僕たちにそう告げてきたんだ。心配していたというワリには床に寝かされていたりと色々と突っ込みたいところはあるけれど、話を聞かないことには何も状況を打破できそうにないことを察した僕と健吾は頷き合ってから女性に肯定の言葉を伝えたのであった。
…………
……
「いやぁ、よく来てくださいました」
女の人に案内された大きな部屋の中で、僕と健吾の姿を認めた男の人がそう言ってきたんだよね。
「あの……、すみません。俺たち気が付いたらこの建物の中に居てここに連れてこられただけなんですけど……」
まるで僕たちが招待されて来たような物言いだったこともあり、健吾がそう聞き返してくれだんた。すると
「がはは、そういえばそうでしたな。そこのメルトに召喚魔法を使って来ていただいたんでしな」
男の人は僕たちを連れてきた女の人、メルトさんを見ながらそう言ってきたんだよね。そこで気になる単語が出てきた僕は思わず
「召喚魔法……?」
と呟くと、それは男の人の耳にまで届いたみたいで
「そうですぞ。あぁ、そう言えば貴方たちの元居た世界では魔法は存在しないんでしたな。これもやはり伝承の通り。それでは早速説明させてもらいますぞ」
男の人は何かに納得したように頷きながらそう言ったかと思うと、僕たちの反応を待たずに僕たちの現状について話し始めたんだよね。
「簡潔に言うと、この世界を救って欲しいんですぞ。貴方たちに私たちの勝手を押し付けて申し訳ありませんが、手伝ってもらえませんかな?」
……あれ? これって小説とかでよく見る転換なんじゃ……?
ふとそんなことが僕の頭を過ったんだ。健吾も同じことを思ったみたいで
「……それは、俺たちに戦えと言っているのですか? 俺たちは……」
確認をするように尋ね、そうなら断ると断りの言葉を言おうとしていたんだけど
「いえいえいえ、とんでもない!! そんな物騒なことはさせませんぞ!! そもそも伝承の通りならば貴方たちの出身の世界では争い事は滅多に起きないご様子。そんな環境で育った方々を戦いになぞ望まぬ限り行かせませんぞ!!」
まるで心外だと言わんばかりの表情を浮かべながらそう返して来たんだ。その言葉に嘘は無さそうだと健吾は判断したみたいで
「そうですか。すみません」
と言って頭を下げたんだよね。すると男の人は慌てて手を前で振ってから
「いえいえいえ、こっちの言い方が悪かったんだから仕方がありませんぞ。世界を救って欲しいと言いましたが、1年程この世界に居て欲しいだけなんですぞ。この世界は今魔力が溢れ返ってしまっていてですな。最初から体内に魔力があるこの世界の人では使い切れないんですぞ。何事も過ぎると毒になってしまいますからな。だからこうして魔力とは無縁の世界からお呼びして魔力消費を手伝ってもらいるんですぞ。そうすることで何とかバランスを保っているんですぞ。そういうわけで、どうか手伝ってもらえませんかな? 途中で帰りたいとなった際にはすぐに元の世界に送り返しますし、帰ったときにはこちらの世界に来る直前まで体の成長は戻しますぞ? それにもちろんこちらにいる間は貴方たちの身の安全は保障しますぞ。いかがでしょうかな?」
僕たちの方に向かって謝ってきたんだ。それから何回か健吾と男の人が謝り返すということをした後に
「はい、俺としてはそういうことでしたら大丈夫です。ただ、こっちの子にも聞いてください。この子とは初対面ですから」
僕の方をチラリと見てからそんなことを言ってきたんだ。さっきからの健吾の僕への態度や今の言葉にムッと来た僕は
「もうっ!! 健吾は何言ってるの!? 僕だよ!! 京矢だよ!!」
と声を荒げながら返したんだ。それに健吾が「はっ? えっ!?」と何か言葉にならない言葉を口に出していたけど、僕はそれを無視して
「はい。僕も大丈夫ですが、1ついいですか?」
男の人の方へと向き直り、了承した後そう尋ねたんだ。すると
「はい、もちろんですぞ!!」
と笑みを浮かべながら返してくれたんだ。それを確認してから僕は
「先ほどから何度か、『伝承の通り』という単語が出てきていましたが、どう言った意味なんですか?」
と尋ねたんだ。そうしたら
「そのことですな? もちろん大丈夫ですぞ!! 伝承では、こうして世界に魔力が溢れてしまったときに、召喚魔法でこの世界ではないチキュウと呼ばれている平和な世界から黒目黒髪の若い男女を呼び出すことが出来るという話なんですぞ!! その2人が一定期間、つまりは1年ですな。1年この世界に滞在してもらえれば向こう100年は世界の魔力が安定するというものですぞ」
と説明してくれたんだ。だけど
「えっ!? 男女って……? 僕も男なんですけど……」
健吾も含め、男2人しかいないのに、どこが伝承の通りなのかと思いながらそう返すと
「ガハハ、ご冗談も上手ですな。そのお姿で男だというのは冗談だってことはさすがの私もわかりますぞ」
と言いながら男の人はパチンと指を鳴らしたんだ。すると僕の前に何かが出てきたんだよね。何が出てきたのかを見ると、それは鏡のようなものだったらしく、僕の姿が映っていたんだ。だけど、僕の姿が黒目黒髪のままだったんだけど、肩よりも上にあったはずの髪の毛が腰辺りまで伸びていて、体も僕の覚えていたものよりも少し丸くなっていて、どう見ても女の子にしか見えなかったんだ。それから体を動かしてみたんだけど、鏡の前の僕も全く同じ動きをしていたんだよね。そこで鏡に映った僕が本当に僕だということがわかった僕は鏡の僕を指さしながら
「えええええええぇぇぇぇ!?」
と声を上げたのであった。
それから、やはり異世界特典というものがあったらしく、魔法をすごい速さで上達することが出来たり、この世界では黒目黒髪は美人という認識らしく、色々な男の人に言い寄られてしまったりと波乱万丈な異世界生活を過ごすことになるんだけど、それはまた別の話である。
………………
…………
……
とまぁ、こんな感じに、京ちゃんは異世界に言っちゃっていたかもしれないんだ。
え? 何でお前が用意してないのに車が2人に迫っているのかだって?
そりゃ簡単なことだよ。今日って何の日かわかるかな? つもりそういうこ・と♪
所説では午前中だけって話もあるけど、こんな楽しいことなんだから1日中楽しまないと損だよね? あはは♪
さてさて、それじゃあ怒られる前にお姉さんは退散しようかな、バイバーイ!!
はい、そういうわけでエイプリルフール企画でした。
ちなみに作者は午前中派です。