33話 GW【前半】⑤
「ん~っ!!やっと終わったぁっ!」
「思ったより時間がかかってしまいましたね」
「ほんとにねぇ。もう少し頑張れば、あと2時間は早く終われたわね。京もそう思うでしょ?」
「そ、そうだね……」
結局、わからなかった問題を2人に教えてもらいながら僕もなんとかほぼ同時に宿題を終わらせることが出来たんだ。教えてもらっている間は2人の手は止まっているし、気がついたら僕の眼を見ようと問題を解くのを中断していたはずなのに、黙々と宿題を消化していっていた僕よりも、ほんのちょっとでも早く終わるのって……。
別に勉強に自信があったわけじゃないけど、ここまで差があるとはね……。
あっ、そうそう。午後3時くらいになんだけどね!優花ちゃんのお母さんが来て、モンブランを出してくれたんだ!!ありがとうってお礼を言ったら不思議な顔をされちゃったんだよね。何でだろうって思って首をかしげていると、優花ちゃんのお母さんが何か合点がいったみたいで、これは僕が持ってきたものだよって教えてくれたんだ。それでもちゃんとお礼を言わないとって思って、改めてお礼を言ってから皆で食べたんだ。
それにしても、モンブランの魔力ってすごいよね。食べ始めたと思ったら気がついたら1時間くらい経っていたんだもん。まぁ、その分宿題が終わる時間が遅くなっちゃったんだけどね……。この1時間遅れは大体僕のせいなのはわかっているから、反省はしているけど、全然悔いてはいないんだからね!
まぁ、それはさておき、やっと宿題も終わったし、気が楽だなぁって思っていると
「よし、それじゃあ遊ぶわよ~っ!!」
「そうですね。ですがその前に……」
真琴が遊ぼうと言い出したんだけど、優花ちゃんがストップをかけたんだよね。
何事かと思って、僕と真琴が優花ちゃんの方を向くと
「遊ぶ前に、そろそろ晩御飯の時間ですので、先に晩御飯を食べてしまいましょう」
「「あっ」」
そういえば、もうそんな時間だね……。
宿題が思ってた以上に早く終わりすぎたせいで、すっかりそのことが頭の中から抜け落ちちゃってたや。
「……どうする?」
「丸投げはあまり感心しないわよ?でも、確かにどうしましょうかねぇ?」
そう言って、僕と真琴で一瞬視線を合わせてから優花ちゃんの方に向きなおすと、優花ちゃんは苦笑しながら
「心配しなくても、母には晩御飯は外で食べると伝えてあるので大丈夫ですよ」
って言ってくれた。あっ、ちゃんとわかってくれたんだ。さすがにお昼だけじゃなくて、晩御飯までご馳走になっちゃったら悪いもんね……。それと、わかってほしいならちゃんと口で伝えろよって思うかもだけど、やっぱり言わなくてもわかってもらえるのって嬉しいじゃない?
「そう?それじゃあ外食するとして、この辺りに何があったかしら?」
「そうですね……。この周辺でいいますと、焼肉、スパゲッティ、後はファミレスみたいなのがあるくらいですかね」
「なるほど……。京はどれがいい?」
「えっ!?僕が決めるの!?」
てっきり、いつも通り真琴と優花ちゃんが決めるものだと思っていたから、ただ眺めていたら急にこっちに話を振ってきたから思わず驚いちゃったんだ。
「えぇ、偶にはいいでしょ?」
「候補は出したので、後は決めるだけですよ」
「えっと、それじゃあやき……スパゲッティがいいかな」
「りょーかい」
「わかりました。それでは行きましょうか」
そうして僕たちは店に向かう準備を始めた。本当は焼肉に行きたかったんだけど、焼肉って言おうとした瞬間、真琴も優花ちゃんも顔を少ししかめていたから僕は焼肉をやめてスパゲッティにしたんだよね。それに、よくよく考えたら女の子が焼肉屋さんに入るっていうのも嫌なんだろうね。臭いとかついちゃうし。
そんなことを考えていると
「ほら、早くしないと置いて行っちゃうわよ?」
ってすでに準備をおえた真琴がニヤニヤしながらそう言ってきたところで、僕は考えを止めて
「ちょっと待って、すぐ準備するから!!」
って言いながら急いで準備をしたのであった……。
………………
…………
……
「さぁ~って、今度こそ遊ぶわよ~っ!!」
寝パ巻きに着替えた真琴が部屋に戻ってくるなりそういい始めた。
あっ、スパゲッティはすごくおいしかったよ?僕がカルボナーラ、真琴がヴォンゴレ、それで優花ちゃんがジェノ……なんとかっていうやつを頼んだんだ。それで、途中で皆でお皿を交換して、それぞれをちょっとずつ食べたんだ。カルボナーラは安定しておいしかったし、ヴォンゴレは中に入っていた貝がおいしかったなぁ。あんまり食べ過ぎると悪いと思ったから少ししか食べなかったけどね……。それで、ジェノなんとかは……なんていうか、不思議な味だったんだ。でも、また食べたいって味だったんだよね。だから、今度家で作ってみようかな?でも、家で作れるのかな?今度調べてみようっと。
……後で優花ちゃんや真琴が食べたスパゲッティをそのまま食べてたことを改めて思い出して、あれ?これって間接キスじゃ……って思って顔を真っ赤にしちゃったんだ。そのことに優花ちゃんと真琴に不思議がられて、必死に誤魔化したこともあったんだけど、詳しくは別にいいよね、うん。
そ、それでお風呂なんだけど、僕たちが勉強していた部屋の隣にお風呂があったんだよね。優花ちゃんが言うには、ここはお客さんが来たときに使う用のお風呂だそうで……。お風呂が2つあるってどういうことなんだろうね?いや、もうこれは突っ込んだら負けだよね……。
「そうですね。それでは私の部屋に行きましょうか」
もう何が起きても突っ込むまいと思いながら僕は優花ちゃんの後をついていったのであった。
…………
……
「さぁ、ここですよ」
そう言って、優花ちゃんが開けてくれた扉の先にドキドキしながら行くと、そこには
PCと本があるだけの空間がそこには広がっていた。
「………………え?」
予想外すぎる光景に僕は思わずそう呟いた。だってね?そりゃあ規模はおかしいけどさ?PCは3台あって、その内2台は何かしらの動作をしているっぽいし、押入れみたいに奥まったところには本棚が置いてあって、全部本が埋まっているんだよ?全部漫画とラノベだけどさ……。
「えっと……、なんていうか……、本がすごいね?」
「でしょう?あえて出版社ごとではなく、作者別にすることで……」
あまりの多さに軽く引いていると、本の並びかたのことについて優花ちゃんは熱く語ってくれたんだ。止めようと思っていたんだけど、すごい活き活きと説明してくれている優花ちゃんを止めるのが悪い気がして、どうしようか迷っていると
「いい加減落ち着きなさい」
「イタッ!?」
真琴が優花ちゃんの頭をチョップして止めてくれた。
「……何をするんですか真琴?折角いいところでしたのに」
優花ちゃんが真琴を睨みながら抗議の声を出していると
「ハァ……。ちゃんと周りをよく見てみなさい?京もドン引きしているわよ?」
真琴がそう返したもんだから、優花ちゃんは僕の方を見て
「そ、そんなことないですよね?」
って、尋ねてきたんだ。でも、優花ちゃんには悪いけど
「もう少しだけ説明は軽くてもよかったかなぁ……なんて?」
そう答えたんだ。そしたら優花ちゃんがかなり落ち込んじゃったんだよね……。
「で、でもこれだとさ?僕たちみたいに優花ちゃんの趣味を知ってる人ならともかく、知らない人だったらマズくない?」
だから、僕は話題を変えることにしたんだ。やっぱり流れを断ち切るのって大事だよね、うん。
今回もそれが正しかったみたいで、そのことに触れてもらいたかったのか、優花ちゃんはすぐに機嫌が戻って、
「大丈夫ですよ。こういう仕掛けがありますから」
そう言って優花ちゃんがパソコン机の上に置いてあったリモコンを操作すると
ラノベが置いてある本棚を隠すように新しい本棚が現れたんだよね。
「…………はい?」
あまりのことに呆然としていると、優花ちゃんがドヤ顔をしながらこう言ったんだ。
「これが、私の対一般人用の秘密兵器です」
GW【前半】は後1・2話で終わる……はずです。
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