章間⑧-2 初めての女湯体験【後編】
最初は分割するつもり予定がなかったものを無理矢理分割したせいで、前編の冒頭部分が完全に抜けてましたすいません(・ω・`)
やっぱりちゃんと確認しないと……
ふぅ。やっぱりお風呂は気持ちいいなぁ。嫌なことも忘れそうになっちゃうよ。
でも、それでもやっぱり……
「…………」
僕はとあることを考えながら真琴を見ていると
「もぅ♪京たんのえっち♪」
そう言いながら真琴は胸を隠すようなポーズを取りながら言ってきたんだ。
「えっ!?あっ、ごめんっ!?」
あれっ!?視線を下まで下ろしてたっけ!?僕は慌てて視線を上に上げたんだけど、そしたら
「う・そ♪京たんはやっぱり反応を見てて楽しいわねぇ」
ニヤニヤしながらこっちの様子を見ていた真琴の顔が映った。
「……あのねぇ。そういう冗談は心臓に悪いからやめてほしいんだけど……」
まぁ、考え事をして、少しだけ視線が下がっちゃってたのは事実だからあんまり強くは言えないんだけどね……。僕だって『男の子』なんだから、女の子の裸はやっぱり気になるわけで……。
「まぁ、あたしの胸の方を京たんが見てたのは事実だけどね。羨ましいからってそんなに見つめても胸は大きくならないわよ?」
「べ、別に羨ましくなんか……「そうですよ!」……」
「ただ大きいだけなんて意味が無いですよ。形やハリが大切なんです!偉い人にはそれがわからないのですよ」
そう言いながらも真琴の(恐らく)胸を羨ましそうに見ている優花ちゃん。言葉と行動が合ってないよー。もちろん僕の口からは言わないけど……。でも、僕でも気付いたくらいなんだから、真琴も当然気付いているわけで
「ふふん♪そんなこと言ったって、眼は正直みたいよ?」
ってニヤニヤしながら優花ちゃんに向かってそう言っていたんだよね。
「うぐっ……。私だっていつかは「ないない。人間諦めが肝心よ?」希望は……ないのですか……」
でも、がんばって優花ちゃんは反論しようとしていたけど、真琴のトドメによって撃沈してしまっていたんだ。本当に湯船の中に潜っちゃったんだよね。それで、暫く様子を見ていたんだけど、全然あがってこなくて、少し不安になっていると……
ザバンって音がして、何事かを確認するために振り向こうとしたんだけど
「ひゃわっ!?」
急に後ろから手が伸びてきた、僕は胸を鷲づかみされていたんだ。突然のことだったから、わけがわからずに……
「なっ、なにっ!?んっ!?ちょっと、な、なにっ……!?」
言葉にも上手く出来ずに身を捩っているだけだったんだけど
「いい加減にしなさいっ!」
「いたっ」
真琴が僕の後ろにチョップをしてくれたおかげで魔の手から僕を助けてくれたんだ。
それで、一体なんだったのかを確認するために、後ろを確認したら、そこには優花ちゃんが頭を押さえていたんだよね。
「…………優花ちゃん……。優花ちゃんはそういうことをしないと思っていたのに……」
「す、すいません……。私としたことがつい……」
そこで言葉をとめて僕の胸の方へと視線を落とす優花ちゃん
「つい……?」
何でそこで止めたのかとか、何で僕の胸の方を見ているのかわからずに聞き返すと
「いや……、そのですね……。つい安心感を……」
最後の方は声がかなり小さくなっていて聞こえなかったんだけど、安心感って聴こえたような……?聴こえなかった部分を問い詰めたかったんだけど、優花ちゃんは何か独り言みたいなのをぶつぶつ言い始めてるんだよね……。正直に言って少し怖くてとてもじゃないけど話しかけられなかったよ……。
そうなってしまった優花ちゃんを見ながら真琴はため息をついて
「ハァ……。やっぱり優花をこのネタで弄るのは失敗だったかしらね」
って言っていた。
「どういうこと?」
何かしらの事情を知っているっぽい真琴に説明を求めると
「まぁ、昔もこのネタで弄ったことがあるんだけどね。あの時も、優花は暴走して自分よりも小さい子に襲いかかったのよ。それで、最後はこんな感じで自己嫌悪してブツブツ独り言を言ってたのよね」
って教えてくれたんだけど……
「…………それって、真琴も確信犯だったってことだよね?」
完全にこうなることを分かってて優花ちゃんを煽った真琴に僕はニッコリとしながら尋ねた。
「いやぁ、2人の様子を見たかったってわけじゃ……ってごめんごめん!あたしが悪かったからその顔は止めてっ!」
最初は真琴もニヤニヤ笑っていたんだけど、僕の顔を見た瞬間すぐに謝り始めたんだよね。どうしてだろうね?僕はただ笑っているだけなのに
「どうして真琴は謝ってるのかな?僕はただ笑ってるだけだよ?」
僕は表情を崩さないで真琴に追及すると
「いやいやいや、全然眼が笑ってなくて怖すぎるわよ!ほらっ!優花も謝って!!」
「………………んぇ?どうしたんですか?そんなに慌てて……。京さん、すいません。私が悪かったです。」
真琴は優花ちゃんを無理矢理我に返らせていたんだ。それで、我に返った優花ちゃんも僕の顔を見た瞬間に謝りだしたんだ。本当に何でなんだろうね?
「だから2人も何で謝っているのか僕にはわからないんだけど?2人はしたくてそうしたんでしょ?」
「いやぁ、その……。少し見たかっ……いえ、何でもないです。悪ふざけが過ぎました」
「…………言い訳も出来ません。私の暴走がすべての原因です」
僕は出来るだけ表情を崩さずにそう問いかけると、2人は土下座をするような勢いで謝り始めたのを見て僕はとうとう我慢することが出来ずに吹き出してしまったんだよね。
「ぷっ……。あははははっ!」
2人からしたら僕がいきなり笑いだしたように見えたみたいで、ポカンとした表情をしていたのがさらにツボに入っちゃって、僕は暫く笑い続けたのであった。
…………
……
「…………ふぅ。これに懲りたら今度からはこういったことはやめてよね」
やっと笑いがおさまった僕は2人にそう言うと、漸く僕が怒っただけのフリをしていただけだったということがわかった2人は
「はぁ……、まさか京に騙されるときがくるとはっ……!!」
「演技にしてはあの眼は怖すぎますよ……。どこであんな表情が出来るようになったんですか……」
「まぁ、中学生のときに色々あってね……」
まぁ、僕が2人が怖がるような表情を出来るようになったのは、大体健吾とお母さんの悪ノリのせいなんだけど、それは今は関係ない話だから、詳しくは別にいいよね。
「コホン。と、とにかく!2人ともこんなことはもうダメなんだからねっ!」
2人に言い聞かせるように言うと
「……まぁ、あの表情はもう見たくないわね。もう少し抑えることにするわ」
「私も真琴が暴走しすぎないようにより気を配るようにします」
っていう返答があったんだけど、
「……真琴、それってあんまり反省してな「それよりも……」い……?」
まるで反省していない真琴にさすがに怒ろうとしたんだけど、途中で言葉を遮られて思わず言葉を止めちゃった僕に対して真琴は
「えっとね?少し言いにくいんだけど、見えちゃってるけど?最初はあれだけ隠していたのに」
「え……?って、あっ!?」
2人に対して怒っているフリをしていることに夢中になっていた僕は、いつの間にか立っていて、しかも身体を隠すために持っていたタオルがどこかにいっちゃっていたんだよね。つまり、今の僕には何も隠すものがないわけで……
「く×wせdr○t△yふ□こl☆っ!?」
僕は言葉にならない悲鳴を上げながら逃げるようにお風呂場を後にしたのであった。
あ、どこかに落としたタオルは脱衣所まで逃げた僕を追いかけてきた優花ちゃんが届けてくれました。その優しさをもっと早く見せてほしかったよ……。
こうして僕の始めての女湯体験は無事?に終了したのであった。
僕は男の子なはずなのに、何だかんだで無事?に女湯を乗り切ってしまった当たり、色々と終わってきている気がするのは気のせいじゃないよね……。ハァ…………。
…………でも、終わったのはお風呂だけじゃない気がするんだよね……。優花ちゃんや真琴の胸を見ちゃったときなんだけど、もちろん見ちゃった申し訳無さが一番強かったんだよ?それでもさ、女の子の胸を見た『男の子』としての嬉しさとか恥ずかしさと一緒に……、ほんの……、そう、ほんの少しだけだよ?『女の子』としての羨ましさが僕自身の中に生まれ始めていることにも気付いてしまったんだ……。
心は身体に引かれていくってよく聞くけど、まさか女の子の胸を見て羨ましいと思ってしまうときが来てしまうとは……。僕は男の子なはずなのに……。
そう思いながら僕はひっそりとため息をついていた。
急にため息をついたようなものだから、優花ちゃんと真琴が僕の方を見てきたんだけど、何でもないよってことを伝えるために首を左右に振ると2人もわかってくれたみたいですぐにまた部屋に向かって歩いてくれたんだよね。
それにしても、今日のお風呂は心身ともにすごい疲れたなぁ。お風呂は疲れを取る場所のはずなのに……。
これは部屋に戻っちゃったらすぐに寝ちゃうかも……。あっ、でも寝るなら寝る前にちゃんとカラーコンタクトを外しておかないとね。ちゃんと2人より早く起きないといけないとだし、色々と頑張らないと……。
部屋に戻ってからのことを考えると、思っていた以上に気をつけないといけないことがあったことに気付いた僕は、もう一度、今度は2人には気付かれないようにため息をつくと、よしって心の中で気合を入れてから2人の後に続いて部屋に戻ったのであった。
<初めての女湯体験 END>
これで今回の章間は終わりです。
次の話から本編に戻る……はずです。




