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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第六章 三学期編
202/217

150話 〇がいない始業式

大変遅くなってしまって、申し訳ございません。


復帰早々ですが、

ここから暫く健吾視点となります。

ピンポーン――


あれから、何度電話しても、家まで行っても京が出てくれることはなかった。京と連絡が取れないままずるずると時間が過ぎていき、気が付くと3学期の始業式の日となっていた。学校が始まる今日ならば、京も出てくるに違いないと思い、インターホンを鳴らしたのだが、


「ごめんなさいね。今日もあの子は調子が良くないの。学校にはもう連絡をしてあるし、遅刻しても駄目だから早くお行きなさい。心配してくれてありがとうね」


やはり出てきたのは都さんだった。京とのあの会話の後から、家を訪ねても都さんしか出てこず、京は体調が悪いから会わせることが出来ないと、何を言っても家に入れさせてもらえなかったんだ。


「……わかりました。お大事にと伝えておいてください」


「えぇ、わかったわ」


俺は一つ息をはいてから都さんにそう言った後、学校に向かうためペダルに足を掛けたのであった。


…………

……


「で? なんで京は学校に来ていないのかしら?」


学校にやいなや、俺は篠宮さんに捕まり、そう問い詰められていた。


「……体調不良だそうだ」


それ以上に説明のしようがなく、都さんに言われている追い返し文句をそのまま伝えたんだが


「嘘ね」


篠宮さんはそれをバッサリと切り捨てるようにそう返してきた。


「どうせ、京に失礼なことを言って怒らせたんでしょうけど……。それでも、学校に来なくなるまでの喧嘩をするなんて相当よ? 一体何を言ったのよ?」


そしてそのまま、呆れの表情を浮かべながら聞いてきたんだが……


「いや、それがわからないんだ。……そう言えば、篠宮さんは彩矢って子を知っているか?」


心当たりがない俺は顔を左右に振りながら答えた。だが、途中でふとあることに思い至った俺は篠宮さんにそう尋ねたんだが、


「彩矢……? あー……、聞いたことない名前ね。その子がどうしたの?」


篠宮さんは少し考える素振りを見せたが、すぐにわからないと返してきたんだ。


「やっぱり知らない子だよな。いや、京が急に彩矢って子を知っているかと聞いてきたんだ。それで……」


やっぱり俺がド忘れしてしまったわけじゃない。ホッと安堵のため息をつきながら返そうとしたんだが


「それで、知らないって京に返したの?」


篠宮さんが俺の言葉に被せるように聞いてきたんだ。


「あ、あぁ。そうだが?」


なぜ急に被せてきたのかがわからず、少し困惑しながら返すと


「……そ。それならあたしからこのことをもうないわ」


篠宮さんは俺のことを一睨みすると、急に教室の方へと歩き出したんだ。


「ちょ、いきなりどうしたんだ!?」


少しでも一緒に考えてほしいと思った俺は慌てて引き読めようとしたんだが


「まずは自分で何が悪かったか考えてみたら? まぁ、あたしからするとその以前の問題よ。中山君はもっと……、いや、これ以上はあたしの口から言うことじゃないわね」


ちらりと俺の方に視線だけ向けてそう言うと再び歩き出してそのまま教室へと入ってしまったんだ。


「あぁ、なんだってんだよ……」


俺は頭の後ろをガシガシとかきながらそれを見送り、予鈴のチャイムでそれだけ時間がたっていたことに気づいた俺は急いで教室へと向かったのであった。


…………

……


「はぁ……」


俺は携帯の画面を見つめながらため息をついていた。何度見ても受信ボックスに京からの返信はなかった。


「はぁ……」


俺は何やってるんだろうな。京の様子がおかしい。その原因は彩矢って人物。そこまではわかっているのに、そこからどうしたらいいのかは全くわからない。母さんや都さんは何やら知っているようだけど、今の俺には言うつもりはないって返してくるし……。


……ん?


今の俺(・・・)……?


何かが頭をよぎり、何かをつかめそうになったときに


「中山、少しいいじゃろうか」


丘神が声を掛けてきたんだ。


「うん? どうしたんだ?」


だから俺は一度思考を中断して返すと


「いや、なに。京のことで、な。ここではなんじゃし、放課後少し時間をもらって良いじゃろうか?」


丘神は、やはり京のことで話があるということで話しかけてきたようだ。俺としても今はなりふり構わず相談相手が欲しかったこともあり


「あぁ、わかった」


と丘神に返した。それに頷いて丘神が自分の席に帰るのを見送るころには先程よぎったことはすっかり俺の頭から抜けてしまい


「……はぁ」


俺は何度目かもわからないため息をつきながら、次の授業に備えたのであった。


…………

……


「……それで、一体何をしでかしたんじゃ?」


放課後、人気の無い教室に移動した後、誰にも聞かれないためだろう、扉を閉めた丘神がそう切り出してきたんだ。


「いや、俺もわかっていないんだ。ただ、彩矢って子を知らないって言っただけで」


それに顔を左右に力なく振りながら返したんだ。すると


「……だけじゃと?」


丘神がボソリと何かを呟いたんだ。


「中山。お前は本当に知らないとだけ答えたのか?」


何を言ったのかを聞き返す前に丘神が確認をしてきたんだ。それに


「あぁ、そうだが。それが――」


それがどうしたのか。そう返す前に


「このっ、大馬鹿者がぁぁぁっ!!」


という声とともに俺の頬に衝撃が走ったのであった。

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