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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第五章 冬休み編
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147話 初詣④

遅れてすみません(´・ω・`)

やっぱりスマホ執筆難しいです(言い訳)

『ねぇ彩矢? 何か僕に隠していることあるの?』



京があの人から戻ってくるなり私にそう声を掛けてきました。あの人は一体何を京に吹き込んだのでしょうか……。


『それはどういう意味でしょうか』


ただ、内容が分からないことには対応も出来ないので、私は京にそう聞き返すと


『えっとね? 神様がね? 彩矢が今の内に聞いておかないと絶対後悔するような隠し事をしているって言ってたんだ。神様の言うことだからどこまで本当のことかはわからないけど、やっぱり不安になっちゃって……』


京はあの人から聞いた内容を教えてくれました。……また一番面倒な伝え方をしてくれていますね。今も恐らくは顔をニヤつかせながら私たちのやり取りを見ていることでしょう。ですが


『またあの人が京で遊ぶために適当なことを言っただけですよ』


あの人の思い通りになるつもりは更々ない私は京にそう言いました。


『本当に?』


京が不安そうに確認してきましたが


『はい。今回はいつもより返されるのが早かったでしょう?』


私は京にそう尋ね


『う、うん』


『恐らくは今日が初詣だからあまり拘束するのは悪いとかそのようなことを言われたのでしょう? あれは京のことを考えてではなく、ただ京が冷静になる前に送り返そうとしただけですよ。いきなりあの人のところに呼ばれて混乱している内に色々と言われて、そのまま何かを言い返す前に送り返されたはずです。違いますか?』


続けて京にそう言いました。すると


『う、うん。確かにそうだけど……』


京は私にまくし立てられたことで、少し混乱しているようでした。あの人ではありませんが、これ幸いにと私は


『はい、だから気にすることはありませんよ。私があの人の予想以上に貴女と打ち解けたことにひがんでいるだけなので』


京が不安に思っていることは気のせいだと伝えました。これで京の信頼があの人よりも勝っていれば私の話を受け入れてもらえるはずですが……。上手くいったのかどうか、京の反応を待っていると


『そ、そうだよね。……ごめんね? 変なこと聞いちゃって』


無事信じ込ませることに成功したようでした。あの人と全く同じ手法なのは少し思うところがないこともないのですが、京のようなタイプには有効な手段ですからね。使わない手はないでしょう。ただ、ホッとして返事をすることを忘れていると


『えっと……彩矢?』


京は疑ったことで私が怒っていると思ってしまったようで、私の様子を窺うように声を掛けてきました。


『あぁ、すいません。気にしていませんので大丈夫ですよ。むしろ落ち込まれた方が気になりますのでやめてください』


なので私はすぐにそう返しました。すると


『うん、わかった。ありがとう』


京からはお礼が返ってきました。どうしてお礼なのかはよく理解出来ませんでしたが、下手に聞くのも野暮だと思った私は


『はい』


とだけ返事しました。

京との話が終わったタイミングで


「京、さっきからずっと黙っているけど大丈夫か? 調子が悪くなってきたりしていないか?」


健吾さんがそう声を掛けてきました。


「うん、大丈夫だよ。ちょっと心配してたことが解決したからね」


なので私はそう返しました。先程は思わずいつも通りの返事をしてしまいましたが、今はもう不安材料をほとんど取り除けましたからね。その余裕もあって、京の真似をして返しました。前回のときに事情を話していましたので、これで伝わると思ってある程度省いて話したところ


「そうか。予想通りだったか」


無事健吾さんにも伝わったようで、そのような返事がありました。


「うん。ほぼ新年の挨拶だけだったよ」


正確には違いますが大まかには間違っていませんからね。下手に説明して拗らせるよりも良いと判断した私がそう返すと


「そうか、ならよかった。ちなみになんだが……」


健吾さんも頷いてから何か言おうとしていましたが、開きかけた口を閉じてある視点が固定されていました。どうしたのかと思い、健吾さんが見ている方向を見ると、篠宮さんがこちらをジッと見てきていました。そのことにビクリと体を震わせると、こちらが気付いたことに気付いた篠宮さんがこちらに近寄ってきて


「ねぇ」


私たちに声を掛けてきました。


「う、うん。何?」


私は健吾さんとの会話の内容がバレてしまったのではないかという動揺が表に出ないように極力気を付けながら返事をしたのですが


「まどろっこしいのは嫌いだから直接聞くけど、貴方たちって付き合い始めたのよね?」


「へ?」


返ってきた質問が完全に想定外であったこともあり、思わず気の抜けた返事をしてしまっていると


「へ? じゃないわよ。さっきから二人で内緒話ばかりしているし。何? そんなに見せつけたいの?」


篠宮さんは腰に手を当て、表情に少しばかりの怒りの感情を混ぜながらそう聞いてきました。


「いや、そういうわけじゃ……」


と誤解を解こうとしたところで


「あぁ、まだ付き合ってないぞ。今告白して返事待ちの状態なんだ。今絶賛アピール中だから、こうやって集まったところ悪いけどそっとしておいてくれないか?」


「『ちょっ!?』」


健吾さんがそんなことを言うものだから、京と共に驚きの声をあげていると


「……なるほどね。今日は色々と様子がおかしいからどうしたのかと思っていたのだけど、そういうことなのね。わかったわ。極力は二人きりにしてあげるけど、折角皆で集まったんだからたまにはこっちの会話にも混じりなさいよ?」


篠宮さんは呆れた表情を浮かべながらそういうと、服部さんたちの方へと戻っていきました。それを見送った後


「……よかったのですか?」


健吾さんにそう尋ねると


「あぁ。といっても、俺の引くつもりはないという意思表示をしたかっただけだしな。下手な勘繰りをされて他のことまで気がつかれるより全然良いだろ?」


健吾さんは笑みを浮かべながらそう返してきました。本当にこの人は……。


「ありがとう」


私はお礼だけ返し、その後は他愛のない会話をしながら篠宮さんたちの後を歩いたのでした。


京にしてしまった誤魔化しが後々問題になることに気付きもせずに――

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