146話 初詣③
スマホでの執筆は難しいですね……。主に誤字的な意味で。
前半は京視点、後半は彩矢視点です。
どうか健吾とちゃんと向き合えますように――
神様に祈りを捧げて眼を開けると、閉じる前とは全く違う風景――いつか見たことがある白い空間――が広がっていたんだよね。
そのどこかで見たことがある白い景色を見渡していると
「やぁやぁ、京ちゃん久しぶり!!」
丁度僕の見ていない方向からそう声を掛けられたんだ。声がした方へと振り向くと
「京ちゃんが神様にお祈りをしてるってことだったからね。それだったらお姉さんが出ないわけにはいかないでしょ?」
相変わらずフードを被っていることもあって口元しか見えないけど、それでも笑っていることがわかるくらい口で三日月を形作っている神様が居たんだよね。だけど、どうして神様にいきなり呼び出されたのか、今回は何もしていないはずなのに……。予想外過ぎて頭が追いつかず、何も言えずに口をパクパクさせていると
「あれ? 思ったより反応が薄いような? ……あぁ、なるほどね。京ちゃんからしたらルールを破っていないのに審判に呼ばれたようなもんだもんね、失敗失敗。まぁ、そんなことは置いといて、京ちゃんをこうやって呼んだのはちょっとお話したいことがあるからなんだ。だから京ちゃんがルールを破ったとか、そういうことじゃないから安心してね」
神様が僕の内心を読んだみたいで、神様が納得していたんだよね。
「話たい……こと?」
神様が呼び出してまで話たいことは何なのか。そんなことがあることにも驚きつつも、未だにほとんど機能していない頭を動かして、なんとかそう返すと
「うん。そうなんだけど……」
神様は頷きながらそう言った後
「詳しくは京ちゃんが落ち着いてから話すことにしよっか」
と肩をすくめながら僕にそう言ってきたのであった。
…………
……
「……どうかしたのか?」
京の意識があの人に持っていかれたこと――正確には余計なことをされていないか――が気がかりで、何をするにしても反応が少し遅れ気味になっていると、他の方との距離が離れたタイミングで皆さんの輪から外れて私のところへ来た健吾さんが小声で話掛けてきました。
「いえ……何でもありませんよ」
ですが、ただでさえ京のことで頭を悩ませているであろう健吾さんがこれ以上他のことで悩む必要がないと、私は軽く首を横に振りながら返したのですが
「そんなわけないだろ。現に少し他のやつらから離れているとはいえ、素が出ちまってるし」
健吾さんにそう指摘されてしまいました。京のことが心配なあまり、京のフリをすることも出来ていなかったようです。確か篠宮さんたちとも会話をしたはずなので、そのときに素が出ていなければ良いのですが……。思っていた以上に上の空だったことに、今更ながら不安になっていると
「それで、本当にどうしたんだ?」
健吾さんがもう一度聞いて来ました。……これはもう誤魔化すことは出来ませんね。観念した私は
「京があの人のところに行っているのですよ」
京がどうなっているのかについて話しました。正確には強制召集されたですが。ただ、私の言い方が悪かったこともあり、ペナルティのことかもしれないと思ったのでしょう。健吾さんの顔色が変わったのを見た私は慌てて
「健吾さんが考えているようなことはありませんよ。恐らくは、京が神様へ祈りを捧げたのを見て横やりを入れようとしているだけでしょうし」
健吾さんの誤解を解くために補足をしました。すると
「そうなのか……。本当に大丈夫なんだよな? また変なことはされていないんだよな?」
健吾さんは確認するように聞いてきました。健吾さんからしたら、京があの人に会うと基本的に何かしらの厄介事を持って帰ってきますものね。やはり心配なのでしょう。なので私は頷いてから
「はい。今回はルールを破るようなことは一つもしていませんので、何事もないはずですよ。ただ新年の挨拶などをしているだけでしょう」
健吾さんにそう返すと、漸く健吾さんの顔の表情が安堵のものへと変わり
「そうか。ならよかった。それじゃあ、あいつらとの距離も結構離れてしまったし、ちょっと呼び止めてくるよ」
京の話をするためにあけていた篠宮さんたちとの距離を縮めるためにそう言って篠宮さんたちの方へと駆け出していきました。そしてそれと入れ替わるタイミングで
『ハッ!? こ、ここは……?』
京があの人の元から帰ってきたようでした。
『おかえりなさい。何か変なことは……』
なので京に声を掛けようとしたのですが
『ねぇ彩矢? 何か僕に隠していることあるの?』
私の言葉を遮るように京がそう言ってきました。
……健吾さんに言った言葉は訂正しないといけないですね。何事もなくても厄介事はもって帰らされるようです。
一体京はあの人に何をそそのかれたのでしょうか。何を言われたのであれ、予想した通り面倒な展開になることには間違いないことに、私は今日何度目かなのかもわからないため息をこぼしたのでした。




