145話 初詣②
更新が止まってしまって申し訳ありません。
落ち着いたのかというと、まだ怪しいです。
現在PCが使えない環境なので、今回初めてスマホで書きました。言い訳100%なのですが、そのせいでいつも以上に誤字脱字が多いかもしれません。
【前回までのあらすじ】
ついに健吾から告白された京。しかし、そのせいで必要以上に意識をするようになってしまい、返事はおろか、健吾の顔をまともに見れなくなってしまった。それでも健吾と一緒に初詣に行くためにも、打開策という名の逃げの一手として、彩矢に替わってもらい、初詣に向かったのであった。
「そういや、クリスマスは何しとったんや? まぁ俺は正樹と俺の部屋で映画観とったんやけどな」
参拝の列に並び始めて暫くすると、小野さんが私たちに話題を振ってきました。
それに服部さんはチラリと私の方を見た後
「私と真琴も似たようなものですよ。私たちも二人で映画を観に行っていましたし」
と返していました。私も服部さんに倣って小野さんに返そうと口を開きかけたところで
「俺たちも同じようなもんだ。京と一緒に映画を観たりしたりしてたら終わってたよ」
健吾さんが先にそう返してくださりました。まだ京がヘタレたせいで返事をもらっていないこともあり、ボカした回答でしたが、小野さんは気にした様子もなく
「なんや、皆似たようなことしとったんやな。それやったら皆で集まって何かしてもよかったかもな」
カラカラと笑いながら返してきていました。
「あぁ、そうかもな。それより、年末の番組は何を観たんだ?」
「年末の番組? それやったら俺んところは――」
健吾さんも、やはりクリスマスの話題を引き延ばしたくはないようで、話が広がる前に小野さんに違う話題を振っていました。その様子を眺めていると、服部さんが他の人には気付かれないようにこちらに近付いてきました。そして
「京さん、あの後は大丈夫でしたか?」
私にそう聞いて来ました。あの時の反応から感じていましたが、服部さんはまだあの時のことを引きずっているようでした。なので私は努めて明るい声になるように意識しながら
「うん、全然大丈夫だったよ。って言っても、いつも通りゲーセンに行ったりして遊んだだけだったから、優花ちゃんが気にすることなんて何にもないよ」
服部さんにそう返しました。まだどこか納得していなさそうな表情を浮かべていましたので、私は焦ったように手を目の前で軽く横に振りながら
「ほんとだって!! 優花ちゃんが何を考えてるようなことは何も起きてないって!!」
と言うと
「そうですか……。あの時の様子から進展があったとは思ったのですが……」
服部さんの疑いはまだ晴れないようで、まだ何かを考えているようでした。ですが、服部さんが何かを思いつく前に
「なぁにあたしを除け者にして内緒話をしているのかしら?」
健吾さんたちの話題が一区切り着いたらしく、篠宮さんが私たちの方へと来つつそう声を掛けてきました。今の話題も服部さんは触れて欲しいような内容ではないので、どう返したものかと考えていると
「そちらと似たようなことしか話していませんよ。年末年始にどのようなものを作ったのかについてを話していただけです」
服部さんが篠宮さんにそう返しました。ならばと
「うん、やっぱり家で作るものとか色々変わるんだなぁって話してたんだ」
服部さんの話に乗るようにして篠宮さんに返すと
「あぁ……、確かにそれだとあたしは混ざれないわね」
と納得した表情を浮かべていました。その様子に服部さんは呆れた表情を浮かべながら
「真琴ももう少し丁寧にするように心掛けるだけで十分作れるようになるとは思うのですが……。まぁ、それより、真琴は順番が来ましたら、何を祈るつもりなのですか?」
一つ苦言をしたあと、参拝のときに何を祈るのかについて聞いていました。それに篠宮さんは
「祈り? あたしは祈らないわよ。ただ、無事に1年無事に過ごせたってことを報告するだけ。京はどうなのよ?」
祈るものではないと返した後、私に振ってきました。篠宮さんはどちらかというと、時間のある限り祈りというか欲望を神様にぶつけているイメージがあった私は少し動揺してしまい
「わた、僕も神様に祈る派かな。真琴のことだから、誰かに呼ばれるまでずっとあれしたい、これしたいって祈り続けてるものだと思ってたよ」
一瞬だけ素で返しそうになってしまいましたが、何とか軌道修正し、誤魔化すために篠宮さんをからかうようなことを言うと
「ほほー。京が普段からあたしをどのように見ているのかをすこーし話し合いましょうか?」
と凄んだ笑みを浮かべながら近付いてくる篠宮さんに
「あはは、ごめんごめん」
と謝りながら、いつもの空気になったことに心の中で安堵の息をつき、それからは参拝の順番がくるまで他愛のない話を続けました。
…………
……
『京、参拝の間だけ替わりましょうか』
あともう少しで参拝の番がくるというタイミングで私は京にそう言いました。
『え? でも……』
ですが、今日は私が表であることを約束しているのに、長蛇の列を並んだ後だけ替わるということには抵抗があるようで、渋った返事がありました。それは予想通りでしたので私は
『私よりも京の方が祈りたいことがあるのではないですか? いつまでも引き延ばすことが出来るなんて甘い考えをしていては駄目ですよ?』
京を煽るように問いかけました。それに京は呻き声で返してきましたが、それには反応せずに待っていると
『……本当にいいの?』
と聞いて来ましたので私は
『もちろん』
と即答して京と入れ替わりました。
ギリギリのタイミングで入れ替わったこともあり、すぐに順番が来たので、内側から京が祈っているのを見守っていると、急に再び私が表に出てきてしまいました。何事かと思って京に何度か声を掛けたのですが、反応が全くありませんでした。何か京にあったのかと不安になりましたが、すぐに意識が持っていかれている状態だと気付き、それが誰の仕業なのかもわかった私は誰にも気付かれないように一つため息をこぼしたのでした。
勇輝はクリスマスイヴの京と健吾の様子を見た真琴と優花が気を利かせたこともあり、呼ばれておりません。哀れ。




