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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
183/217

章間㉛ 明日に備えて

遅れてすみません。

後、今回はいつもより短いです。

「これでよし……と」


俺は明日持っていく鞄の中に京へのプレゼントが入っていることを確認した俺は鞄を閉じたんだ。この2日間の妙なテンションのまま買ってしまったわけだが、果たしてちゃんと彼女は喜んでくれるだろうか。ある程度冷静になった今から見てもおかしくはないんだが……。


ただ、今までとは全然違う方向性なため、もしかしたら受け取ってくれないかもしれないと急に不安になり、自己暗示も兼ねて大丈夫だと繰り返し呟いていると


「なにブツブツ言ってるの? リビングまで聞こえているんだけど」


思いのほか声が大きくなっていたみたいで、母さんがそう言いながら部屋に入って来たんだ。


「……入るときはノックしてくれっていつも言っているんだが」


今回は俺が大きい声で独り言を言っていたせいってこともあるが、それでも勝手に部屋に入って来たことに対して抗議すると


「今回は健吾が煩かったから例外。普段はちゃんとノックしてる」


母さんはそう返して来たんだ。母さんが普段は急な用事がない限りはノックはしてくれてるもんなぁ。俺からしたらその急なときでもノックはして欲しいんだけどな。やっぱりその……なんだ。親にも見られたくないときってあるしな。

ただ、今回は別にそんなときでもないし、母さんが文句を言ってくるくらい声が大きくなってしまっていたこともあり、母さんの言葉に言い返せないでいると


「ちゃんと京ちゃんへのプレゼントは買った? 健吾のセンスはイマイチだから心配」


母さんがそんなことを言ってきたんだ。


「な!? 別にいつも通り京に会うだけなんだから用意してないって」


母さんには京への気持ちについてはまだ伝えていないにもかかわらず、プレゼントのことを聞いてきたことに思わず動揺してしまったんだ。それでも何とか誤魔化すための言葉を口にしたんだが


「嘘。ここ数日の浮かれ具合からしてすでに用意してる。明日はクリスマスイヴ、しかも自分の気持ちに気づいた分特別なものを」


母さんは俺の嘘を見抜いたかのようにそう言ってきたんだが、その中でも特に聞き逃せない言葉があったことに俺は


「なん……」


何でそれを知っているのかを問いただそうとしたんだが、母さんにバレていたことが予想外過ぎてマトモに舌が機能せず、口をパクパクとさせていると


「京ちゃんの話題が出る度に話を逸らそうとしていたら誰でもわかる。しかもその度に頬を赤らめていたし」


母さんは容赦なく俺の態度がバレバレだったと言ってきたんだ。母さんの言い方からして、父さんにも間違いなく知られているだろうことに俺はガクリと肩を落としてると


「私からすれば今更。むしろようやく気付いたのかと言いたいレベル」


母さんは追撃の如く俺にそう告げてきたんだ。その言葉に少し引っかかった俺は頭だけ少し上げ


「……そんなに昔からだったか?」


と尋ねると


「態度に出始めたのは高校から。意識し始めたのはもっと前」


母さんがそう返して来たんだ、でも高校より前ってことは中学のときからってことだよな? ……って! そのときはまだ京は京矢()だったろ!? いや、確かにあのときから京のことは好きだったが、まだ人として(・・・・)好きなだけだったはず……っ!!

そんな馬鹿なと少ししか上げていなかった顔をバッと上げて、必死にあのときのことを思い返そうとしていると


「ただ高校にあがる前にハッキリと自覚しただけ。何があったかまではわからないけど、健吾が京ちゃんを好きだということには変わりない」


母さんは続けてきっぱりと俺にそう言ってきたんだ。そしてまだ動揺が収まらず、まだ上手く思考することが出来ない俺に


「色々言ったけど、健吾の気持ちが一番大事。気持ちが定まった後はただ走るだけ。私は期待してる」


母さんはフッと笑みを浮かべそう言ったかと思うと、体を翻して部屋を出ていこうとしたんだ。そのまま出ていくものだと思ったんだが、いざ部屋を出ていく直前、扉に手をかけたまま俺の方へと顔だけ向け


「別にもう1人、いや2人養うことになっても問題無い。だからどれだけ進んでも大丈夫」


と口角を上げながらそう言って、今度こそ部屋を出て行ったんだ。母さんが部屋を出た後、ようやく動揺から立ち直って来た俺は、最後の母さんの意味を改めて思い返し、その言葉の意味を理解した俺は


「余計なお世話だ!!」


既に姿が見えなくなった母さんに向かって大声で叫んだのであった。



<明日に備えて END>

次回から冬休み編です。

現実は夏ですが……、是非もないよね。

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