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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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129話 スポーツ大会③

どうもまた遅刻気味な作者です。

やはり年度末はどうしても忙しくて時間が取れないですね。

『いいですか、相手のリズムを乱すことが大事です』


卓球台の前に着き、後少しで試合が始まるというとき彩矢がそう声を掛けてきたんだ。


『見たところ、予想通り私たちのことを見て安牌だと思っているようですし、驚かせてしまいましょう』


対戦相手を見ると、彩矢の言う通り僕たちの方を見て安堵の表情を浮かべていたんだよね。とてもじゃないけど試合前のような雰囲気でもないし、まるで休憩ポイントみたいに思われているようだったんだ。確かに今までの僕だったらそうだったかもしれないけど……


『うん。最初から仕掛けていくんだよね?』


今は彩矢が力を貸してくれるからね。2対1みたいなものだから少しズルい気がしなくもないけど、僕以外にはわからないことだし、とにかく1回くらいは勝ちたいもんね。彩矢との認識を合わせるためにそう聞くと


『そうですね。都合の良いことに、予選は決勝のような3セット先取ではなく1セット先取です。先ほども言いましたが、上手く最初の一撃で上手く呼吸を乱すことが出来れば逃げ切れる確率があがります』


彩矢は了承を返してくれたんだ。最初の作戦が決まったタイミングで


「それでは試合を開始します」


と審判の先生が僕たちに言ってきたんだ。その言葉を合図に僕は前へ1歩踏み出したんだ。僕と対戦相手が来たのを確認した先生は


「まずは先攻後攻を決めるためにじゃんけんをします。じゃんけんぽんのぽんのタイミングで出してくださいね。確認とはなりますがじゃんけんで勝った方が先攻、負けた方が後攻です」


そう言って、僕たちが頷いたのを確認した先生の


「それじゃあ行きます。じゃんけん……」


言葉に続いたポンの言葉に合わせるようにして僕は手を前へと出したのであった。


…………

……


『後攻なのは丁度よかったですね』


じゃんけんに勝って勢いをつけようと思っていたところにじゃんけんで負けて出鼻を挫かれてしまった僕に彩矢はそう言ってきたんだよね。


『ははは……、大丈夫だよ。こんなことで気落ちはしない……。しないから』


それが励ましだと思った僕はそう返したんだ。すると


『いえ、本心で言っていますよ? 先攻のサーブからですと、一度こちら側のコートでバウンドさせないといけないですから、相手を驚かせることがどうしても難しいですし。その点、後攻ならば直接相手に返せますからね。だからこそ後攻の方が都合が良かったのです』


彩矢がそう説明してくれたんだ。確かに2回跳ねさせてからだと僕たちじゃどうしても勢いがあまりつけられないもんね。それなら彩矢の言う通り相手に直接返せる後攻の方がよかったかも。どこまで本当のことかはわからないけど、彩矢の言葉で少し気持ちを持ち直すことが出来た僕は


『うん、彩矢の言う通りだね。ありがとう』


彩矢にお礼を言ったんだ。


『私は本当のことを言ったまでです。それよりもすぐに始まりますよ。早く構えてください』


彩矢の素直じゃない返しに思わず苦笑を浮かべながら相手の様子を見ると、相手の人は僕が構えるのを待ってくれていたんだ。彩矢と話している間は他の人からしてみればボーっとしているようにしか見えないもんね……。本当ならお互いが指定位置に立ったときから始めても問題がなかったのに待ってくれていた相手に感謝しつつ慌てて構えると、相手は僕を見てニッコリと笑みを浮かべてからピンポン玉を上に投げたんだ。


『良いですか、最初からですよ』


上に投げられたピンポン玉が下に戻って来ているときに彩矢が念を押すようにそう言ってきたのを僕は心の中で頷いて返し、相手から勢いよく僕の方へと飛んできたボールを


『『せーのっ!!』』


彩矢と声を合わせて力いっぱいに打ち返したのであった。


…………

……


『もうちょっとなのにっ!!』


今僕は心の中で思わず悪態をついていたんだよね。最初は彩矢と僕の思い通り相手を驚かせることに成功したこともあり、僕たちが点を取ることが出来たんだ。だけど、やっぱり対戦相手は卓球部ということもあり、想像していたよりも早く調子を取り戻しちゃったんだよね。彩矢のおかげで僕だけじゃ絶対に打ち返せないような球まで返すことが出来たんだけど、どうしても僕の反射神経じゃ反応しきれずに返せない球が出てきたんだ。結果として今は3点連続で取られて10-8とかなり追いつかれてきたんだよね。今も彩矢と力を合わせて打ち返したんだけど


「そこっ!!」


という相手の言葉と共に打ち返されてしまった球に僕はまた反応できず、また点を許してしまったんだ。ついに追いつかれるまで後1点というところまで来てしまい、焦りも最高潮になってきてしまったところで


『……仕方がありませんね』


彩矢がそう呟いたんだ。


『何!?』


だけど、焦りから上手く聞き取ることが出来なかった僕は叫ぶようにそう返すと


『落ち着いてください。ただでさえ押され始めているのに、心の余裕まで無くしてしまったらもう勝ち筋は本当になくなってしまいますよ。幸い、サーブは私たちです。まずは深呼吸をしましょう』


彩矢に諭されるようにそう言われたんだよね。そこで本当に余裕がなくなってしまっていたことに気づけた僕は彩矢に言われた通り深呼吸をしたんだ。そして


『……うん。ごめん、少し落ち着いたよ。今の彩矢の言い方だと、まだ勝てるんだよね? 今の僕たちの球にもほとんど対応されちゃっているけど……』


彩矢に一言誤ってからそう尋ねたんだ。すると


『そこに気づけるまでは落ち着けたようですね。はい、そう思って大丈夫です。出来ればしたくなかったのですが、背に腹は代えられません。京はしっかりと相手とボールを見てください。そうすれば私が相手にどちらに打つのかを京に教えますので』


彩矢はそう返してきたんだよね。


『え? そんなこと出来るの?』


確かに打つ方向がわかれば大分マシにはなるだろうけど、相手を見るだけでそんなことが分かるとは思えなかったから聞き返すと


『少しコツは要りますが出来ます。それさえ分かれば京も打ち返せるでしょう。後は京次第ですから頑張ってください』


彩矢から肯定が帰って来たんだ。彩矢が言ってきたことが本当なのかはわからないけれど、他の方法もなかった僕は


『わかった。それじゃあお願い』


と彩矢にお願いをしてから僕はサーブを打ったのであった。


…………

……


「んっ」


何度目かのボールを僕は打ち返したんだ。彩矢が言っていたことは本当で、相手が左右のどちらに打つのかがわかったおかげでさっきまでよりも余裕を持って打ち返すことが出来たんだよね。そして今も相手が打ち返して来た球も彩矢のおかげで方向がわかった僕はまたも打ち返したんだ。すると


「あっ」


ボールはネットにあたり、ギリギリ相手のコートに入ったんだよね。それに相手は焦りの声を出して何とか僕のコートへ打ち返してきたんだけど、スマッシュを打つのには絶好球であったため僕は


『『せーのっ!!』』


と、この試合の開幕のように彩矢と声を合わせ、全力で相手のコートへ打ち返し、何とか勝利をもぎ取ったのであった。


…………

……


試合終了でお互いに礼をした後、僕は控えの方へと戻りながら


『彩矢、ありがとうね!! この調子で次の試合も……』


と言おうとしたんだけど


『それは無理ですね』


彩矢にバッサリと切られてしまったんだ。


『え? 何で……』「いっ!?」


その理由を聞こうとしたんだけど、急に右腕が痛み始めて思わず声に出してしまったんだ。


『普段使わないところまで無理やり使いましたからね。今日は筋肉痛でもうまともに動かせないでしょう』


そんな僕の様子に彩矢は呆れたような声色で言ってきたんだ。そして彩矢の言う通り、筋肉痛でまともに体を動かせなかった僕はこの後の試合すべて惨敗したのであった。

作者は卓球をあまり詳しくないので、色々と間違っていたらすみません。

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