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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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128話 スポーツ大会②

すみません、またもや遅れました。

作業用PCの調子が悪くなったりしてですねという言い訳をしたりしなかったり。

「そういえば、今日はどうしたんですか?」


参加種目である卓球の会場である卓球場に向かっているときに優花ちゃんが僕にそう尋ねてきたんだよね。スポーツ大会とは言っても、体育祭よりは簡易なイベントで、競技種目以外は全部その日だけで終わらせちゃうんだ。だから今はあの種目決めから1時間くらいしか経ってないんだよね。ちなみに真琴と小野君、それと小野君に引っ張られて空元君がソフトボール、勇輝はフットサルだったんだ。種目が決まった後に少しの間だけみんなと話したんだけど、そのときに彩矢との約束を守るために、気持ち半歩だけ下がって話しかけるように心掛けたんだよね。これからの練習として、本当に気持ち程度だから周りにはバレていないはず。ただ。別れるときに真琴が何か言いたげな表情をしていた気もするけど……。っと、それよりも


「うん? どういう意味?」


優花ちゃんが漠然とした質問をしてきたこともあって、どういう意味なのかがわからなかった僕はそう聞き返すと


「今日はいつもより男子の方との距離が遠いですよね? そのことが少々気になりまして」


優花ちゃんはそう言ってきたんだ。彩矢と決めた通り男子とは少し距離を取ることを決めた僕は確かにまずは練習と思って、クラスの男子たちにいつもより半歩だけ近づくのをやめていたけれど、まさか気付かれるとは思っていなかった僕は内心で驚きながらも


「そう? そんなつもりはなかったけど……」


僕は誤魔化すことにしたんだ。詳細までは言えないけど、距離を取ることをしたこと自体は別に言っても良いんだけど、下手な勘繰りをされちゃうのが目に見えているしね。だから笑みを作りながらそう返したんだけど


「そうですか。それではまた今度教えてくださいね」


優花ちゃんも笑みを作って僕にそう返してきたんだ。あはは……、バレバレだったみたい……。ってことはあのとき真琴も気付いていたってことだよね。

優花ちゃんの返事に苦笑していると


「そういえば、体調はもう大丈夫なんですか? この学校も何を思ったのか文化祭の直後にスポーツ大会をするという詰め込み具合ですが……。今日は休むという選択肢もあったと思いますよ?」


優花ちゃんは話題を変えてくれたんだよね。僕は優花ちゃんの気遣いに、心の中で感謝しつつ


「うん、大丈夫だよ。昨日も言ったけど起きたときにはもう体調は全快していたしね」


両手でガッツポーズを作りながら返したんだ。すると優花ちゃんは笑みを浮かべながら


「大事にならなくて本当によかったです。今日は楽しみましょう」


と言ってくれたんだ。僕も


「うん!!」


笑顔で返し、卓球場へと向かったのであった。


…………

……


「ぬぅ」


今丁度3回目試合を終えたところなんだけど、僕は今のところ全部負けちゃっているんだよね。しかも僅差とかでもない、一方的な負け方で。ただ、卓球は他の種目と比べて1試合の時間が基本的に短いこともあって予選と決勝があっるんだよね。予選がブロック毎の総当たりで、各ブロックの一番の人通しで決勝トーナメントを行うんだ。もう3回負けて決勝戦には出られないけど、負けっぱなしは面白くない僕はせめて1回くらいは勝ちたいと思っていると知らない間にそんな声を出してしまっていたんだよね。


『力が欲しいですか』


しかもその次の対戦相手が卓球部の人だから今までの人よりも勝てる可能性が少ないことに頭を悩ませていると彩矢が僕にそう言ってきたんだ。


『えっと……?』


だけど、彩矢どうして急にそんなことを言ってきたのかがわからず戸惑っていると


『こほん。すみません、少しふざけすぎましたね。簡潔に言うとですね、京は次の試合に勝ちたいですか?』


彩矢は1つ咳払いをした後僕にそう尋ねてきたんだよね。


『う、うん……。そりゃあ勝ちたいかって言えば勝ちたいけど……』


ただ次の相手がなぁと思いながら彩矢にそう返すと


『確実に……とは言えませんが、今よりは断然勝てる可能性が出る方法があるのですがどうしますか?』


彩矢はそんな僕が丁度欲しいと思っていた言葉を投げかけてくるものだから


「そんなこ……っ!!」


思わず心の中でだけじゃなく、口に出しちゃったんだよね。途中で口に出していることに気が付いて慌てて口を閉じて回りを見渡したんだ。幸いみんな試合を見ていたり、友達と話したりしていたこともあって僕のことを気にしている人はいなかったんだよね。そのことに僕は安堵の息を漏らしながら


『そんなことが出来るなら願ったり叶ったりなんだけど、本当にそんなこと出来るの?』


彩矢に聞き返すと


『はい。……っと言ってもすでに京も知っている方法を少し応用するだけですよ?』


彩矢は僕が知っているって返してきたんだよね。


『へ? 僕がもう知っていること……?』


彩矢の返事内容が思っていたこととは全然違ったこともあり、思わず変な言葉を返していると


『そうです。つい先ほどもそれを京は使いましたよ』


彩矢はそう返してきたんだ。彩矢に言われたこともあり、今朝のことを思い出したんだけど、そんな次の卓球の試合に使えそうなことは何一つ思いつかなかった僕は


『……ごめん、全然わからない』


彩矢に答えを聞くことにしたんだ。すると


『もう少し注意深く考えればわかることなのですが……。今回は時間もないことから仕方ないですね。今朝京がクラスの男子にまた不用意に近付きすぎたときに私が何をしたか覚えていますか?』


彩矢は一言僕に嫌味を言いながらも答えを教えてくれるみたいなんだ。ただ、まだ全部は教えてくれないみたいで、彩矢がそう聞いてきたから


『えっと、僕の動きとは反対に動こうとしたんだよね?』


彩矢があのとき僕にしてくれた説明を思い出しながらそう返すと


『はい、そうですね。私が京の動きと逆の動きをしようとすることで動きが抑制されるというものですね。では、逆に京の動きと同じ動きを私がした場合、どうなると思いますか?』


彩矢は一つ一つ答え合わせをするかのようにそう僕に言ってきたんだ。そこまで言ってもらったことであることに思い至った僕は


「あ……」


思わず小さくだけどそんな声を出していると


『ようやく京もわかったようですね。京の予想通り、私が京の動きと合わせることで抑制の逆、つまりは促進されます。なのですでに3試合もした後ということもあり、京の実力を知っている格上の相手でしたら1試合分くらいならば勝てる可能性があるということです。相手も私たちの実力を大分下に見ているでしょうし』


彩矢は僕が思い至ったことが正しいということをちゃんと説明してくれたんだ。そして


『もちろん多少のデメリットがありますが、どうします?』


彩矢が僕にどうするかを尋ねてきたんだよね。


『……うん。お願いするよ』


僕は少し考えた後、彩矢にお願いをしたんだ。


『……聞かないのですか?』


彩矢は僕にそう聞き返してきたんだけど


『気にならないことはないんだけど、神様のペナルティみたいにずっと影響があるとかそういうことでもないんだよね?』


僕が彩矢に確認をすると


『そうですね。影響はあっても1日2日ですね』


彩矢はそう返してきたんだ。


『なら大丈夫かな。やっぱり負けっぱなしは嫌だからね』


折角なんだから一度くらいは勝ちたいよねと思いながら返すと


『わかりました。それでは本番はそのように』


彩矢の了解を得ることが出来たんだ。そしてそれと入れ替わるようなタイミングで


「京さん、そろそろ試合ですよ。次の試合は今まで以上に強いとは思いますが……」


丁度試合が終わっていた優花ちゃんが僕に次の試合が始まるってことを教えてくれたんだよね。その後に何かを言おうとしていたんだけど


「わかった! 優花ちゃんありがとう! よかったら見ていてね!」


遮るようにお礼を言った後、小さくガッツポーズを優花ちゃんに向かって作ってから試合が行われる卓球台の方へと向かったのであった。


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