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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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123話 2つ目の追加ペナルティ④

すみません、また遅れました。

何ていうか、過去最高の難産でした。

文章の肉付けが全くできなかったのです……(・ω・`)

「よう、調子どうだ?」


彩矢とこれからのことについて話をしていると、そう言いながら健吾が保健室に入ってきたんだよね。全然僕のことを心配していなさそうだったから、神様が言った通り記憶操作されていないということがわかった僕は


「うん、大丈夫だよ」


健吾にそう返したんだ。実際、今まだベッドにいるのは真琴に安静にしていろと言われちゃったからそうしているだけだしね。だから元気だということをアピールするために軽くガッツポーズをしていると、


「ならいいんだがな。……それよりも大丈夫なのか? ……追加のあれをもらってしまったんだろ?」


健吾は苦笑しながらそう返してきたかと思うと、辺りを見渡して誰も居ないことを確認してから僕のいるベッドの近くの椅子に座って小声で僕にそう聞いてきたんだよね。だけど健吾が知るはずのないことを聞いてきたこともあって僕は


「何で……?」


何も返せずにただそう呟いたんだ。神様は今回の記憶操作は健吾には行わないって言っていたはずなのに……。それなのにどうして健吾が知っているのかがわからずに頭の中が真っ白になりかけていると、


『あの人が何もしないわけがないでしょう。恐らく健吾さん含め、お母さんやお父さんたちにも今回のことはある程度ですが知識としてあの人が渡しているのでしょう』


彩矢がそう言ってきたんだ。彩矢が今の状況で話しかけてきたことも予想外だったけれど、神様がそんなことをしていたのだと言われた僕は、驚きを通り越して逆に冷静になれたんだよね。だからこそその真偽を彩矢に聞き返そうとしたんだけど、


「なんて言えばいいかな……。ふとした拍子に京がまたあれを受けたっていうのがわかったって言うのが一番近いかな。まぁ、急にいなくなった清水がそれと同時に現れたのにはかなり驚いたが……。それよりも丘神たちの様子からして、これってあれだろ? あの人……人でいいのか? が何かしたんだろ?」


その前に健吾がまるで彩矢の声が聞こえていたかのようなタイミングで彩矢の言葉を肯定するようなことを聞いてきたんだよね。だけど、僕自身も彩矢に本当かどうかを聞いているところで、健吾に返す確かな答えをまだ持ていなかったこともあって


「えっと……、たぶんそうだと……思う」


曖昧な返事しか出来なかったんだよね。そんな僕の返事に健吾は


「京もわかってないのか……? まぁでも、こんな不思議現象が起きたんだからまず間違いないだろ。それで肝心の内容については……、今は聞かない方がいいか。誰が聞いているかわからないしな。恐らく清水たちが俺たちの会話を聞こうとして扉に耳を当てているだろうし」


少し悩む素振りをした後、そう言ってきたんだよね。そしてそう言い終わると健吾は椅子から立ち上がったんだ。


「えっ? どうしたの? 清水たちに注意しにでもいくの?」


健吾が何で立ち上がったのかがわからずに、ただ思いついたことを聞いたんだけど


「いや、まぁ確かに注意しには行くが、京が無事だってことを確認出来たし、小糸たちに今回のことを誤魔化しつつ説明しに行ってくる。ほら、知らないことを急に知っただろ? そのときに少し動揺してしまってな。そのときは俺も状況が理解出来ずに小糸たちに少しだけだけど聞いてしまったんだ。そうしたらその食い違いについて清水に食いつかれてしまってな。一先ずは京が心配だからってことで誤魔化したんだが、いずれ何かしら言わないといけないから今の内に済ませておくのさ。それに久川さんも(・・・・・)待たしているしな(・・・・・・・・)


「えっ……」


健吾はそんなことを言ってきたんだ。まぁ、知らないはずの記憶が急に入り込んで来たら驚いておかしな行動を取っちゃうよね。そうしたらあの清水が見逃すわけないもんね……。だけど、そんなことよりも比較にもならないことが健吾の口から出たことに、思わず呆けた声を出していると、


「まぁ、あれだ。要は清水たちに説明するって面倒事をさっさと済ませてくるってだけだ」


健吾は僕が上手く聞き取れなかったと思ったらしく、簡潔にもう一度言ってくれたんだよね。だけど、僕が確認したいのはそこじゃなくて、


「いや、そうじゃなくて、その後に、久川さんって……」


まだ(・・)健吾の口からは聞くことはないと思っていた人名が出てしまった動揺から、言葉に詰まりそうになりながらも健吾にそう尋ねると、


「あぁ、言ってなかったか。前々から久川さんに文化祭を一緒に回ろうと誘われていてな。でもほら? 清水たちが来たがるのが目に見えていたから、一緒に回れる時間があったとしても少ないって言って断っていたんだ。実際に予想した動機とは違ったがそうなったしな。ただ、それでもいいから、少しの間でも一緒に回りたいって、まだクラスのやつらが大勢残っている教室の中で言われてしまったんだよ。クラスのやつらの前ってのもあったが、そこまでしてくれたのをさすがに無下には出来なくてな。だから清水たちへの説明が終わった後に少しだけだが一緒に見て回ることになってるんだ」


健吾はさらっとそう言ってきたんだよね。そして


「それじゃあ、そういうことだから俺は行くな? 後、大丈夫だとは思うが、今日は大事を取っておけよ? 本当は送りたいところなんだが、クラスの打ち上げがどうしても抜け出せそうになくてな……」


安請け合いなんてしなければよかったとか呟きながら健吾は僕にそう言ってきたんだ。そういえば健吾のクラスの出し物は、健吾がメインだったね……。さすがに主役が打ち上げで抜けちゃうのは余程の理由がなかったら難しいもんね。久川さんのことは気になるけど、本当に倒れたわけではないこともあって、健吾を引き留めたくても引き留める理由が思いつかなかった僕は


「……うん、わかった」


と返したんだ。だけど健吾は僕の言葉に対して困ったような表情を浮かべて動こうとしなかったんだよね。どうしたんだろうと思っていると、


「えっとだな……。京、服を掴まれていると動けないんだが」


健吾は頬を指でかきながら僕にそう言ってきたんだ。そこでようやく健吾の服を掴んでしまっていたことに気が付いた僕は慌てて手を離し


「えっ、あっ、ご、ごめんっ!!」


と謝ったんだ。すると健吾は手を左右に振って、気にしなくていいって合図を僕にしてから、


「それじゃあ、本当に気をつけるんだぞ」


と言って保健室を出て行ったんだ。僕はそれをただ見送り、健吾の服から手を離したままだった手を下ろしてから力なく溜息をついたのであった。

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