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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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章間㉖ 補講のやりとり side-健吾

補講のときの京と健吾のやりとりの補足的な話となります。

――よかった。


無事京の誤解を解くことが出来たことに俺は胸をなでおろしながら元の席に戻ると、


「お熱いねぇ」


さっきまでつるんでいた同じクラスのやつにそうからかわれてしまった。


「……うるさい」


まぁ、教室の中であんなやり取りをしてしまったんだ。京は恐らく何も感じていなかっただろうが、教室内のやつらほぼ全員俺らのことを見ていたし。やはりせめて教室の外に連れ出すべきだったかと心の中で舌打ちをしながらそう返すと、


「まぁまぁ。折角中山の表情が元に戻ったんだから今は大人しく見守っていようじゃないですか。それにしてもあの子が中山のお気に入りなんですね。色々と噂にはなっていたから一度しっかりと見てみたいとは思っていましたが、中山はあのようなタイプが好みっと。なるほどなるほど」


もう一人がそう言って意味深な笑みを浮かべながら頷いてきたんだ。


「……余計なお世話だ」


だから俺はそう言って、この話は終わりだと視線を外して席に座ったんだが、


「やーい、言われてやんの。大体そういうのこそが余計なお世話ってやつだろ? ほんっとおまえは自称情報屋のくせに踏み込み過ぎなんだよ。なぁ? 中山もそう思うだろ?」


「自称は余計です。それに、僕も情報屋である前に1人の人間なんです。友人に少々肩入れしたり踏み込んだりするのは仕方がないことです。中山もそう思うでしょう?」


「情報屋名乗ってるくせに誰かに肩入れしている時点で駄目だろー。それに、情報屋名乗るなら今回のテストのことだって仕入れていないとおかしいし、補講にかかることもおかしいだろ? やっぱりお前は自称情報屋だわー。中山からも何か言ってやれよ」


「いつも言っていますが僕の情報は対人関係だけですよ。だからテストとかそういった些細なことは専門外なんです。本当にあなたはいつも人の話を聞きませんね。中山からも何か言ってください」


2人は仕切りに俺に話を振ってきたんだ。元々もう補講が始まるまで見直しもするつもりがなかった俺は溜息をついた後にもう一度こいつらの方へと向き直り、補講が始まるまで雑談に興じたのであった。



………………

…………

……






「まさかあんな補講になるとはなぁ」


補講の後、約束通り京と一緒に自転車を漕ぎながら――もちろん並走はしていないが――帰っている途中に補講のときのことを思い出しながらそう呟くと、京の耳にも届いたらしく


「そうだね。でも本当に助かったよ」


と返してきたんだ。そのときに丁度車も滅多に来ず、並走しても問題がない道に入れたのもあって、俺は少しだけ漕ぐ速度を落として京の横に並んでから


「そうだな。俺も今回相当やらかしたからかなり助かった」


そう返した。京には言えないが、京に避けられてしまっていたせいで全くと言っていいほどテストに手がつかなかったんだ。その結果、ほぼ全ての教科で惨敗、基本的に赤点という結果になってしまった。作文に至っては、書こうとはしたんだが、京とどうすれば仲直り出来るかを考えている間に時間が無くなって何も書けなかったんだよな……。本当に今回の対象が零点以下で助かった。実力テストの全体的な評価のウェイトは低いとはいえ、ここまで悪いとさすがに色々と響いてくるしな……。そんなことを思い返していると、


「そういえば、健吾はどうして補講になったの? あの補講にいたってことは作文で零点以下を取ったってことなんだろうけど……。普段の健吾なら補講になんてならないよね?」


京が俺の内心を見透かしたかのような質問をしてきたんだ。そんなピンポイントな質問に内心で苦笑しながら


「まぁ……あれだ。少しだけ(・・・・)いつもより集中出来なくてな。だから色々と初歩的なミスをしまくって作文が零点だったんだ。だからこそ今回は本当に助かった」


と、表情には出さないように気をつけながら返すと、


「へぇ。健吾でもそんなことあるんだ」


って返ってきたんだ。……京は俺を完璧超人か何かとでも思っているのか? 確かに京の前では出来るだけ格好つけたかったから失敗は滅多にしないよう気を付けてはいたが……。それでも俺が失敗したことに意外そうな表情を浮かべている京に、今度こそ隠しきれなくなった苦笑を顔に出しながら、


「おまえは俺を何だと思っていたんだよ……。まぁそれはいいや。それよりも京、1つお願いがあるんだがいいか?」


そう返したんだが、その途中でふとあることが気になった俺は頭を振って気持ちを切り替えてから京にそう尋ねたんだ。すると、


「余程無茶なことじゃなかったら別に大丈夫だけど……、何?」


そんなありがたい返事が返ってきたんだ。ならばと


「あぁ、それは大丈夫……なはずだ。気が向いたときでいいんだが、また弁当を作ってくれないか?」


俺は思い切ってそう言ったんだ。だが、京からの返事が全く返ってこなく、やっぱり弁当を無償で作ってくれなんて無茶なお願いだったかと思った俺は


「ほ、ほら。京も体力がついて自力で自転車通学出来るようになっただろ? 今も現に自力で自転車で帰っているし。だから自転車に乗せる代わりに弁当を作ってもらうって約束が無くなってしまうだろ? だけど、やっぱり京の作った弁当を食いたいからさ。出来ればこれからも作って欲しいんだ。もちろん金を払えっていうなら払うし」


そう懇願するような言い訳を早口で言っていた。もちろん金を払えと言われれば俺の分だけじゃなくて京の分にさらに手間賃まで加えた金は払うつもりだが。京の料理は俺にとってはそれくらい大事だしな。そう思いながらも京が返事してくれることを願って反応を待っていると、京はふふっと笑いをこぼした後に、


「健吾が望むならそれくらいいつでも作るよ。もちろんお金もいらないし」


と言ってくれたんだ。それが聞き間違いではないことを確認するために、


「ほ、ほんとにか!?」


と少しばかり食い気味に聞き返すと、京は苦笑を浮かべてから


「少し前までずっとしてきたことだしね。それに健吾も美味しいって言ってくれるから作り甲斐があるしね」


そう言ってくれたんだ。俺はそれに何とか返事をし、京がまた俺に料理を作ってくれる嬉しさを噛みしめながら暫く自転車を漕いでいたんだが、


「なぁ?」


とほぼ無意識に声を掛け、


「うん? なぁに?」


と京が返事をしていたが、それを俺自身が認識する前に


「弁当だけじゃなくて……、いや、何でもない」


と言いかけたところで俺は我に返り、慌てて言葉を中断したんだ。今何を言いかけた俺!? いや、わかってはいるんだが、なぜ今言おうとしたんだ俺!? まだ早いだろ!? とほんの少し前の俺を責めていると、


「えー……。途中で止められたら逆に気になるんだけど」


と京から抗議の声があがったんだ。だが、とてもじゃないがその続きをまだ言う勇気も覚悟もない俺は


「それはまた今度ってことで。それじゃあ、弁当よろしくな」


京の家に着いたことをいいことに、そう言って逃げるように全力で自転車を漕いだのであった。


後ろから京の声が聞こえたが、俺は振り返ることなくそのまま家まで全力で漕ぎ続け、親に無駄に汗だくになっていることをからかわれたのは言うまでもないだろう。

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