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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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103話 テスト勉強③

最近本格的に暑くなって来ましたね。

読者の皆様も熱中症等々にお気をつけください。

「急に席を立ってしもうてすまんかったのぅ」


勇輝を見送った後、勇輝から借りたノートを中身をゆっくり確認しているとお手洗いから戻ってきたのであろう勇輝がそう声を掛けて来たんだ。僕はノートから視線を外して勇輝の方へと振り向いてから


「ううん。全然大丈夫だよ? おかえり。勇輝こそもう大丈夫?」


逆に勇輝へそう聞き返したんだ。だって、急に手で顔を押さえながらお手洗いに行っちゃうんだもん。普段の勇輝だったらあんなことしないだろうしね。だからこそ僕に原因があるかもしれないと思った僕は勇輝が急に席を立った理由を知るためにも勇輝の答えを待っていたんだけど、


「あぁ、心配かけてしもうたかのぅ。もう落ち着いたし大丈夫じゃよ」


勇輝はそうとだけ言って席に着いちゃったんだよね。だから


「もう落ち着いた……?」


言及をする意味も込めて勇輝の言った言葉を呟くと、


「いや、その……あれじゃ。言葉の綾というやつじゃよ。あー……、恥ずかしいから言いたくなかったんじゃが……、ちょいと我慢が出来んくなってしもうてのぅ」


勇輝はそう言いながら頬を少し赤くして人差し指で顎をポリポリとかいていたんだ。そこで僕は勇輝がトイレを我慢していた(・・・・・・・・・・)ということに気付いて、


「あっ……。ごめん」


咄嗟に勇輝に謝ったんだ。すると勇輝は頭を左右に軽く振って


「いや、いいんじゃよ。俺の鍛え方が足らんかっただけじゃしの」


そう言っていたんだよね。その言葉に僕は手を顔の前で軽く振りながら


「いやいや、僕が引き留めちゃったのが悪いよ。僕がメモリーツリー……だったよね? を教えてもらっちゃってたからお手洗いに行きたかったのに引き留めちゃってたみたいだし……」


僕が悪いということを強調しながら言い返したんだ。だけど、それに対して勇輝は何も言ってこなかったんだよね。もしかしてやっぱり内心では怒っていたのかなと恐る恐る勇輝の様子を窺っていると、


「……くくっ」


勇輝の口から我慢していたにも関わらず漏れてしまったような笑い声が聞こえてきたんだ。予想もしていなかった反応にポカンとしていると、僕の反応を見て勇輝も声が漏れてしまったことに気が付いたみたいで、


「いやぁ、すまんすまん。京は京じゃのぅ。出来ればこれからも変わって欲しくないもんじゃ」


勇輝は笑みを崩さないまま謝ってきたんだよね。だけど、何となく馬鹿にされていると感じた僕は


「……むぅ」


口を尖らせて態度で抗議したんだ。


「ははは、すまんすまん。俺が不甲斐ないだけじゃから京が悪いなんてことはないんじゃよ。それよりも暗記の件は大丈夫かのう? もちろん他の教科のノートも貸すつもりじゃが」


だけど、勇輝には露骨に話を逸らされちゃったんだよね。ただ、その後の提案が僕にとって魅力的過ぎて


「え……? いいの……? それだと本当に勇輝がテスト勉強が出来なくなると思うんだけど……」


さっきまで勇輝に向けていた態度も忘れて素でそう返しちゃったんだ。すると勇輝は軽く苦笑しながら


「大丈夫じゃよ。まぁこいつらも試験前日には返して欲しいが……。重要度としてはその程度じゃよ。中身もほぼ覚えておるしの」


そう言ってくれたんだ。これで暗記系がいつもより早く覚えられるかもしれないと僕はテストまでどのように暗記をしていこうかと早速テストまでの予定を練り始めていると、


「これで暗記が必要なやつは京の頑張り次第じゃな。もちろんノートを貸すのは今回だけじゃから、気に入ってくれたのなら次からは京自身で作っておくれ。もちろん作り方の相談ならいつでも受け付けるつもりじゃが……。それより、暗記系以外で困っておることはないかの?」


勇輝が暗記以外で困っていないかどうか聞いてきたんだよね。そこで我に返った僕は慌てて何か勇輝に聞きたいことを考え……


「……全く違う教科でもいいの?」


駄目だと言われたらもう一度考えようと思いながらそう尋ねると、


「あぁ、もちろんじゃ。そもそも暗記系以外を提案したから違う教科になると思っておったしの」


勇輝は頷きながら問題ないと言ってくれたんだ。僕の提案を受け入れてくれたことに内心ホッとしながら、


「それじゃあ、あのね? 数学を教えて欲しいんだけど……」


勇輝のノート含め、今出していたノートや教科書類を一旦机の端へと置き、数学の教科書を取り出しながらそう尋ねると、


「大丈夫じゃよ。むしろ数学は暗記系より得意じゃから安心したわい」


勇輝はホッとしたような表情を浮かべながらそう返してくれたんだよね。


「そう? でも、勇輝にも苦手な教科あるんだ? てっきり全教科出来るものかと思ってたよ」


確か1学期のときの成績を聞いたときはどれも僕よりかなり高かったはずだから、てっきり苦手な教科なんて無いと思っていた僕は思わずそう口にしていると、


「俺も人間なんじゃから苦手なものが無いなんてことはないんじゃよ。それより、数学の何がわからんのか教えてくれんかのぅ?」


勇輝は肩をすくめながらそう言った後、教えて欲しい内容を早く言うように促してきたんだ。


「えっとね? 三角関数についてなんだけど、あれがどうしても間違えちゃうんだ」


だから僕は数学で一番不安な三角関数について尋ねたんだ。


「ふむ……。三角関数か……。正弦や余弦を間違えてしまうということかの?」


すると勇輝は少し考える素振りを見せてからそう返してきたんだよね。僕はそれに頷いて返してから、


「うん、そうなんだ。どうしても正弦と余弦を間違えちゃうんだよね……。気をつけようとしてもどうししても時々逆になっちゃうんだ」


どこが間違えてしまうのかについて伝えたんだ。そうしたら勇輝はまたルーズリーフを取り出して、直角三角形を書き始めたんだよね。確かに三角関数は直角三角形で考えるけど、どうして急に……? そんなことを考えながら書き終わるのを待っていると、


「京は筆記体はわかるかの?」


「え? 筆記体? それって英語の?」


いきなり勇輝がそんなことを聞いてきたんだ。数学の話をしているのに、急に英語の話をしてきたから本当に合っているのかがわからずにそう返すと、


「あぁ。その筆記体じゃ。京は正弦と余弦と正接は英語でそれぞれどう書くかしっておるか?」


勇輝は1つ頷いて僕の認識が合っていると言ってからそう聞いてきたんだよね。


「えっと……、正弦(sine)余弦(cosine)正接(tangent)だよね?」


だから僕も確認するようにそう返すと、


「あぁ、そうじゃな。それをそれぞれ省略してsinとcosとtanとなっておるな。まぁそれは置いておいて、それぞれの頭文字の『s』と『c』と『t』があるじゃろ? それをそれぞれ筆記体で書いてみてくれんかの?」


勇輝はさらに促すようにそう言ってきたんだ。だから僕は勇輝の言葉に従ってそれぞれの文字を筆記体で書いてみたんだけど、意図がわからずに書いた文字を眺めていると


「それぞれの文字の書いたときを思い出して欲しいんじゃが、『s』を書いたときは斜め上に上がってから下へと下ろすじゃろ? それで『c』を書いたときは斜め下に動いてから横へ動く。そして、『t』を書くときは横に動いた後に上へと上がる……と。それぞれちと強引じゃが、この直角三角形に当てはめるとそのまま正弦、余弦、正接になるんじゃよ」


勇輝がそう言ってきたんだ。僕は改めて確かめるために、直角三角形に合わせるようにもう一度それぞれの筆記体を書いてみると、


「あっ、ほんとだ!」


本当に勇輝の言った通りになって、思わずそう声をあげちゃったんだ。思ったよりも大きな声が出てしまったから僕は慌てて口を手で押さえてから周りの様子を窺ったんだけど、誰も僕たちの様子を気にしていなさそうだったことに安心していると、


「まぁ、そういうことじゃ。これでもう間違えんじゃろ? 因みにここで躓いておったってことは応用のところもわからんのか?」


僕の様子を見ていた勇輝は苦笑しながらそう尋ねて来たんだよね。僕はその問いに対して頭を左右に振って


「いや、そこからは大丈夫だよ。ただ、最初の最初でいつも正弦と余弦を間違えちゃって、そこから全部ズレちゃっていたんだよね……。だからこれでもう間違えない……はずだから大丈夫!」


軽くガッツポーズを作りながらそう返したんだ。僕の答えに勇輝は


「そうか。なら数学ももう大丈夫そうじゃな。今回の実力テストは三角関数がメインじゃし。さてと、今日はそろそろ終わるとするかのぅ。あまり根を詰めても効率は上がらんし、あまり遅くなってしもうたら京の親御さんが心配するじゃろうしな」


頷いた後、自分の出した教科書やノートをまとめながらそう言ってきたんだよね。その言葉を聞いて、そんなに時間が経ったのかと思って外を見るとすでに暗くなり始めていたんだよね。もうこんなに時間が経っていたのかと思っていると、


「さてと、それじゃあこれが(くだん)のノートじゃ。上手く活用しておくれ」


勇輝は鞄から複数冊のノートを出して僕に渡してくれたんだ。僕はそれを受け取って、


「うん。ありがとう。大切に使わせてもらうね?」


きっとこのノートもすっごく見やすくまとめられているんだろうなぁと今から中身を見るのが楽しみな僕は笑みをこぼしていると、


「っ……喜んでくれたのなら何よりじゃ。さてと、そろそろ出るとするかのぅ」


勇輝がそう声を掛けてきたんだよね。僕はその言葉に


「うん。それじゃあお会計を……」


と言って財布を取り出そうとしたんだけど、


「あぁ。それなら大丈夫じゃよ。俺がもう払っておいたしの。今日は付き合ってもらったんじゃから京に払わせるわけにはいかんよ」


勇輝がそう言うと、自分の鞄を持ってそのまま店の出口へと歩いて言っちゃったんだよね。僕は急いで荷物をまとめてから勇輝を追いかけて、それから何度か言葉のやりとりをしたんだけど、結局勇輝にお金を渡すことが出来ないまま僕たちは別れてしまったんだ。

そして勇輝と別れて暫くしてから、結局勇輝から教えてもらうばかりで勇輝に何一つ教えられなかったことに気付いたのであった。

勇輝が絡むとどうしても内容が真面目路線になってしまいますね。

しかも勉強内容が作者の文章力の低さのせいでわかり辛い文章になってしまい、すみません……(・ω・`)

大人しく画像を用意した方がよかったかもしれませんね。


それはさておき、一応補足としましては、

京は勇輝がトイレに我慢出来なくなったと勘違いしていましたが、もちろんそうではありません。

理由はまぁ……、言わなくてもわかりますよね(・ω・`)?

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