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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第四章 二学期編
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96話 始業式①

今回から2学期編が開始します。

後、今回は短いです。


また、京と健吾の仲直り……という名の関係修復については、要望をいただけたので、

また後日活動報告か番外編のどちらかで書き上げ次第書こうと思います。


「忘れ物はない? 宿題はちゃんと持ったの?」


「もうっ! 何回も言わなくても大丈夫だって!!」


お母さんに何度も同じことを言われた僕はつい大声でそう返してしまったんだ。今日は2学期の始業式で、夏休みの宿題とか色々持って学校に行かないといけないのがわかっているからこそ言ってくれているのはわかっているんだけど、やっぱり何回も同じことを言われちゃうといらっとしちゃうよね。

僕はお母さんとそんなやりとりを後数回しながらも学校へ行く準備を整え、家を出たんだ。すると、そこには


「お、来たか。おはよう」


健吾が待っていて、


「う、うん。健吾、おはよう」


僕は少しつまりながらも健吾の方を向いて返事したのであった。


あれから、真琴と優花ちゃんに色々と手助けをしてもらえたおかげで今こうして健吾と会って話すことが出来るようになったんだ。まぁ、まだ記憶を失う前のときまでみたいに健吾の顔をじっと見ることはまだ出来ないけど、それでもこうやって会話をするくらいには大丈夫になったんだよね。それと、もう1つ


「……本当に俺の後ろに乗らなくていいのか?」


「うん。もう大丈夫だよ。それに文化祭の練習のときにだってそうしていたんだし」


1学期のときからちょっとずつだけど体力をつけるためにトレーニングをしていたのが功を奏して、夏休みに入ったときくらいから家と学校の往復とダンスの練習をするくらいの体力はついたんだよね。だから今日も僕は自分の自転車を取り出しながらそう健吾に答えたんだ。


「……そうか。無茶だけはするなよ」


すると健吾は僕を一瞥した後そうとだけ言って自転車をこぎ始めたんだよね。そのときに健吾の顔が少し寂しそうな表情をしていたような気がしたんだけど、一瞬過ぎてハッキリとはわからなかったんだ。やっぱり見間違いだったのかなって思って考え込んでいたんだけど、ハッと我に返ったときには健吾はかなり先まで進んでいて、曲がり角のところで呆れた表情をしながら僕を待っていたんだよね。その顔を見て、やっぱり見間違いだったかと結論づけた僕は自転車をこぎ始め、健吾に追いついた後はそのまま一緒に学校へ向かったのであった。


…………

……


「わかってはいたが、本当に学校に来るくらいなら問題無さそうだな」


学校の駐輪場に無事についたまでは良かったんだけど、何故か健吾が残念そうにそう言ってきたんだよね。そういえば家を出る前もそんな雰囲気を出していたよね? やっぱりあれは気のせいじゃなかったのかな? そう思った僕は


「うん、家を出るときにも言った通りなんだけど……。そんなに僕が体力をつけることは駄目だった?」


思わず健吾に尋ねたんだ。すると健吾は慌てるように手を左右に振りながら


「違う違う。いや、違わなくはないが、違うんだ」


そんなことを言ってきたんだよね。


「……それってどっちなの?」


だけど、要領を得ない答えに健吾が何を言いたいのかがわからなかった僕は首を傾げながら聞き返すと、


「いや、京が体力をつけてくれたことはいいことだとは本当に思っているから気にしないでくれ」


健吾はそう言うとこの話はここまでだと言わんばかりに、そのまま学校の方へと歩いて行っちゃったんだよね。僕は健吾の話を無理矢理切り上げるような態度に疑問を抱きつつも、いつも通り問い詰めても答えてくれないだろうと思い、僕も健吾に続くように学校へと向かったのであった。


…………

……


「そういえば、どうやって体力をつけたんだ? 片道すら怪しかった体力をここまで増やすのも生半可な努力じゃ無理だったろ?」


駐輪場を出て暫くすると、健吾が僕の方へと振り返ってそう聞いてきたんだよね。だけど、


「……健吾がさっき誤魔化したことを教えてくれたらいいよ?」


いつもいつも一方的にはぐらかされているだけじゃないという意味を込めて僕はそう返したんだ。すると健吾は頭の後ろをガシガシと荒っぽくかいてから、


「いや、さっきのあれは誤魔化したわけじゃないんだが、そうとれるよな……。今回のことについてはいつか絶対教えるからさ。だから今日はそれで手打ちしてくれないか?」


そう言って手を顔の前で合わせて頼んできたんだよね。僕はそれに溜息を1つついた後に、


「はぁ……。今回だけだからね? さすがにずっと健吾の迷惑をかけるわけにはいかないって思って1学期のときに勇輝(・・)に体力のつけ方を教えてもらったんだよね。それで教えてもらったトレーニング方法をしたおかげで夏休みに入る前には学校往復するくらいなら十分な体力はつけることが出来たんだ」


と胸を張りながらそう言ったんだ。健吾にはずっと内緒にしていたことだからね。まぁ、僕が途中で健吾に送ってもらうのを断って自分の自転車に乗って学校に行き始めたからバレバレだったとは思うけど……。それでも僕がそうやって努力していたことに健吾が驚くか喜んでくれると思ってそう言ったんだけど、健吾は何故か顔をしかめていたんだよね。健吾の予想外の反応に


「え、えっと……。健吾……?」


戸惑いながら健吾の名前を呼びかけると、


「あ、あぁ。すまない。ちょっとぼーっとしていた。後、すまんがちょっと用事を思い出したから先に教室に行ってるな。また放課後は一緒に帰ろうぜ。今日は始業式で午前中終わりだし、収集物で先生たちが忙しいからかは知らないが、文化祭の準備も今日は禁止されているしな」


健吾は我に返ったようで、ハッとした表情を浮かべたと思うと、そう言って早足でそのまま学校の中へ行っちゃったんだ。そのときに小声で勇輝がどうとか言っていたような気がするけど、上手く聞き取れなかったんだよね。急に健吾の雰囲気が変わってそのまま去っていったのを呆然と見送っていたんだけど、途中で僕も教室に向かわないと遅刻しちゃうことを思い出した僕も教室に向かおうとしたんだけど、


「熱海京、少しよろしいでしょうか?」


後ろからそう声を掛けられたのであった。

一応補足とはなりますが、京が健吾の前で勇輝と呼び捨てにしたのは今日あの時が初めてです。

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