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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第三章 夏休み編
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章間㉕ 京の憂鬱 

更新が遅れてしまい、申し訳ありません(・ω・`)

先週の土日が少し立て込んでいまして、中々書けなかったのです……。

「はぁ……」


僕は溜息をつきながら、カーテンの隙間から健吾が帰っていくのを見送っていた。

病室での健吾とのやりとり――正確には牧野さんとのやりとりだけど――の後、健吾のことを意識してしまって、健吾にどんな顔をして会えばいいのかわからなくなっちゃったんだ。まぁ、記憶が戻る前のあの出来事のことを黙っている後ろめたさもあるんだけどね……。それで、僕は出来るだけ健吾と会うことを避けているんだ。今日も健吾が心配して家まで来てくれたのに、お母さんに頼んで帰ってもらったんだよね。


「はぁ……っ!!」


健吾には悪いことをしてしまっているとわかりながらも逃げてしまっている自分にもう一度溜息をついていると、そのまま帰るだろうと思っていた健吾が僕の家の方へ振り返ったんだよね。だから僕は慌ててカーテンから手を離して窓から離れたんだ。健吾のことを覗き見していたのバレてないよね……?きっと大丈夫と自分に言い聞かせながら冷や汗をかいていると、


「そんなに気にしているなら早く健吾君に嘘をついていることを謝りなさい。京が一言ごめんって謝れば健吾君なら許してくれるわよ」


お母さんがそう言いながら部屋に入ってきたんだ。


「……部屋に入るときはノックしてって言ってるよね?」


いや、確かに健吾ならそれで今まで避けていたことも許してくれそうだけど……!! だけどそれはあの出来事を覚えているということを健吾に言っちゃうことになっちゃうんだよね……。まだそのことを伝える勇気を持てない僕は話を逸らすために、もはや意味がないとわかりながらもそう言い返したんだ。


「はいはい、次から気を付けるわね。それでまだこのまま健吾君に迷惑をかけるつもりなのね?」


だけど、お見通しと言わんばかりに軽く流されてもう一度聞かれちゃったんだよね。いや、確かにずっと逃げられるわけじゃないのはわかっているんだよ? 逃げていても2学期が始まったら絶対に顔を合わせることになるしね。理屈ではわかっているんだけど、それでも後1歩が踏み出せない僕はお母さんの問いへの答えを持っておらず、唸って返すと、


「はぁ……。色々と悩むでしょうけど、どうするかは早く決めなさいよ。それじゃあ、お母さんは準備してくるからね」


お母さんは盛大に溜息をついた後、これから家に来る真琴と優花ちゃんを出迎える準備のために部屋を出ていったんだ。


「……とにかく今は気持ちを切り替えないとね」


お母さんが部屋を出ていくのを見送った僕はそう呟き、軽く頬を叩いたんだ。健吾のこれからの関係のことも大事だけど、まずはこうやって悩んでいることを真琴たちにバレないようにしないとだしね。バレたら絶対からかってくるだろうし。

頬を叩いたことで、完全にではないにしても気持ちの切り替えをした僕はお母さんがしてくれている準備を手伝うべく部屋を出たのであった。


…………

……


「……で? 何で中山君を避けているのかしら?」


僕の思いも空しく、僕の部屋に入ると早々真琴がそう言ってきたんだよね。何でバレたのかがわからずに、ポカンと口を開けていると、


「ここに来る途中で中山さんとすれ違ったんですよ。そのときに中山さんが京さんに避けられていることで落ち込んでいらして。そのときに少しだけ話をしたんですよ」


優花ちゃんがそう言ってきたんだ。そりゃ健吾は僕の家から帰っていくところだったし、会う可能性もあるよね……。

隠そうとしていたのがまるで意味を成さなかったことに肩を落としていると、


「で、何を中山君にしたのよ。中山君には記憶を失ったときのことを覚えていることを伝えていないみたいだし、そのことに何か関係があるのかしら?」


真琴がニヤリと、僕や優花ちゃんをからかうつもりのときにする笑みを浮かべながらそう聞いてきたんだよね。これはあの出来事が真琴に知られてしまうと何をされるかわからないと察した僕は


「……そんなことないよ」


少し詰まってしまったけど、何とかそう返したんだ。だけど、やっぱり少し詰まったのが悪かったみたいで、


「やっぱりね」


2人に咄嗟に嘘をついているを、つまりは健吾に何かしらをやらかしたということもバレちゃったってことなんだよね。まぁ2人とも最初から疑っていたみたいで、確信を得れたみたいに頷いていたんだけどね……。何を言ってくるのだろうかと、冷や汗をかきながら2人の反応を待っていると、


「一体何をしたんですか? お2人の関係から余程のことでない限り今のような状態にはならないと思うのですが。……もしかしてキスでもしたんですか?」


優花ちゃんがいきなり核心をついてきたんだ。ドンピシャで言い当てられたことに思わず体をビクッと跳ねさせちゃったんだよね。僕の反応を見た2人は


「その反応……。本当にしたのね……」

「京さん…………」


ジト目をしながらそう言ってきたんだよね。それに僕は慌てて


「いや、違うんだよ!! いや、違わなくはないけど……!! そうじゃなくて……っ!!」


何とか言い訳をしようと思って言葉を口に出したんだけど、何を言ったいいのかが定まらなかったんだ。それでも何とか2人に思っていることを伝えようと言葉にならない言葉を口から出し続けていると、


「……はぁ。まぁしたのは京であって京じゃないものね」

「それでも覚えているから中山さんとは顔を合わせ辛いと言ったところですよね?」


2人に代わりに言われちゃったんだよね。僕は自分で言いたいことを言えず、気を使われて代弁されてしまった情けなさから、思わず項垂(うなだ)れていると携帯にメールの着信があったんだ。誰からだろうと思って視線だけ携帯に送ると、そこには健吾の文字が映し出されていたんだよね。ここで黙っていればよかったものの、そんなことに気が回らなかった僕は思わず「健吾……」と呟いてしまったんだ。すると、


「おぉ! ついに動いたのね!!」


と何故か真琴が喜びの声をあげながら僕から携帯を取り上げてメールの中身を確認し始めちゃったんだよね。そんな真琴の行動には


「ちょっ!? 何で見てるの!?」


と叫んだんだけど、真琴は僕の抗議を無視してメールを読んじゃったんだ。そして僕の方へニンマリとした笑みを向けながら、


「ほら? もう逃げる時間は終わりみたいよ?」


そう言って僕に携帯を返してくれたんだ。それで携帯に映っていたメールの内容なんだけど、


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

件名:本当に


~本文~

記憶を失っていたときのことを覚えていないのか?

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そう書かれていたんだよね。疑問形だったけど、とても疑問文とは思えなくて、それと何となくなんだけど、このメールには絶対嘘をついちゃいけない気がしたんだ。


真琴やお母さんに言われたからじゃないけれど、ちゃんと健吾に向き合わないといけないよね。そう心の中で決めていると、いつの間にか優花ちゃんも健吾からのメールの内容を確認したみたいで、


「お手伝いは必要ですか?」


って聞いてきたんだ。心では決めていたとしても、1人だったら病院のときみたいにまたいざというときに逃げちゃうかもしれないから、手伝ってくれる人がいてくれたら心強いもんね。ただ、真琴も手伝ってくれたら嬉しいなと思って、優花ちゃんに返事をする前に真琴の方にも見ると真琴も同意するように頷いて返してくれたんだ。だから僕は


「うん。お願いします」


と2人にお願いしたのであった。



<京の憂鬱 END>

中途半端な形となりますが、これにて夏休み編は終わりとなります。

次回から2学期編となりますが、もう京は健吾と面と向かって会話出来るようになった状態からのスタートとなります。

2人の関係の修復の話も入れようとは思っていたのですが、これ以上章間を増やすのもどうかと思いましたのでカットしました。一応2学期編の始めにどうして関係を修復したのかについては簡潔にはいれるつもりではなりますが……、詳しくは要望があればいずれどこかでということで……。

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