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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第三章 夏休み編
134/217

章間㉓ if--BAD END

作品ジャンルの再編成が行われましたね。

学園ジャンルが無くなって、この作品のジャンルを何にするか迷う今日この頃です。


それはともかく、今回の話は旅行の最終日、健吾たちが京を助けられなかったifの話となります。

サブタイトルを見て察した方もいるとは思いますが、

正直読んでも気分良くはなれない話のため、嫌な方は飛ばしてください。


【追記】余計な改行を修正

やっほー!!


あれ? いきなりそんなことを言われても困るかな?


まぁいいや。もうこれで私が誰か読者様(みんな)はわかっただろうし。


それは置いといて、いつだったか私が未来はいくつにも分岐しているって話をしたことがあったの覚えているかな? あれはもちろん旅行先で京ちゃんに起きた出来事にも言えることなんだよね。京ちゃんが助かる未来の中で京ちゃんが記憶を失うってルートを通るのってかなり確率は低かったんだけど、まぁ通っちゃったものは仕方がないね。それよりも、やっぱり通らなかったルート、特に所謂バッドエンドってやつについては興味があるよね? その中の1つをこれから見せてあげるね? もし見たくないって人がいたら適当に飛ばしてね。今の京ちゃんたちには全く関係のない話だから。


よし、忠告はしたし、これで文句を言う人はいないかな。それじゃあ、数ある中で私直々にチョイスしたものを見せてあげよう。特別に健吾君のモノローグ付きだよ。


―――

――


谷村のことを信用し切れなかった俺たちは手分けして探したが結局京を見つけることが出来なかったんだ。俺たちが京と再会できたのは丘神先生から連絡が来て、いつもの病室だった。俺たちの姿を見た京は一瞬泣きそうな表情をしたが、すぐに無理矢理笑みを作っていたんだ。丘神先生から詳しい事情は聴けなかったが、今の京から聞き出すのも酷だろうと俺たちは京に何も聞かずに一度家に帰ることにしたんだ。それが俺たちの道を(たが)えさせる決定打となったということも知らずに……。


………………

…………

……


「京!! 待ってくれ!!」


あの後、すぐに面会謝絶になってしまい俺は京と会うことが出来なくなってしまった。そのときもただ退院すればまたすぐにでも会えるだろうと軽く考えてしまい、特に何もしなかったんだ。だけど、退院しても京とは会えなかった。京の家に言っても都さんにはやんわりと断られてしまい、会うことは叶わなかった。それからも何とかして京に会おうとメールや電話はもちろん、他にも色々としたのだが、会うことが出来ずに2学期が始まってしまったんだ。そして始業式の日の放課後の廊下で京の後ろ姿を見つけることが出来た俺は思わず叫ぶように京を呼び止めた。すると京は俺の方に振り返ってくれたんだ。ここでも無視されたらどうしようかと思っていた俺はホッとしたんだが、それは一瞬だった。


「どうしたの? 中山君(・・・)?」


京は今俺を何て呼んだ? 余りにも他人行儀な呼び方を受け入れることが出来なかった俺はそれに何も返すことが出来ずに目を見開いていると、


「……何もないの? それだったら()はもう行くけど……?」


京は続けてそう言ってきたんだ。京の一人称が変わってしまっていることにも再び息が止まりそうになったが、このままでは京が去ってしまうということだけははっきりとわかっているため、


「いや、俺の呼び方……。それに……、お前のじ、自分自身の呼び方も……」


何とか言葉に出来たかどうかってくらいだったが、そう京に伝えたんだ。ただの悪ふざけだと言ってくれることを信じて、いや、そうだと願って聞いたんだが、


「私も色々会ったんだよね。だから中山君や篠宮さん(・・・・)たちとは少し距離を置くことにしたの」


だが、返ってきたのは無情にもそんな言葉だった。その言葉を到底受け入れられない俺は


「何でだよ!! 何で……っ!!」


思わず怒鳴るようにそう言ってしまったんだ。周りの人も思わず俺の方を見るくらいには大きな声を出したのだが、京はまるで動じることもなく、


「何でって言われても……。私がそう決めたからね。中山君たちには悪いけど、そういうことだから」


淡々とそう返して来たかと思うと話は終わりだと言わんばかりに踵を返してそのまま歩き出したんだ。それを止めるために俺は思わず京の片腕をパッとつかんだんだ。


「……痛いんだけど」


だが、俺自身が思っている以上に力強く握ってしまっていたみたいで、京は痛みに耐えるような顔を作りながらそう言ってきたんだ。その顔を見た俺は「あっ、悪い」と言ってすぐに手を離したんだ。だけど離した後、俺はすぐに


「なぁ……。何で……。いや、別に俺たちと距離を置くことも京が本当に望んでいるなら全然良いんだ。だけど、だけどな? どうしてそれを俺に相談してくれたなかったんだ?」


自分でも情けないと思ってしまおうような声を出しながらそう問いかけたんだ。だけど、それがよかったみたいで、京は少し気まずそうに目を逸らしながら、


「それについては本当にごめん……。でも、決めたことだから」


そう言ってきたんだ。京の意思は固く、今の俺では変えることが出来ないと察した俺は肩を落とし「そうか……」と呟くと、京は


「それにね。これは中山君にはいつか伝えようと思っていたことなんだけど、私はもう男には戻れ……いや、女として生きていくことに決めたんだよね。一人称を『僕』から『私』に変えたのもそういうことだから」


ついでと言わんばかりにそんなことを言ってきた。だが、そのときの京の顔がすべてを諦めたかのような力のない笑みを浮かべていたことが、京が最初に言いかけたことが本当のことなんだと物語っていた。だから俺は京が言いなおした方を無視して、


「あの人にそう言われたのか……?」


京にそう聞いたんだ。すると、


「うん。もう私には興味が無くなったんだって。だからもう私に関わることは無いってはっきり言われちゃったんだ」


京は先ほどの表情を浮かべながら返して来たんだ。なんだよそれ。勝手に京矢を京にしておいて、自分の興味が無くなったらもういらないとばかりに放置するなんて……。余りにも身勝手な行為にカッとなった俺は意味がないとは思ってもあの人の罵倒をせずにはいられないと口を開こうとしたんだが、


「もう、いいの。だから中山君も怒らないで?」


その前に京がそう言ってきたんだ。俺がしようとしたようなものではなく、ただいつものように話してきたにもかかわらず、有無を言わせないような何かを感じた俺は何も言えずにいると、


「少し言葉が足りなかったかもだけど、これは私も望んだことだから。だから中山君も気にしなくていいよ」


京は俺に気を使うように言ってきたんだ。そしてそれが言い終わるかどうかのタイミングで京の携帯が何かを着信したようで震えていたんだ。その内容を確認した京は、


「あっ、ごめん。そろそろ私も行かなくちゃ」


急に焦り始め、そわそわしながら俺にそう言ってきたんだ。


「あ、あぁ。引き留めて悪かったな」


さすがにそんな態度を取り始めた京をこれ以上留めることには気が引けた俺がそう答えると、


「ううん。()もお別れの挨拶はしておきたかったから。健吾(・・)、さようなら」


京は一歩だけ俺への方へと近づいてから、辛うじて聞き取れるかどうかの声量でそう言ってきたんだ。そして俺がそれに反応出来る前に京はそのまま走っていってしまったんだ。


もう俺が声を掛けても京は振り返らないだろう。だから俺はただ、京のきれいな黒髪(・・)を見送ったんだ。そしてその先に海老菜の姿を見つけてしまったことで全てが終わってしまったということを痛感したのだった。


どうして俺はあのとき、谷村の話を信じることが出来なかったんだろうか。どうして俺は京に事情を聴いて相談に乗ることもしてあげられなかったのだろうか。どうして、どうしてと、今になってあのときこう動いていればという後悔の念が押し寄せてきた。しかし、今更後悔してももう取返しがつかないところまで来てしまっている。


「…………ちくしょう」


俺はもはや自力で立っていることも出来ず、その場に座り込み、ほぼ無意識にそう呟いた後、自分の腕の中に顔を(うず)めた。


翌日、京が転校したということを丘神たちから聞き、あの日以降俺は京と会うことはなかった。


――

―――


いやぁ、どうだった? 胸糞悪いでしょ? これぞバッドエンドって感じで♪


これでも一番酷いところはカットしたんだよ? 私が呼び出したときの京ちゃんとかそれはもう酷い状態だったからねぇ。心的な意味でも、身体的な意味でも。


補足とかはしないから、どんなことが起こったのかみんなで各自補填しておいてね。所詮はifルートって言われるものだから、今の京ちゃんとは全く関係ないし。こんな可能性もあったんだよっていうだけの話だからね。


さてと、それじゃあ私はここから逃げ出そうかな。今ここに居てもヘイトを稼いじゃうだけだろうしね。


それじゃあね、バイバーイ♪



<if--BAD END END>

後味が悪い話で本当にすみません(・ω・`)

ただ、どうしても書きたくなってしまったので書きました(ぉぃ

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