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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第三章 夏休み編
133/217

章間㉒ 衣装回収

分けましたが、章間㉑の続きです。


「お? 京さん来たか」


あの後、体育館に戻った僕たちは優花ちゃんに衣装回収のことについて聞いたんだよね。すると優花ちゃんは「また丸投げですか」と軽く呟いてから真琴に呆れたような視線を送った後に衣装を頼んでいる場所がどこなのか、何時ごろに回収に行くかについて教えてくれたんだ。それで、それなら一度集合してから3人で行こうって話になったんだよね。

ちなみに、本当なら衣装手配は僕がメインで動いて優花ちゃんと勇輝君がサポートしてくれるって話だったんだけど、僕が記憶を失っていて動けなかったから変わりに優花ちゃんがメインで動いてくれて、それを勇輝君がサポートして全部決めてくれたみたいなんだ。あっ、もちろん2人にはありがとうとごめんは伝えたよ? 2人とも気にしなくていいって言ってすぐに集合場所や時間の話に変えられちゃったけどね……。

それで、今はその待ち合わせ場所に余裕を見て20分前くらいに来たんだけど、すでに勇輝君がいたんだよね。勇輝君を見つけた僕が勇輝君の方に歩いていると、勇輝君もそれに気づいて僕に向かって軽く手を挙げてから僕の方に歩いてきてくれたんだ。


「うん。勇輝君も早いね? もしかして待たせちゃった?」


もしかしたらもっと早く来ていたかもしれないと思った僕は勇輝君にそう尋ねてみたんだ。すると、


「いや、俺も丁度来たところじゃよ」


勇輝君は顔を横に振りながらそう返して来たんだよね。それなら1人でずっと待たせちゃってたことはなかったかなと内心1人でホッとしながら


「ならよかったよ。かなり待たせちゃったと思ったし」


勇輝君にそう伝えると、


「そこは大丈夫じゃよ。それよりも服部さんから連絡は来ておらんかの? まぁ、まだ時間までは十分時間があるから問題ないんじゃが……」


勇輝君は軽く肩をすくめた後、僕にそう聞いてきたんだ。確かにいつもの優花ちゃんなら20分前くらいには来てそうだもんね。だから僕も携帯を取り出して連絡を来ていないか確認しながら、


「僕も知らないかなぁ。連絡も来ていないし……」


そう返したんだ。まぁ、たまにはいつもより遅くなっちゃうこともあるよね。そんなことを考えていると、携帯にメールの着信があったんだ。誰からだろうと思って開くと、それは優花ちゃんからで、


――――――――――――――――――――――――――――――――――――

件名:申し訳ございません


~本文~

どうしても外せない急用が出来てしまいました。申し訳ないのですが、お2人

で向かっていただけないでしょうか?

場所は丘神さんならば知っているはずです。店に入って、店員の方に『服部か

らの依頼の品を受け取りに来ました』と言えば伝わりますので、お手数をお掛

けしますが、よろしくお願いします。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そんな内容だったんだ。僕の携帯にメールがきたときに勇輝君の携帯にも着信があったみたいだから、多分勇輝君のところにも同じ内容のメールが来たと思うんだよね。だけど、違う可能性もあるから、僕は


「えっと……。勇輝君のところにも優花ちゃんから連絡来た?」


確認の意味も込めてそう尋ねると、


「あぁ、来たんじゃが……。服部さんがドタキャンするなんて余程のことがあったんじゃろうな」


勇輝君は少し渋い顔をしながらそう返してきたんだ。確かに約束事に関しては優花ちゃんかなり気にしているもんね。本当にどうしたんだろう? 気になるかと言えば気になるけど、


「とりあえず、向かおっか? 勇輝君は場所を知っているんだよね?」


後で聞けばいいことだし、それよりも今は衣装の回収の方が大事だもんね。だから勇輝君に場所を尋ねると、


「……あぁ、そうじゃな。場所はあっちの方じゃから行くとするか」


勇輝君は1つ頷いて、その場所なのであろう方向を指さしてからそう言ってきたんだ。それに僕も頷いて返してから、僕たちはそこへ向かって歩き出したのであった。


…………

……


「服部から依頼させていただいていた物について受け取りに来たんじゃが」


衣装の依頼をしていたというお店に入った後、店員の人にそう伝えると、


「貴方たちが丘神君と熱海さんね。服部さんから話は聞いているわ。それじゃあ、ここにサインをお願いね」


店員の人は制服のポケットから紙を取り出すと、僕たちにそう促して来たんだよね。その紙には受け取り証明書で、代表者のところだけ空白になっていたんだよね。


「俺が言うのもなんじゃが……。ここにサインするのは俺たちで問題ないんじゃろうか? 依頼したのはあくまで服部さんじゃしの」


だけど、それに勇輝君は待ったをかけてそう聞いていたんだ。確かにもし僕たちが優花ちゃんたちと無関係な人だったら、衣装を渡すと問題になっちゃうもんね。まぁ、それで渡してもらえなかったら困るのは僕たちなんだけど……。

そんなことを考えながら勇輝君の問いへの返答を待っていると、


「あぁ、それなら大丈夫よ。貴方たちの特徴については服部さんから聞いているし、服部さんとは昔から交流があるから、あの子が大丈夫って言う人なら大丈夫でしょうし」


店員の人はカラカラと笑いながらそう言ってきたんだ。そしてそのまま続けて、


「それに、わざわざそんなことを言ってくれる貴方たちが問題のある人なわけないでしょうしね。さてと、それじゃあ改めて、ここにサインをしてもらえるかな?」


もう一度証明書を渡そうとしてきたんだよね。それに勇輝君は、


「あぁ、心得た」


と頷きながら答えて、証明書を受け取ってサインを書いたのを僕は見届けたのであった。


…………

……


「それじゃあ、これで手続きは終わりということで、衣装は学校の方へ届けておくわね」


「「えっ?」」


勇輝君がサインを書き終わり、店員の人がそれを確認した後そんなことを言ってきたんだよね。学校まで運ぶつもりだった僕たちは思わず口を揃えて聞き返すと、


「おや? 服部さんから話を聞いていないの? ここへはサインだけ書きにきてもらって、衣装は配達でっていうことになっているわよ」


店員は少し呆れた表情をしながらそう言ってきていたんだけど、言い終わるか終わらないかくらいのタイミングで何かを思い出したかのように、手をポンとならしていたんだよね。どうしたのだろうと思っていると、勇輝君の方に近づいてから小声で何やら話していたんだ。すると今度は勇輝君が優花ちゃんのメールを見たときのような渋い顔を浮かべていたんだよね。どうしたのだろうと思って、


「どうしたの勇輝君?」


そう勇輝君に尋ねたんだけど、


「いや、まぁどうということはないから京さんは気にせんでええ。それより、衣装は送ってもらえることになったし、届くのは数日かかるらしいから時間も余ってしもうたし、この辺りでも適当にぶらつかんかの?」


勇輝君は軽く顔を左右に振った後、そう提案してきたんだ。どんな会話だったのかは気にはなるけど、大丈夫だって言っていたし、たぶんだけど勇輝君も優花ちゃんのサポートとして会ったこともあっただろうから、そのことについて少しだけ話があったりとかしたんだろうね。それよりも確かに時間が余ったし、この辺りを散歩するのもいいかも。

そう思った僕は


「うん。勇輝君がいいならそうしよっか」


そう返したんだ。それから僕たちは店員の人にお礼を言って、そのまま店を出たのであった。


…………

……


「ふぅ……。今日は楽しかったねぇ」

「ノープランじゃったから京さんが楽しめたかは不安じゃったが、楽しんでもらえたなら何よりじゃ」


あの後、特に行き先を決めることなく2人でブラブラと散策したんだよね。お互いが気になった店を入って冷やかしたりして過ごしたんだ。それで、時間もいい時間になってきて、僕も軽く疲れてきた頃、勇輝君の提案で喫茶店に入ったんだよね。そこで一段落ついてホッとした僕がそう呟くと、勇輝君がそう言ってきたんだ。


「うん! でも、そういう勇輝君はどうだった? 基本的に僕が気になったお店ばっかり入っちゃったけど……」


勇輝君はそう言ってくれたけど、本当にほとんど僕が気になったお店にばかり入って、勇輝君が気になるお店に時々入るって感じだったんだよね。だから、勇輝君には悪いことをしちゃったかもと今更ながら思ってそう尋ねると、


「いやいや。俺だけじゃ普段は入らん店を知れたし、十分楽しめたよ。……京さんの好みを知ることが出来たしの」


勇輝君は穏やかな笑みを浮かべながらそう返してくれたんだ。最後に何か小声で言っていたみたいなんだけど、上手く聞き取ることが出来なくて、


「えっと、最後は何て言ったの?」


と聞いてみると、


「いや、色々と参考になったって思っただけじゃ。それよりも……じゃ」


勇輝君はそう言ってきたんだよね。何が参考になったのかはわからないけど、別に小声で言うことでもないよね? どうして小声だったのかは不思議だけど、勇輝君が口ごもりながら何かを言おうとしていたんだよね。なんだろうと思って待っていると、


「京さんに1つお願いがあるんじゃ」


勇輝君は僕にお願いがあるって言ってきたんだ。普段から色々としてもらっているのもあって断る理由もない僕は


「全然いいよ。それにしても勇輝君がお願いって珍しいね? まぁ、僕に出来ることかどうかはわからないけど……」


勇輝君にお願い事の内容を聞いたんだ。すると、勇輝君はまだ何かに戸惑っていたみたいだったんだけど、覚悟を決めたようで、僕の方へとまっすぐ向いてから


「そのじゃな……。以前にお互いの呼び方について話したときに、いきなり呼び捨てにするのもあれじゃから敬称をつけようってことにしてもうたじゃろ? じゃが、そろそろ慣れてきたころじゃし、京さんさえ良ければお互いに呼び捨てで呼び合いたいんじゃが、いかがじゃろうか?」


そう言ってきたんだよね。これはあれかな? 勇輝君とも大分近づけたってことなのかな? やっぱりお互いに呼び捨てで呼び合える関係の方が男友達(・・・)っぽいもんね。そんなことを考えながら、やっと勇輝君……いや、勇輝とも本当に仲良くなれたことに笑みをこぼしながら、


「うん! これから改めてよろしくね! 勇輝!!」


そう勇輝に伝えたんだ。それに勇輝も


「あ、あぁ。こちらこそ改めてよろしくじゃ! 京!!」


と笑顔で答えてくれたんだ。その後、お互いに言いなれるという意味も込めて、あえて名前を強調するような会話を暫くしていたんだけど、そんな会話をしていたら目立つわけで……。暫くしてから周りの人たちに温かい目で見られていることに気が付いた僕たちは顔を真っ赤にしながら逃げるように喫茶店を後にしたのであった。



<衣装回収 END>

この章間の3つは本編に入れようかどうか迷ってはいたのですが、色々と中途半端になりそうなので、やめました。


話の補足となりますが、

まずはメールについて、勇輝には京とはほぼ同じ内容だったのですが、勇輝の方に来たメールには、今日は楽しんでくださいの一言が添えられていました。なので、勇輝は最初から優花のドタキャンがわざとであるということは知っていました。

次に店内についてですが、勇輝が店員に小声で言われた内容は、優花からの伝言で「今日のことは貸し1つですからね」です。

最後に、勇輝と京のデートが全カットとなた理由ですが、この話があくまで章間だからです。本格的な?2人のデートは2学期編の本編中に入れる予定はしておりますので、楽しみにしている方はすみませんが、もうしばらくお待ちください(・ω・`)

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