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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第三章 夏休み編
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章間㉑-2 練習の休憩時間

今回は(珍しく)勇輝君の出番です。

本当はもっと出番を増やしてあげたいところなのですが、そこは作者の力不足がですね……(・ω・`)

2学期編からはきっと出番が増える……はず。

「勇輝君、ごめんね? 折角の旅行を僕のせいで台無しにしちゃって……」


ダンスの練習時間の間の休憩時間に僕は勇輝君と体育館の外に出たんだ。そして余り人がいない場所まで来た後、勇輝君の方へと振り返り、改めてそう言ったんだ。真琴や優花ちゃん、それにそのときに一緒に居た小野君や空元君にも直接謝ったんだけど、勇輝君にはまだ直接謝れていなかったからね。まぁ、村居さんにもまだなんだけどね……。いつか空元君に連絡を取ってもらって直接謝らないと。でも、その前にまずは勇輝君に許してもらわないとだね。そんなことを考えながら、勇輝君の反応を待っていると、


「いやいや、一番台無しになってしもうたのも、そのことに一番悔いておるのも京さんじゃ。じゃからこうしてわざわざ謝る必要はなかろうて」


そう言ってくれたんだ。しかも僕に気を使ったように言ってくれたんだよね。だから僕はお礼を言おうと思って口を開こうとしたんだけど、その前に「それに……」って勇輝君が言いだしたんだ。何を言うのかと思って僕は黙って続きを待っていると、


「俺はそもそもあの旅行での出来事に対しては悔いておらんよ。強いて言うなら、あのときに京さんをあんな目に合わせてしまった俺自身の不甲斐なさに対してぐらいじゃ。じゃからあれから少しばかり鍛えなおしておる。もちろんまだまだ未熟の身じゃが……。少なくても俺が一緒にいるときはもうあんな思いは絶対にさせんから何も心配しなくてもいい……っていうのはさすがにクサすぎるかのぅ」


勇輝君はすごく真剣な表情でそう言ってきたんだよね。途中で気恥ずかしくなったみたいで、苦笑いしながら鼻の頭をかいていたけど……。そんな勇輝君に僕は思わずクスッと笑みをこぼしながら、


「うぅん。僕のためにそう言ってくれたんだよね? すごく嬉しいよ。ありがとう」


そう返したんだ。やっぱりそれがお世辞(・・・)だとしても、そんなことを言ってもらえると嬉しいもんね。だから僕もそれに応えるべくいつもより気持ちを乗せてありがとうと伝えたんだ。


「あ、あぁ……。じゃ、じゃがそのくらいは男として当然のことじゃよ」


そうしたら、何故か勇輝君は一瞬で顔を真っ赤にして言葉に詰まりながらそう返してきたんだよね。どうして勇輝君の顔が真っ赤になったのかがわからず、軽く首を傾げていると、


「そ、それよりもじゃ。久しぶりのダンスの練習はどうじゃった? この前は見学だけしか(・・・・・・・・・・)出来ておらんかったし、しんどかったじゃろ?」


勇輝君は僕から視線を逸らしながら、こほんと1つ咳払いをした後に急にダンスの話題を振ってきたんだよね。


「うん、やっぱりしんどいかな。体育館に来るのも(・・・・・・・・)久しぶりだからね」


話題を戻しても教えてくれないだろうと思った僕は苦笑いをしながらそう返したんだ。もちろん勇輝君がさらりと言ってきたひっかけに引っかからないように注意しながらね。さっき真琴に注意されたから引っかからなくてすんだんだけど、教えてくれていなかったら絶対に引っかかっていただろうなぁ。そう思うと真琴には後でお礼を言わないとだね、うん。

そんなことを考えていると、


「そうか……。じゃが、俺も他の連中のことを教えながら京さんの様子を見ておったが、動きそのものは問題なさそうじゃったがのぅ」


勇輝君は一瞬考える素振りを見せた後、そう言ってきたんだ。


「あはは……。ありがと。でも、勇輝君もよく見ていたね? ダンスを一通り踊った後に皆の様子を見たけど、勇輝君は動き回っていて忙しそうだったけど……」


だけど、かなりの多くの人を真琴に丸投げ……じゃなくて任されちゃったみたいで、すごく忙しそうにしていたのを見かけていたんだよね。だからどうして僕のダンスの状況を知っていたのかを不思議に思った僕はそう問いかけると、


「そ、それはあれじゃ! 京さんも久しぶりのダンスで踊れないところが出てしもうたときにフォローをしようと思っていたんじゃ! あれだけの人数を受け持っておったら1人や2人増えたところで変わらんしの」


勇輝君はそう返してきたんだ。やっぱりセンターの僕が失敗しちゃったら見栄えが悪いもんね。だから少し無理してでも僕の様子を見ていてくれたのかな。そう結論付けた僕は


「そうなんだ。やっぱりセンターの僕が失敗しちゃったら全てが台無しになっちゃうもんね」


気合を入れないとだねという意味も込めて、軽くガッツポーズを作りながら返したんだ。少なくても気合は十分だということが伝わってくれればと思って言ったんだけど、


「いや、そうじゃないんじゃ……。いや、確かにそうなんじゃし、今の俺の言い方も悪かったとは思うが……」


勇輝君は肩を落としながら何やら小声でぼそぼそと言っていたんだ。どうしたんだろうと思ったんだけど、何を聞いたらいいのかもわからずに勇輝君の様子を窺っていると、勇輝君はどうやら自己解決出来たみたいで、頭を1つ縦に動かしてから僕の方に向き直って、何かを言おうとしたんだよね。だけど、その前に、


「あら、こんなところに居たのね」


と声を掛けられたんだ。誰だろうと思って声の方に振り向くと、そこには真琴がいたんだよね。真琴は僕たちの方に近づきながら、


「おやおやぁ? お邪魔だったかしら?」


これはいいからかいのネタを見つけたといわんばかりの顔をしながらそう言ってきたんだ。だけど、


「いや、全然そんなことはないよ? ね? 勇輝君?」


僕と勇輝君は最初こそ旅行を台無しにしちゃった僕の謝罪があったけど、それを除けば後はただ文化祭の練習について話をしていただけだしね。だから勇輝君にも確認の意味も込めてそう話を振ったんだけど、


「……あぁ、そうじゃな」


勇輝君の返事には少しだけ間があったんだよね。それでその様子を見ていた真琴が


「ふぅん。なるほどねぇ。まっ、今はそういうことにしておいてあげるわ」


何やら納得した風に僕と勇輝君を交互に見ながらそう言っていたんだ。


「ところで、話は変わるのだけれど、京と丘神君は明日って暇?」


何について納得したのか、今聞いておかないと後が怖いような気がしたんだけど、聞く前に真琴はそんなことを言ってきたんだよね。


「えっと……? 僕は暇だけど……?」

「俺も同じく暇じゃな」


だから僕は明日の予定を思い浮かべながらそう返したんだ。思い浮かべたけど、特に予定っていう予定もなかったんだけどね……。まぁそれは置いといて、勇輝君も僕が言ったことに続くようにそう返していたんだ。それで僕たちの返事を聞いた真琴は


「そ。なら丁度よかったわ。明日優花を含めた3人で衣装の回収をお願いね。優花にはすでにOKをもらっているから。それじゃあよろしくね!」


とだけ言って、そのまま体育館の方へと戻っていっちゃったんだ。詳細も何も言わず言いたいことだけ言ってそのまま帰っていった真琴を見送った僕たちは顔を見合わせ、


「……とりあえず、服部さんに詳細を確認するのが先のようじゃな」

「あはは……。そうだね……」


お互いに苦笑いをした後、ゆっくりと体育館の方へと歩き出したのであった。



<練習の休憩時間 END>

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