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神様によるペナルティ  作者: ずごろん
第三章 夏休み編
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章間㉑ 続・ダンス練習

前話で幕間は3~5話と言いましたが、見直した結果もう少し増えそうです……。


ちなみに、ダンス練習というタイトルにしていますが、特にダンスはしていません(ネタバレ


補足として、今回登場する宇佐美は京のクラスの生徒会長です。

「えっと……、皆ごめんね? 色々と迷惑をかけちゃったみたいで……」


文化祭のダンスの練習のために、体育館に来た僕はまずは真琴と優花ちゃんに記憶が戻ったことを伝えたんだ。もちろん記憶を失っていたときのことは覚えているということは悟られないように注意しながらね。

そしたら真琴が集まっていた全員を呼び集めちゃって、改めて僕の記憶が戻ったってことを言えって促されちゃったんだよね。皆の視線が僕に集まっていることに若干気後れしながらも迷惑をかけたことを謝ったんだ。片方だけとはいえ、僕も踊ることになっている――不本意ながらだけどポジションがセンターの――曲が皆で踊れないから調整とかも出来なかったと思うしね。

そんなことを考えながらペコリと頭を下げていると、


「かまへんかまへん。ってかむしろ熱海の方が辛い目にあっとるんやから気にすることなんかあらへん」

「そうッスよ。熱海さんが気にすることないッスよ」

「あぁ。それに恐らく京さんが気にしているであろう全体での調整とかはまだそこまでこじつけられておらんからのぅ。気にすることなど何もないんじゃよ」


小野君や空元君、それに勇輝君がすぐに気にすることはないって言ってくれたんだよね。そしてそれに賛同するように他のクラスメイトも賛同の声をあげてくれたんだ。もしかしたら真琴たちがクラスの皆にある程度事情を話してくれていたのかもしれないけれど、僕を非難する声が1つもあがることなく、むしろ僕を気遣う声を掛けてくれたクラスメイトに、


「……ありがとう」


僕は顔をあげて、顔をほころばせながらお礼を言ったんだ。だけど、お礼を言ったはずなのに、クラスメイトのほとんどが動きを止めちゃったんだよね。どうして皆の動きが止まったのかがわからずに首を軽く捻っていると、


パンパン――


と、誰かが手を叩く音が聞こえたんだ。音が聞こえた方に振り向くと、


「はいはい。それじゃあ、満場一致で気にしないというでさっさと練習を再開するわよ。……そういえばこいつらまともに京のあの顔を見たことなかったわね」


真琴が皆に向かってそう言っていたんだよね。最後に小声で何かを言っていたみたいなんだけど、上手く聞き取ることが出来なかったんだ。何を言っていたのかが気になって、聞こうと思ったんだけど、


「さて、京は遅れた分を取り戻す分みっちり練習してもらうわよ? 前回見学していた(・・・・・・・・)けど、やっぱり体で覚えてもらわないと意味がないからね」


「あはは……。でも見学したのは前回だけだし、ある程度は覚えているはずだからお手柔らかにお願いするね?」


「……。まぁ、それは京次第かしらね」


その前に真琴が僕に話しかけてきたんだよね。練習を厳しくすると言われて僕は思わず苦笑いで返したんだ。すると何故か真琴は一瞬考える素振りを見せた後、肩をすくめながらそう言ってきたんだよね。何を考えていたのかは気になるけれど、下手に聞くと練習が厳しくなりそうだと思った僕は再び苦笑いで返し、練習を始めたのであった。


…………

……


「さすがに中学でも踊ったことがあるって言っていただけあってある程度は踊れてるわね。……ただ、どうしてもそこで同じミスをしているわね」


やっぱり体が覚えていたっていうのもあって、ところどころ忘れているところもあったけど、大体踊ることが出来たんだ。ただ、昔散々怒られたところは相変わらず直せていなくて、通して踊ったときもそのクセが出ちゃったんだよね……。それを真琴に言われてしまい、「ははは……」と力が抜けたような笑いをこぼしていると、


「あの……、すみません……。熱海さんの場合はそのままで良いではないでしょうか?」


後ろから宇佐美さんがそう話しかけてきたんだ。それに僕は


「えっ……?」


てっきり無理にでも直せと言われると思っていたところにそのままで良いと言われたのもあって、呆けた返事をしたんだ。すると、


「あの……、その……、最初は無理矢理にでも直してもらおうと思っていてそのプランも練っていたのですが、熱海さんはセンターですから……。あえてこのままにした方がいいと思いまして……」


って言っていたんだ。その僕の癖を直すプランっていうのがすっごく気になるんだけど、聞いても教えてくれないんだろうなぁ。まぁ、そのプラン自体がなくなったみたいだし、絶対に聞いておかないといけないってわけでもなさそうだしね。そんなことを考えていると、同じく宇佐美さんの提案を聞いていた真琴が


「ふむ……。なるほどね。それなら問題無さそうね」


とうんうんと首を縦に振りながらその提案に同意していたんだ。そして、


「でも、それに合わせていくつか修正しないといけないところが出てくるわね。それじゃあ宇佐美さん、向こうで少し打ち合わせしましょうか?」


宇佐美さんに皆がいないスペースを指さしながらそう言っていたんだ。それに宇佐美さんは


「えっと……、はい。すみません……。お手数をお掛けしますが、お願いします」


ペコリと頭を下げてから真琴が指さしたスペースに向かって歩いていったんだ。真琴もそれについて行くと思ったんだけど、何故かついて行かずに僕の方を見てきたんだよね。どうして宇佐美さんを追いかけないんだろうと思って不思議に思っていると、スッと僕に近づいてから


「京。何かしらの理由があるのだろうから深くは聞かないけど、隠すならしっかり隠さないと意味がないわよ?」


僕にだけ聞こえるくらいの小声で真琴はそう言ってきたんだよね。それが何について言ってきているのかについてすぐにわかった僕は


「えっ!? どうして……!?」


と焦りながら聞き返すと、


「見学したのは京が記憶を失っていたときでしょ? それに、もしかしたらこれだってカマをかけただけだったのかもしれないのだから、そんなに露骨に反応しちゃったらバレバレよ?」


真琴はやれやれと呆れ顔をしながら僕にそう言ってきたんだ。隠せていると思っていたことがバレバレだったことに呆然となっている僕に「それじゃあ、ダンスの怪しかったところはしっかり練習しておいてね」と言うだけ言った後、真琴は宇佐美さんの方に向かって歩き出したんだ。


僕はそれを見送ることしか出来ず、優花ちゃんが話しかけてくれるまで僕はその場で立ちつくしていたのであった。



<続・ダンス練習 END>

つい先ほど母の日ということを知りましたので、母の日での小話はなしの方向でお願いします……(・ω・`)

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