6話 楽しい?買い物②
僕の服を選ぶのがどれだけうれしいのかはわからないけど、元気一杯に歩く母さんの後ろを僕はトボトボついていっていたら、疲れていると思ってくれたのか
「あら?京ちゃん少し疲れちゃった?それならお洋服を見に行く前に喫茶店で少し休みましょうか」
そう言って喫茶店で休むことを提案してくれたので、その提案にのることにした。ただ問題を後回しにしてるだけなのはわかってるけど、やっぱり少しでも心の準備がしたいし……。そしてなにより、あそこの喫茶店のケーキはおいしいしね♪
………………
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……
喫茶店に入った僕はそのまま椅子にペタンって座ると母さんに怒られてしまった。
母さん曰く、そんな風に座ったらスカートにシワが出来ちゃうからだそうだ。女の子って座り方だけでもめんどくさいなぁ。しかも足はちゃんと閉じてなさいって叩かれてしまった。イテテ……。
母さんが買ってきてくれる間はただ待ってるだけなんだけど……
「お待たせ♪……って、京ちゃんどうしたの?そわそわしちゃって?」
「う、うん……。あのね?僕の勘違いかもしれないんだけど、何か見られてるような気がするんだけど……?」
ハッ!?これが女の子になったら視線を感じられるようになるってやつか!まぁ気のせいだと思うけど……
「こんなかわいい美少女がいるのよ?皆見ないわけないじゃない。もっと堂々としてなさい。あ、でもそうやって視線を感じれるようになったってことは、女の子になってきてるってことよ?よかったわね♪」
キノセイジャナカッタカー。それに女の子になってきてるって、全然うれしくないよぅ。
見られてるってのがわかったら、余計に恥ずかしくなってきたし……
「うぅ……」
「そうやって真っ赤になってるのもいいけど、早く食べましょう?そうやって気にし続けてたら何も出来ないわよ?」
「だ、だってぇ……」
「だってもヘチマもないわ。時間は有限なのよ?折角あなたの一番好きなのを買ってきてあげたんだし」
そこで僕はやっと母さんが買ってきてくれたものを見たんだけど、母さんが言ってくれた通り、僕の大好物のモンブランだった
「うわぁ……」
「あらあら、そんなに眼を輝かせて見なくてもモンブランは逃げないわよ」
母さんが何か言ってる気がしたけど、僕はもうモンブランしか見えてなかった。だってモンブランだよ?これさえあればもう何も怖くないよ。えへへ~♪
モンブランを食べているときに母さんが僕の写真を撮っていたり、「これでまた父さんのへそくりを……」とか言ってた気がしなくもないんだけど、そんなことも全然気にならないや♪
僕の分が食べ終わっちゃって、もう終わりかぁって思ってしょんぼりしてたら母さんが苦笑しながら母さんの分のモンブランも僕にくれた。あぁ、し・あ・わ・せ♪
「うふふ……。そんなに幸せそうな顔で食べてる京ちゃんが見られて私も幸せだわぁ。それじゃ食べ終わったら、お買い物の続きをしましょうね♪」
「うっ……」
折角忘れてたのに……、あっ、でも今の僕にはモンブランがあるんだった。あぁ、やっぱりモンブランはおいしいなぁ。えへへ~♪
「ほらほら、自分の世界にトリップしてないで早く食べておしまい。……って聞いてないわね……」
あれから僕がモンブランを食べ終わるのは暫く後のことであった。
すごくおいしいんだから、仕方ないよね♪
………………
…………
……
「さぁ、今度こそお洋服を見に行くわよ♪」
「う、うん……」
母さんに引き連れられて僕は服屋さんに向かっていた。
モンブランを食べ終わったら何故か母さんだけじゃなくて、他の周りにいた人全員が僕のことを見ていた。あれはほんとに顔から火が出るんじゃないかって思うくらい恥ずかしかったなぁ。
「だって、あんなに幸せな顔でケーキを食べてる美少女がいるのよ?見ないって方が無理な話よ」
ってのが母さんの談。
いやいや、それってつまり僕がモンブランを食べてるところをずっと周りの人から見られてたってことでしょ?うぅ、気付いていたなら早く止めてほしかったよ……。
まぁ、もう過ぎたことだから仕方ないよね、うん。でも、僕が入ったときにはまだ席は空いていたのに、僕が食べ終わる頃には満員になっていてたんだ。女性客はみんなモンブランを頼んでいたみたいなんだけど、ここのお店ってそんなにモンブランが有名だったっけなぁ?それとも皆モンブランが好きだったのかな?おいしいし、仕方ないよね!
「はいはい、ケーキの話はこれくらいにしておいて、さぁ、着いたわよ?」
……そして僕は服屋さんに辿りついてしまいました。
とりあえず好きなように選んでおいでと言われたので、店の中を歩いて見回る僕。うぅ、なんで女の子の服って、こんなにフリフリしたやつが多いんだろ……。恥ずかしくてとてもじゃないけど着れないよぅ。
それでもスカートとかフリフリした服とかを自分では選ぶというか着るのは恥ずかしかったから、なんとかまだ着れそうな服とボトムズっていうのかな?ズボンっぽいやつをチョイスして母さんに持っていったんだけど、折角可愛い女の子になったんだから、もっと可愛い格好をしないとダメでしょってダメだしされた。何か女の子になってから母さんからは可愛いとしか言われてないような気がするんだけど、気のせいだよね……、うん。ってそれよりも……
「べ、別に僕は可愛くなりたいわけじゃないから、これで十分なんだけど……。それよりも今まで僕が着てた服だってあるし、服はそんなに買わなくてもいいんじゃないかな?」
とりあえずちゃんと抵抗をしていかないとね!母さんの言いなり人形になるつもりなんか全然なんだからね!!
「何を言ってるの。そんなもったいないことお母さんが許すわけないでしょ?それに今まで来てた服を着るって、女の子になってからさらに身長が低くなったんだし、ぶかぶかになって着れたもんじゃないでしょ」
「うっ……」
そう、僕は見なかったことにしたかったんだけど、女の子になってから、ただでさえ低かった身長がさらに10センチくらい低くなってるんだ……。
で、でもまだ着れないって決まったわけじゃないし、案外着ても問題なかったりしてほしいなぁ。
「はいはい、現実逃避してないで早く服を選ぶわよ?京ちゃんに任せていたらそんな感じのしか持ってこないだろうし、お母さんが選んであげるわね」
そういって、母さんは僕の服を探しにいった。ついに最終決定権すら僕には無くなってしまったようだ……。まぁ確かにお金を出すのは母さんだけどさ。世知辛い世の中だよ、ほんと……。
この後、フリフリがたくさんついた服とかパンツが見えるんじゃないかっていうようなミニスカートとか、母さんにとって僕に似合う服を次から次へと持ってきたんだけど、僕の精神が持ちそうになかったから、僕がどんな服を着せられたのかは今は内緒ということで……。
服屋さんに入ってから2時間近く経過していて、最終的には20着以上の服を購入したっていうことで、僕がどれだけ母さんに着せ替え人形をさせられ続けたのかわかってくれるよ……ね……?
京ちゃんは今まで服は全部母親に任せていたので、種類とかは全然わかりません。
ただ、下着のとき折れかけていた心は洋服のときにポッキリ折れてしまったみたいですね。
がんばれ京ちゃん。負けるな京ちゃん。君の未来は明るいぞ。たぶん
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