第四話 茶番劇
あぁ……最悪だぁ。
ゆーのは連行された自分の部屋で1人、寝ていた。当然のように、ゲーム部屋からはゲームがきれいさっぱり消えていた。半導体を横目でちらりと確認したが、そこに入っていたアプリもすべて消えていた。
はぁ…どうせデータは消えてないんだろうけど。今の時代、データが消えるなんて話は聞いたことがないけれど昔はそうだったらしいから。
耳のあたりにあるボタンを操作してヘッドフォンを起動。目の前の半透明な適当な音楽を流す。
周りを軽く見渡す。でも、すべて飽きたものでやる気も起こらなかった。
暇つぶしがなくなってしまった・・・。新しいモノ見ーつけよ、っと。
「お父様に面会の予約を。」
「かしこまりました。」
数秒の間彼女は何も考えず、ボーと天井を見ていた。そして、メイドの仕事がなんとまぁ、早いこと。トビラの外から声がした。
「今、よろしいそうです。」
「では、向かうと伝えて」
「かしこまりました」
はぁ〜〜。じいのせいで暇つぶしなくなっちゃったよ。私が悪いって?それは言わないでくほしいな!
いろいろと考えている間にお父様の部屋についた。
扉をたたく。その扉はこれまで見たどの部屋よりも豪華だった。ただし、ゆーのの私室のトビラはそれ以上の気品をまとっていた気がした。
コンコン。
たったそれだけのしぐさで家柄の良さがわかってしまうのだから、とても憎く感じてしまうのが作者の常。
「お父様、参りました。」
「入れ。」
カチャリ
入ってすぐに扉を閉め、その瞬間にも口は動く。
「お父様、早速なのですが、じいをどうにかしてくださいませ。私の暇つぶしの道具をとったのですよ。」
ぷぅーっと頬を膨らませた。いや、膨らませたつもりになっているだけで淑女の仮面を今も完璧に被り続けている。
すねた感情を全く感じさせない笑みでこの屋敷の当主、つまりはゆーのの保護者を見据えた。
ゆーのはここに来れた時点で自身の目的が達成されたと確信している。それはなぜかというと
「そなたが悪いのだろう、ゆーの。相変わらずだな。」
苦笑しながらいう彼は笑顔だった。そう、当主はとてもゆーのにあまいのだ。まあ、無理もない。ゆーのは引きこもりだ。彼女を溺愛している彼にとってはやはり会いに来てほしいのだ。だから、ゆーのが来てくれて、彼は嬉しいのだ。
「相変わらずとでもなんとでもおっしゃってください。で、お答えをお聞かせ願います。お・と・う・さ・ま。」
急かすゆーの。内心焦っているのだ。ここに来れた時点で目的は達成されることが約束されたようなものだ。しかし、いつじぃが来て邪魔をするか分かったものではないからだ。
「本当にお前は……。」
「でも、そう言うからには案があるのでしょう?」
「ないこともないのだが…。」
答えを渋るゆーのの父に対してゆーのは強引に迫る
「おしえてくださいな。」
はぁ、と諦めたように息を吐く。
「ゆーのよ、本は好きかな?」
「好きですね。」
「では、電信書記を読んだらよかろう。たしか、『小説家になろう』や『カクヨム』だったか?そこに掲載されている本を読めばいい。」
作者は、親に制限かけられて読めません。
このぉーー!!!!許すまじ。
う、後、後ろから、さっ、殺気が…。
「えっ、えっと、ありがとうございます、お父様。失礼いたします。」
こんなに殺気が放たれている部屋にはいたくない!
ゆーのは作者であるヨムのさっきから逃れるように急いで廊下に出る。しかし、この世界の創設者にはそれだけでは逃れられない。ご愁傷さまだ。
「バタン!」
ま、まだ、殺気が…、と、いうかなんか憐れみをなにかから向けられた気がするんだけど…?と、とにかく、誰かどうにかして!
殺気から逃げるようにしてゆーのは部屋に向かった。
バタン
「はぁ、はぁ、はぁ。」
息が荒れている。しょうがないだろう、ほぼ全力で走ったのだから。
まだ、殺気が…。
しょーがない。この子のせいじゃないし。不幸だな、わたし。
作者は自分で自分を憐れむというなんともまぁ哀れで悲しい行為をして怒りを鎮めた。
あれ、殺気が消えた?こんな一瞬で……どんな人なんだ、作者は…?考えても仕方ない。主人公や、周りの親しい人物以外であろう、私という1キャラクターは気にもされないだろうし。
おやすみなさ~い。
ベットダイブ。
は?こいつ馬鹿なの?お前、主人公なの!一番気にされる立場のキャラクターなの!分かってる!?
(茶番劇)
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