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第一話 路地裏

少し暗い路地裏。驚くほどに静まり返ったそこには軽快なステップを踏み歩く少女とガラの悪い男がいた。少女はそれに気づく様子もなくただただ鼻歌を口ずさんでいた。


「おい、そこの女ぁ?オラッ!」


バンッ


何かがその男に衝撃を与えた。しかし、その何かが何だったのか誰も認識できない。


ガンっ


「っ!?グ……あ?」


誰も何もしてないのに倒れる男。あお向けで相当強く頭をぶつけたようで気絶していた。

路地裏を軽快に歩いていた少女は音がして後ろを振り返る。男があお向けに倒れていて驚きで少し目を見開く。


「え…なんでこんなところに人が倒れてるの?」


ちょんちょん、と少女は男を指でつつく。気絶したことに気づくが何ら表情は変わらない。ただ、冷静に無表情で。

私が通ったときは倒れてなかったし…わたしが後ろに向かってキックしたわけでも物を投げたわけでもないのになぜ…?


「なにやってるのかしら!?」


そこには先ほどの少女と同じかそれより少し下ぐらいの少女が路地から路地裏の入口へと飛び出していた。


あの子…なに?


「リスト、何でしたっけ?とにかく、ですわ!男性に女性が絡まれてい、っ!?」


男のそばで膝を抱えてしゃがんでいる少女を見て目を泳がせ、口が半端に空いたりしまったりしている。


「ゆ、ゆーのさま?失礼いたしましたわ!」

「え、どうかしたの?」


ゆーのと呼ばれたその少女は振り向きざまに疑問で返した。


「いえ、ゆーのさまなら安心しましたわ。」


少女はゆっくりと立ち、自分の名前を読んだ少女を見据えた。

表情は氷のようだが内心驚きの嵐だった。


様付けで呼ぶとか…まぁ北雪方の領主の娘に対してはそれが当たり前かな?

でも、私のことは中央タワーが帰省していて民衆誰も知らないはず。

つまり、警察最上層部か中央タワー関連の人間。まぁ他にも知っている人はいるんだけどそれは絶対に該当しない。

そして多分この子はその後者である中央タワー関連の人間に当たる


「なんで人が倒れてるの?」


とりあえず聞いてみる。私には目的がある。そのためには自分がなぜこうも秘匿されて生かされているのかを理解しなくてはならない。

私の何を隠しているのかさえ、定かではないのだから。


「え、えっとですね…ち、近くで男性が事故にあったと通報がありまして、それでわたくしが来ましたの。」


(-ω-;)ウーン…目ぼしい情報なしっていう事実よりもこの子哀れだなぁ

私の正体?のようなものを私自身に気づかれないように口の堅さを試されるって話だったんだけどな…。


「そうなんだ。」


 わかってる…やっぱり人間みんな嘘つきだなぁ


「私は帰るね。」

「はっ」


敬礼をする少女を横目に前に突き進むゆーの。しかし、数歩進んだところで何となく、足を止めてみた。そして振り返る。


「名前は?」

「え?」

「だから、あなたの名前はなに?」


 ほほを少し紅潮させてうれしそうに答える。


「羽夏家3女のノノカです」


きっと、気に入られたんだと思ったんだろうな…ごめん。そういう意味じゃないんだ。だって、


「あぁ、そう」


くるりとさっきの方向に振り向く。ゆーのは変わらず無表情だった。


()()()()()()()()()()()()()()人なんだ。少しは祈ってあげないとでしょう?ノノミ、ご臨終様。来世では幸福があるといいね。

ゆーのは今度こそまっすぐ前へ進んでいく。彼女の顔には曇りが一切なかった


「コツ…コツ…コツ…コツ…」


靴音をならして。

夕日に向かって。ゆーのの影は何か不吉なことを予言するかのようにゆらりと揺らいだ。でも、それに気づく人間も、歩き進むゆーのをきちんと視認できている人間も一人もいなかった。ゆーの自身、何も感じている様子はなかった。


そんな時もいつも思考停止してその先が見えない疑問について考える。


物心がついた時にはみんなこんなふうに敬意を払っていた。それに関しては理解できる。

2,3歳くらいの記憶だって、そう。知り合いの他人も、知らない他人にも敬語を使われ、嫌気がさしてた。気持ちが悪かった。まぁこれは北雪家の長女として生を受けた時点で当たり前だから構わない。

でも、子供同士でも普通に仲良くしてくれた子もいなかった。みんな一歩引いて話す。近づくことすら恐れ多いとでもいうように。

そして、気にせず話してくれるのは家柄を気にしないこういう民衆の家庭の子たちだった。そういう私の本当の友達は大抵、一人ずつ、引っ越したりして私の前から完全に消えてしまった。その子たちと手紙を取ったりしようとしたこともあるけど、流石に子供の浅知恵では中央タワーの小癪な大人を出し抜くことは不可能だった。記憶を消されるのだ。

記憶が消えてしまうのなら、どんな作を講じても意味はない。思い出はなくなり親友でも友達でも、少し仲良くしただけの知り合いも赤の他人へと変化する。その子たちの顔も、見た目も、名前も、好きなものも。わからない。遊んでいた場所すら記憶に残らないのだから恐ろしい。でも、一つだけ覚えてる。服を、もらったのだ。男の子?から。もしかしたら女の子だったかもしれない。でも、その服はとても気に入ってる。見たら涙を思わず流してしまうくらいには思い入れのある品だ。


私は金持ちで、昔の小説にある貴族?みたいな家に生まれて、裕福だ。











でも、わたしは普通の子として生まれたかった。








お前は、俺を望んでいなかったのか?世界が望んだ!”#$%を生み出してやったのに?

ッはは。かっわいそうだなぁ。お前の友達はもう消えてんだぜ?

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