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はなかご  作者: 和音
別れの季節
95/104

文化祭 開幕

「咲、早く起きてよ。今日は文化祭だよ。」

何やら騒がしいと思って目を開くとそこには蜜柑の姿があった。外をチラッと見るがまだ暗くて明らかにいつもより早かった。

「うーん、今日は早いね。文化祭だからってそんなに早く起きる必要なくない?」

「だって文化祭が楽しみすぎて眠れなかったんだもん。楽しみすぎて待てないよ。」

私は無理やり蜜柑に起こされて時間を確認するがそこまで時間は経っていなかった。蜜柑はこういった特殊な日だけ起きるのが早い。いつもこれくらいの時間に起きてくれたら助かるのに。

「まあいいや。それならご飯の準備するから待ってて。」

「ふっふっふ、今日は私が既に朝ごはんの準備をしたんだよ。すごいでしょ!」

リビングに行くと既にテーブルに料理が並んでいた。

「そこまでしてくれるなんてありがとう。それならいつももっと早く起きてたまに朝ごはん作ってくれたらいいのに。」

「それは嫌だよ。そんなことより早く一緒に食べようよ。」

蜜柑は誤魔化すようにテーブルに座った。何はともあれご飯を作ってくれたことは嬉しい。

「それにしても文化祭が楽しみでしょうがないよ。だって咲のメイド姿が見れるし咲と一緒に回れるんだよ?」

「あー、そのことなんだけれど文化祭はなのちゃん達と回るから。」

気まずそうに私が口にすると蜜柑は絶望したような表情になる。

今日は久しぶりに中学の頃の友達と会えるということで楽しみにしていた。だから蜜柑には悪いが文化祭は四人で回る予定だ。

「そんなこと聞いてないんだけど?私も咲と回りたいんだけど。」

「久しぶりに揃うんだから流石になのちゃん達と回るよ。それに蜜柑だって他の友達と回ればいいじゃん。」

「私は咲と回りたいの!少しでいいからお願いだよ。」 

「まあ、時間が残ってたらいいよ。でもそんな時間あるかな?」

私も蜜柑とは回りたいと思ったがそんなに休憩時間があるか分からなかった。

というのもお化け屋敷とメイド喫茶を合体させた弊害でその分人手も増やさないといけなかった。そのため一人当たりの休憩できる時間もそんなになかった。

「私は咲と回ることをずっと楽しみにしてたんだから。だから絶対に回ってみせるよ。」

などと意気込んでいる蜜柑を眺めながら朝ごはんを食べる。最初こそ蜜柑の料理はお世辞にも美味しいとは言えなかったが最近はかなり美味しいため本当に料理を分担して欲しいくらいだった。

「それにしても本当に楽しみだよ。なのちゃん達早く来ないかな?」

三人とも休日なのに遠いとこからわざわざ来てくれるなんてありがたい。特に空ちゃんと鈴ちゃんはかなり忙しいところ予定を開けてくれたらしい。

「そういえば篝鈴蘭って何者なの?あの人が何者なのか気になるんだけど?」

どうやら鈴ちゃんはひまりを説得してくれるのに一役買ってくれていたらしい。蜜柑は鈴ちゃんと会ったらしいが私もちょっとくらい話したかった。今日会ったらお礼を言わないといけない。

「私も詳しくは知らないけどかなり有名なところのお嬢様だったはずだよ。鈴ちゃんは優等生で何でもできて優しいからすごい人気だったな。」

鈴ちゃんは普段から優しくて私も大好きだった。

ただ鈴ちゃんはなのちゃんのことになると少し様子がおかしくなるのだ。

「ふーん、あの人はなんか少し怖いんだよね。まあ、鏡音空と篝鈴蘭には感謝はしてるよ。あの二人がいないとひまりが文化祭に来てくれることはなかっただろうし。」

「本当だよ。二人ともわざわざここまでしてくれて感謝してもしきれないよ。」

二人のおかげで今日はひまりと話し合うことが出来る。この機会を絶対に逃してはいけない。

「まあ、最高の舞台は整ったし後は私達次第ってことだね。とりあえず学校に行く準備でもしよっか。」

「そうだね。いつもよりオシャレしないとだし。」

「待って、それなら私が整えてあげるよ。」

「いいけどそんなに時間かけないでね。」

せっかく朝早く起きたというのに結局バタバタしながら学校の支度をすることになった。

何はともあれ文化祭が始まるのを気長に待つしかなかった。







「それじゃあ、時間が余ったら私とも回ろうね。約束だからね!」

「はいはい、じゃあ蜜柑も頑張ってね。」

私達はいつも通り扉の前で別れてから教室へと入る。

教室の中は既に完成しておりお化け屋敷のように真っ暗で怖い雰囲気になっていた。思った以上に完成度が高くてびっくりする。

「おはよう日野さん。今日は遂に本番だね。」

教室に入るとオバケのような格好でお皿を運んでいる柳さんと出会う。私や蜜柑のような接客はもちろん裏方もコスプレすることになっていた。柳さんは白い布を羽織っていてとても可愛かった。

「そういえば頼んでいたチケットの準備はできた?」

柳さんに言われて私は鞄からチケットを取り出す。

今からこのチケットを学校中に配らないといけない。

チケットを配るのは東くんの役目だ。

「バッチリだよ。やることはやったし後は文化祭を楽しむだけだね。」

「ふふっ、いっぱい頑張りたいね。私もちゃんとした料理を出せるか緊張してきたよ。」

やることがない私と柳さんは隅っこで休みながら文化祭が始まるのを待っていた。

クラス内はいつも以上に騒がしい。みんながコスプレして和気藹々していたため、なんだか緊張も少し解けるような気がした。

今日までに色々とあったが何とか無事に文化祭を迎えられてとりあえず一安心だ。

文化祭を楽しむのはもちろんひまりと話し合ったり劇もあったりで色々と忙しい。とはいえ、なのちゃん達と会えたり他のクラスの出し物を回ったり楽しみな気持ちの方が強かった。

「私だって緊張するよ。劇が成功するか心配だしそもそもお客さんが来るかも分からないし。」

あれからも何度も劇の練習をして前よりかなり上手くはなったがそれでも人前に出るとなると緊張する。

「日野さんはたくさん練習していたし大丈夫だと思うよ。南雲さんのこともあるけど日野さんだけが背負うことでもないから。」

どうやら柳さんには見通されていたらしい。

「そうだよね。でもみんなに助けて貰ったからには絶対成功させるよ。」

「そうだね、私達みんなの力で頑張ろうね。」

私と柳さんが話しているとチャイムが鳴り、遂に文化祭が始まった。

外を見ると外部の生徒や保護者などで賑わっていた。

「みんな、全力で頑張るよ。前半の係の人は持ち場に着いて。」

安立さんの指示に従いそれぞれが持ち場へと着く。私は最初メイド服を着て接客する係だ。

まだ少し恥ずかしいが私はメイド服を着て表へと出た。

「わあ、日野さんすごい可愛いじゃん。」

「すごいじゃない。これならお客さんもたくさん来るわね。」

綾乃と安立さんからも大絶賛で勇気の出た私は早速一人目の接客をすることにした。

「いっらしゃいませ、こちらお化け屋敷型メイド喫茶です。って楓先輩じゃないですか。」

「やっほー、最初は暇だから来ちゃった。咲ちゃんのメイド服はやっぱり可愛ね。」

楓先輩は私のメイド服を一度見てるはずだがとてもベタ褒めしてくれる。

「とりあえず席まで案内しますね。」

いきなり知り合いでびっくりしたがとりあえず楓先輩を席へと案内する。

席へ移動する途中にオバケ係が楓先輩を脅かそうとするが一切動じていなかった。確かに楓先輩が何かに驚いてるイメージが湧かない。

「こちらのメニューの中から選んでください。」

それにしてもやっぱり知り合いにメイド服で対応するのは恥ずかしい。しかも楓先輩はニヤニヤしながら私を見てくる。もしかして私を揶揄うためにここに来たのでは?

「とりあえずこのカボチャティーを貰おうかな?後このケーキも。」

「柳さん、オーダー入ったよ。カボチャティーとカボチャケーキだって。」

「任せて今作るから。」

私はオーダーを柳さんに回した。正直いきなり柳さんに料理を作らせていいのか迷ったがあれからかなり上達したらしいし大丈夫だろう。

「とりあえずお話しでもしようよ。可愛いメイドさん。」

この待ち時間はお客さんと会話することになっているが楓先輩とは普段から話しているため、どんな会話をしたらいいか分からない。

「いやあ、それにしても内装から気合い入ってるね。咲ちゃんみたいな可愛いメイドさんもいるし来て正解だったよ。」

「来るのは構わないんですが何故最初にここに来たんですか?」

「だって咲ちゃんのメイド服を見たかったから。それに咲ちゃん達すごい頑張ってたでしょ?だから応援したいなって。」

この人は自由すぎて困る。周りを見ても楓先輩以外にまだお客さんもいないしこの先が不安だ。

「まあ、恥ずかしいのは分かるけどすぐに慣れるだろうから安心して。それにメイドさんは笑顔じゃないとでしょ?」

「こ、こうですか?」

私は楓先輩に言われた通り笑顔になってみる。劇の練習もあってか表情を作るのは上手になっていた。

「やっぱり咲は可愛いね。ほら、ピースもして。」

「そうそう、それともうちょっと笑顔でお願い。咲はやっぱり可愛いなあ。」

楓先輩だけでなく何故か蜜柑まで混ざって盛り上がっていた。ここはアイドルとの握手会じゃないんだけれど?

「これ以上は恥ずかしいからダメです!それに何で蜜柑までいるの?」

「まあ、そんなに怒らないでよ。楓先輩が頼んだ料理を持ってきただけだから。」

そういえば蜜柑は最初ウェイターをやる係だった。いきなりサボリかけてたが大丈夫なのか。

私は小さくため息を吐きながらも楓先輩に料理を出した。この調子じゃ最後まで持たない。

「うわー、料理のクオリティもすごいね。そうだ、メイドなんだしあれやってよ。萌え萌えキュン♡ってやつ。」

「そ、それは流石に恥ずかしいというか。」

「いいじゃん少しくらい。先輩のお願いなんだし聞いてくれるよね?」

「少しだけですよ。も、萌え萌えキュン♡」

「すごい!咲ちゃんのおかげでより美味しいそうだよ。」

盛り上がっている楓先輩に対して私はもう既にげっそりしていた。

この調子で大丈夫なんだろうか?

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