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はなかご  作者: 和音
別れの季節
83/104

衣装を求めて

「うわー、こんなにたくさんの服すごいよ。さすが安立さん。」

「でしょでしょ?とりあえずこれだけあればメイド喫茶の服は足りるっしょ。」

「えー、すごいじゃん。さすが蓮華おしゃれだね。」

「いいじゃん。これならお客もいっぱい来そうだな。」

たくさんの服を見てクラスのみんなは盛り上がっていた。メイド服はもちろん可愛い服からかっこいい服までたくさんの服があった。

あれからまた数日が経ちかなり文化祭の準備が進んでいた。ダンボールは全て塗装が終わり後は設置するだけだしメイド喫茶のメニューも決まった。まだやることは多いがそれでも今は順調と言って良かった。

それにしてもこれだけの服を一人で用意するなんて安立さんはすごい。安立さんはとても明るくいつもクラスの中心にいる人だ。安立さんのおかげ服はかなり揃ったのだがまだ一つ問題があった。

「なあ、これ俺たちは何を着ればいいんだ。流石にこんな可愛い服着れねえよ。」

「しょうがないでしょ私が男用の服持ってるわけないじゃない。アンタ達こそ何かいい服持ってないの?」

「そんな服あるわけないだろ。どうすっかな俺たちは裏方に徹するとか?」

「それはだめよ。アンタ達にも接客はしてもらうからね。」

そう、まだ男子の服と劇の服がなくて困っているのだ。服は高く中々調達が難しい。私と蜜柑もそれぞれ探してみたがそんな服はなかった。というか私はオシャレに興味なんてものはなくシンプルな服しか持っていないのだ。柳さんや蜜柑も同様に劇や喫茶で使えそうな服は持っていなかった。

「日野さん何か案はない?このままじゃ男子共のせいで雰囲気めちゃくちゃなんだけど?」

「そうは言っても普段からそんな服持ってるわけないだろ。そもそもお前なんでそんなフリフリな服持ってんだよ。似合わねえだろ。」

「なっ、アンタねえ。別に女子なんだから可愛い服の一つや二つ持っててもいいでしょ?」

喧嘩しそうな二人を止めながら私は案を考える。どうにかして衣装を調達しなければいけない。

「とりあえず二人とも落ち着きなよ。とりあえず今は他のクラスに行って余りの服がないか探してみるよ。とりあえず行こっか日野さん。」

大野くんはニコッと私に向けて微笑んだ。こういう土時に冷静に対処できる大野くんは頼りになる。余りの服があるかなんて分からないがとりあえず今はこれしかやることがない。

「分かった。それじゃあ行こっか。」

「ストップ、それなら私も行くよ。私なら友達多いから服も借りられるかもだし。」

私と大野くんが教室を出る時蜜柑はすごい目でこちらを見つめる。蜜柑は大野くんに対してすごい圧を放っている。別に大野くんは変なことするやつじゃないのに。

「いやいや、蜜柑は飾り付けとイラスト係でしょ。勝手に抜けてもらったら困るんだけど?」

安立さんのツッコミの通り蜜柑には別にやることがあった。しかし蜜柑は譲ろうとはしない。

「ちょっとくらいいいじゃん。息抜きだよ息抜き。それじゃあ行ってくるね。」

「ちょっ、待ちなさい蜜柑!」

蜜柑はそれだけ言って強引に私と大野くんを連れて外に出た。とりあえず蜜柑が大野くんに変なことをしないかそれだけが不安だ。

「それで最初はどこに行こっか?大野くんは服を貸してくれる人とかいない?」

少なくとも私の知り合いには服を貸してくれそうな人はいないと思う。影山さんや麻莉はオシャレに興味なそうだし椿もオシャレならオシャレな服も持ってそうだけど貸してくれなさそうである。

「そうだな、サッカー部の先輩ならオシャレだしもしかしたらいい服を持ってるかも。それと僕のことは東でいいから。」

「なら最初はそこに行こっか。ほら、危ないから手を繋ぐよ。」

蜜柑は東くんがいるというのにお構いなしに手を繋ぐ。クラスの前では隠すという話ではなかったのか。蜜柑の距離が近くて歩きにくい。

「あはは、二人ってそんなに仲が良かったんだね。クラスで全然喋ってなかったからびっくりしたよ。」

「まあ、蜜柑とは同じ寮だから。少し重いところがあるから困ってるよ。」

私の発言に大野くんはキョトンとした後すぐに笑い出した。

「本当に?いつも誰に対してもそっけない蜜柑が?あはは、それは興味深いよ。」

「そりゃあ咲は特別だもん。だから東も咲には手を出さないでね。」

蜜柑は東くんをグッと睨みつける。しかし東くんはその様子を見て大笑いしていた。この二人なんだか仲がよさそうに見える。

「えっと、もしかして二人って知り合いだったりする?」

「中学の時から一緒で何かと縁があるだけだよ。安心して私は咲一筋だから。」

今日の蜜柑はいつもよりくっつくし東くんはずっと笑っている。それにしても東くんってこんなに楽しそうに笑う人だったんだ。もう少しクールな感じだと思っていた。

「蜜柑と日野さんは親友なんだね。蜜柑がこんなに誰かにくっつくなんて始めた見たよ。」

「そうなんだ。私は蜜柑の過去を知らないからてっきりずっとこんな感じなんだと思ってたよ。それと蜜柑は少し離れてくれない?」

「そうだね、あまり詳しいこと言うと蜜柑は嫌がりそうだから昔の蜜柑はもっと暗かったとだけ言っておくよ。」

「もう、私の過去なんてどうでもいいでしょ。そんなことより早くサッカー部の先輩の所に向かうよ。」

蜜柑は誤魔化すように先輩のいるグランドへと向かった。少し顔を赤くして焦る蜜柑はなんとも可愛かった。

「ほら、蜜柑ってこういうところが可愛いんだよ。たまに見せるギャップというか。」

「そうだね、焦ってる蜜柑はとっても可愛いよ。」









「衣装だあ?そんなの俺が持ってるわけないだろ。それよりグランドの整備が忙しいんだ。お前達も少し手伝ってくれないか?」

周りを見ると何人かの生徒が草むしりやテントを立てたりしていた。文化祭本番は外でもイベントや出し物、駐車場などに使うため外の整備が必要らしい。そのため部活の部長は全員外の整備をさせられるらしい。

「はあ、しょうがないですね。それなら僕たちも手伝いますよ。日野さん達もいいかな?」

私と蜜柑は当然のように頷いた。衣服探しも大事だが時間もまだあるし大丈夫だろう。

「助かるよ。それじゃあ東には力仕事をやってもらおう。二人には草取りをお願いしていいか?」

「分かりました。それじゃあ僕はテントを建てに行くから二人は草取りを頑張ってね。」

先輩はそれだけ言うと東くんを連れてテントの方へと向かっていった。残った私達は早速草むしりをする。それにしても広いグランドだ。この人数だとかなりの時間がかかりそうなものだ。

「えへへ、咲と学校でも話せて嬉しいよ。私ずっと我慢してるんだから。」

蜜柑はムッとした顔でこちらを見つめる。

「私も蜜柑と話せて嬉しいよ。ただ私が他のクラスメイトに話してる時にすごい目で見てくるのだけはやめてね。」

「それは無理。だって私が我慢してるのに他の人が咲と話してるのを見るとどうしても怖い顔になっちゃうよ。咲だってすぐに笑顔を振り撒くのやめてよね。」

蜜柑だって周りにいつも笑顔を振りまいているじゃん。私だってたまに嫉妬しちゃうことあるのに。

「はあ、本当に蜜柑は私のこと好きだね。」

「そりゃあそうだよ。私はずっと咲のことが。」

蜜柑は私にそっと抱きつくとそのままグッと顔を近づける。誰にも見えないところでキスされそうになりどうしたらいいか分からず私は目を閉じる。蜜柑の本当の気持ちが分からないけどこのままキスされても私は構わないと思ってしまう。

「おやおや、二人とも何やってるのかな?」

しかしお互いの唇があと少しで触れるというところで楓先輩が現れる。私は咄嗟に蜜柑から離れて何事もないかのように振る舞う。

「えっとその、私の服に埃がついてたから蜜柑がとってくれただけです。そうだよね蜜柑?」

「う、うん。変なことはしてないよ。」

「おやおや、それにしては二人とも顔が赤いしキスでもしてたんじゃないの?」

楓先輩はニヤニヤとした顔で私達を見つめる。私は顔を真っ赤にして戸惑うことしかできない。とりあえず私は別の話題を出して話を変えることにした。

「そんなことより先輩はどうしてここにいるんですか?」

「あはは、話題変えちゃてそんなに恥ずかしいんだね。実は草むしりしてたらコソコソしてる二人がいたから来てみただけだよ。別にイチャイチャするなとは言わないけど学校では程々にね。それにしても二人がそんな関係なんてびっくりだよ。」

明らかに勘違いしてる楓先輩に私はどう誤解を解こうか悩む。そんな中蜜柑は楓先輩をじっと睨みつける。

「咲とはまだそんな関係ではありません。ですのでこれ以上のからかいはやめてください。」

「ごめんごめん。ちょっとからかいすぎちゃったかな?もうからかわないから安心して。それとちょうど二人に用があって来たんだよ。」

「私達に何か用ですか?」

「うん、二人にぜひお願いしたいことがあるんだ。先輩の頼みを断ったりはしないよね?」

いつものようににこやかに笑う楓先輩に私と蜜柑は嫌な予感しかしなかった。

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