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はなかご  作者: 和音
別れの季節
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やるべきこと

「えへへ、やっぱり咲は可愛いな。今日はいっぱい遊んじゃうよ」

元気いっぱいの蜜柑と一緒に私は寮を出て駅へと向かう。今日は蜜柑とお出かけをする日だ。昨日までは少し機嫌が悪かったが今はとても機嫌がよくて安心する。

「それで今日はどこに行く予定なの?」

「せっかくだし今日は遠くの方に行くよ。この前水族館に行ったし今度は動物園とかどうかな?」

「私、動物に行きたい!実は動物園に行ったことなかったんだ。」

私の町は田舎すぎて動物なんてなかったからテレビや図鑑でしか動物を見たことがなかった。だから今日はとても楽しみだ。

「あはは、それなら良かったよ。じゃあ早速行こう。今日は絶対私の隣にいてもらうからね。」

私は蜜柑と手を繋いで早速駅を目指すことにした。それにしても今日は日曜日ということもあり賑やかだった。

「あのちょっと近くない?ここ外だよ。」

今日の蜜柑はいつも以上に近く周りからの目線も多くて恥ずかしくなる。

「だって咲ってば他の子とばっかり遊ぶんだもん。今日はその分咲と一緒にいるの。」

ただでさえ近いのにこんなに密着してるとドキドキしてしまう。

「それはごめんってば。蜜柑だけに時間を割くわけにはいかないから。」

特に最近は他の人に誘われたりして蜜柑とあまり一緒には入れなかった。

「むう、それでももっと私を構ってよ。それとさっき椿とは何の話をしてたの?変なことじゃないよね?」

蜜柑は疑いの目で私を見てくる。蜜柑は普段は優しいのに私にだけはとても重い。これをクラスのみんなが知ったらどう思うのだろうか?

「別に変なことはしてないよ。ただ椿にひまりには近づかないでって言われただけだから。」

「そっか、確かに椿ならそう言いそうだね。私としてもそれが一番いいと思うよ。」

蜜柑はすぐに納得して頷いている。蜜柑はおそらくひまりのことを詳しく知っているのだろう。これはチャンスだ。

「ねえ、ひまりはいまどんな状況なの?私といるとひまりは迷惑なのかな?」

もしかしたらひまりは私のことを嫌っているのかもしれない。そう思うと心が痛くて仕方ない。ひまりはいつも笑顔で本心が分かりづらいからそこに不安が残る。

「いや、それはないよ。むしろひまりは咲のことを大事に思ってると思う。私や椿もひまりと一緒にいたけどあそこまで楽しそうにしてるひまりは見たことなかったから。」

「じゃあ何で私はひまりに近づかない方がいいの?ひまりは明らかに様子が変だった。それは蜜柑もわかるでしょ?」

蜜柑も椿も何を考えてるのか分からない。ひまりと話さないことが本当に最善策なのかも分からないし二人がどこまで知ってるのか気になるところだ。

「今はまだ何も言えないけどいつか咲にも話すから。それに今は私とのデートなんだから暗い話はやめやめ。さあ、電車に乗るよ。」

私と蜜柑は電車に乗って動物園へ向かう。

「それで咲は文化祭どうするの?文化祭の出し物も完全に二つに分かれちゃてるし明日決まるのかな?」

「うーん、どっちも譲ってはくれなさそうだしどうしようかな。演劇だって誰も主役をやりたがらないじゃん。蜜柑がやったら?」

「咲がシンデレラ役をするなら私が王子様役をしてもいいよ。咲は私のお姫様だから。」

蜜柑はそう言ってぎゅっと抱きついてくる。蜜柑は可愛いし人前にも出れるからいいけど私にそんな勇気はない。柳さんとか姫様役にぴったりだけど出そうにもないし中々決めるのは難しい。

「これから文化祭まで忙しそうだけどみんながいるしきっと何とかできるよ。ひまりが楽しめるように最高の文化祭にしたいから。」

「いいねそれ。そう言うことなら私も頑張るよ。それにしても咲と学校内で話せないのは苦しいよ。だから今咲エネルギーを補給するね。」

蜜柑は普段は頼もしいのにこうやって私に抱きついてる様は赤ちゃんみたいだ。

「それなら学校でも話せばいいじゃん。」

「それはダメだよ。咲は私が守るから。」

よく分からないが蜜柑がめんどくさいことだけは分かった。そして蜜柑に抱きつかれながら少し話していると目的地の駅へと着いた。

私達は電車から降りて目的地の動物園に向かうのだった。









「見て見て、あそこにライオンさんがいるよ。」

「わあ、本物のライオンだ。ライオンってこんなに大きいんだね。しかもあっちにはキリンまでいるよ。」

初めての動物園に私を興奮を抑えれないでいた。その上休日ということもあり動物園は人で賑わっていた。私は迷子にならないように蜜柑と手を繋いで順々に回っていく。

「あはは、咲が楽しそうで嬉しいよ。普段こんなにテンションの高い咲は見れないから。」

「そりゃそうだよ。本物で見るとやっぱりすごいなってなるよ。ほら、時間もそんなにあるわけじゃないんだから早く次のエリアに向かうよ。」

この動物園は私が思っていたよりも大きく全て回るのにかなり時間がかかる。だから一つのエリアに滞在できる時間は少ないのだ。

「私も久しぶりに来たけどやっぱり動物は見てて癒されるよね。」

いろんな動物がいてとってもワクワクする。空ちゃんやなのちゃんにもこの景色を見せてあげたい。二人とも動物とか好きだろうし誘ってみるのもいいかもしれない。

「ねえ、あそこにウサギさんエリアがあるよ。早く行こうよ。」

私は蜜柑に引っ張られて小動物エリアへと向かった。白や黒、茶色などたくさんの色のウサギがいてとても可愛い。ハムスターやモルモットまでいて天国のような空間だ。

「うわー、やっぱりウサギさんは可愛いな。ちっちゃくてもふもふで可愛いから最高だよ。」

「蜜柑は本当に可愛いのが大好きだよね。」

「こんなの癒されるに決まってるよ。ほら咲ももっと触りなよ。」

蜜柑の笑顔はやはり安心する。蜜柑の笑顔に私は救われていると言ってもいいのだから。

「そうだね。私ももっと触ろうかな。」

私も小動物と戯れよう。そう思った瞬間人参につまづいて転んでしまう。私は転んでそのまま蜜柑に抱きついてしまう。

「わわ、突然びっくりしたよ。怪我はない?」

今までにないくらいの距離で近くて心臓に悪い。少しでも動かしたらキスしそうで恥ずかしくなる。いつも近づいてくる蜜柑でさえ今の距離の近さに顔を赤くしている。こんな蜜柑を見れるのは珍しい。

「ご、ごめん。怪我はないから次行こっか。」

「そ、そうだね。全部回らないとだもんね。」

私達はお互いに顔を赤面しながらも次のエリアへと向かった。次のエリアに向かう途中すごく気まずくて中々会話が続かないのであった。





「見てよ。あのクマかわいい。特にあのぐうたらしてるクマとか蜜柑みたいだよ。」

「む、そんなこと言うならこうしてやるー。」

「ちょっ、くすぐったいってば。」

「あの、少しいいでしょうか?」

突然抱きついてくるひまりをいなしていると誰かが私達に話してくる。

「あれ、緑さんがどうしてここに?」

緑さんは柳さんの使用人のはずだ。ここにいるなんて珍しい。その上何か焦っているようにも見える。

「実は今緊急自体でして、貴方達にお願いしたいことがあるのです。」

「そんなに急いでどうしたんですか。私は咲とデートしたいんですけど。」

「実は今日柳お嬢様の付き添いで来たんですがどこかに行ってしまって。どうか柳お嬢様を見つけるのを手伝ってください。」

どうやら今日はもう一悶着あるようだ。私と蜜柑は静かにため息を溢すのだった。


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