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はなかご  作者: 和音
別れの季節
76/104

忠告

「えっと久しぶりだね。」

私がドアを開けようとした時後ろにはひまりの姿があった。

「久しぶりだね。最近会えてなかったから心配したよ。とりあえず元気そうでよかった。」

ひまりは相変わらず可愛くて特に変わってる様子はなかった。だけど少しだけよそよそしい気がする。

「色々とごめんね。本当はあたしも学校に行きたいんだけど仕事が忙しいから。」

さっきからひまりは目を合わせてくれないしどうしたのだろうか。

「忙しいならしょうがないよ。文化祭には来れそう?」

「まだ分からないけど行けるようにはするよ。それじゃあ私は忙しいからもう戻るね。」

ひまりはそれだけ言って自分の部屋へと戻ろうとする。なんだかよそよそしくてとても不安になる。もしかして嫌われたのだろうか?

「ちょっと待ってよ。もしかして避けてたりする?」

私は思わずひまりを呼び止める。

「やだなあ咲ちゃんってば。ただ忙しいだけだよ。それじゃあまた今度ね。」

「待って、私まだ聞きたいことがたくさんあって。」

すぐに行こうとするひまりを私は止めようとするがその時ドアから蜜柑が現れる。

「もう!咲ったら遅いよ。早く私と遊ぼうよ。」

「ちょっと待ってよ。私はひまりとお話が。」

このままひまりを一人にしたらいけない気がした。今のひまりにいつものような元気はなく明らかにテンションが低い。

「いいから私と遊ぶよ。それじゃあ、またね。」

「う、うん。二人ともまたね。」

蜜柑は私を無理やり掴んでそのまま部屋の中へと入って言った。今日の蜜柑はいつもより強引な気がする。

私は部屋に入るとベットに座って蜜柑に問い詰める。

「どうして?私はもっとひまりと話したかったのに。それにさっきのひまりはなんだか様子が変だったよ?」

「だからだよ。今のひまりにはそっとしてあげて。特に咲は。」

蜜柑はとても落ち着いててまるでひまりについて何か知ってるようにも見える。さっき私を止めに入ったのもタイミングがいいし。

「でもひまりとは最近会えてなかったし。もっとお話が。」

「今のひまりは仕事で忙しから余計なことは言わない方がいいよ。それより咲もずっと外に出て疲れたでしょ?今日は一緒に寝ようね。」

蜜柑は真剣に私の目を見てくる。不安でいっぱいだが今は蜜柑を信じよう。蜜柑はきっと何か知ってると思うから。

「分かった。それならひまりにはそっとしておくよ。それと今日は一緒に居られなくてごめんね。」

私が謝ると蜜柑はプルプルと震える。ああ、これはまずい。

「もう、本当だよ。なんで私にかまってくれないの?今日一人ぼっちで寂しかったんだよ。だから今日は一緒にお風呂に入って一緒に寝ようね。それで明日はずっと一緒に遊ぼうよ。」

蜜柑はさっきまでと変わりいつもの距離感でベタベタしてくる。まあ、とりあえずそこまで怒ってなくて安心する。蜜柑は時折もっとめんどくさくなることがあるからこれはまだマシだ。

「うん、明日は何も予定がないから一緒に入れるよ。」

そして私は蜜柑とお風呂に入り同じベットで眠った。今日は色々あったがとりあえず無事に一日を終えることができた。

「それじゃあ明日はせっかくだし二人でお出かけしようよ。秋になって涼しくなったしさ。」

「いいね。私も蜜柑とお出かけしたい。」

明日は蜜柑とお出かけして気楽に過ごせる。この時の私はそう思っていた。











「それじゃあ咲は少しの間借りていくから。」

いや、なぜこうなった?気がつけば私は突然来た椿に抱っこされていた。

「いやいや、急に来たと思ったら咲を借りていくってどういうこと?咲は私とデートする予定なんですけど?」

「いいじゃん少しくらい。アタシは咲と話したいことがあるから。」

椿はいっつも突然現れるからびっくりする。

「そもそも用事って何?変なことじゃないよね?」

「大丈夫だから安心して。それじゃあまた。」

「ちょっと話はまだ終わってないよ。」

椿は蜜柑の話を無視して私を連れたまま外へと出る。私はよく状況の分からないまま外へと連れ出されるのだった。

「じゃあ早速公園にでも向かおっか。ゆっくりお話ししたいし。」

「それでお話しって?私何かやっちゃった?」

椿が私に用があるなんて珍しい。急にお話しと言われても何がなんだか分からない。

「いや、まあ友達としての忠告というか。とりあえず公園はすぐそこだから。」

私達は少し歩いて人気のいない公園に来た。初めて来たが上から景色を見渡せてとても綺麗だった。こんな所に公園があるとは思ってもいなかった。

「初めて来たけど綺麗でいい公園だね。椿はよくここに来るの?」

「小さい頃からずっと遊んでた大事な場所なんだ。落ち着くでしょ?」

椿は楽しそうに公園の景色を眺めていた。椿にとって大切な場所なのかも。

「それでお話って?ここまで来て話すってことは大事なことだったりする?」

「とりあえずここ座りなよ。そんな怯えなくていいからさ。」

椿と私はベンチに座り景色を眺める。私が緊張しているとドーナツを渡してくる。

「とりあえずこれ食べなよ。私のバイト先でもらったものだから。」

「えっ、椿ってバイトしてたの?」

「まあ、お金は大切だからね。このドーナッツを持って帰るとみゆはとっても喜んでくれるんだ。とっても美味しいでしょ?」

椿に言われて口にしてみるとふわふわの食感でとてもおいしかった。今度蜜柑と買いに行こうな。

「それじゃあ早速本題に入るけど咲はひまりのことどう思う?」

突然の質問に私は頭を悩ませる。まず質問の意図が読めない。それになぜ椿がそのことを聞くのか。

「ひまりは大事な友達だよ。」

「そっか、最近はひまりと会ったりしてる?何かよそよそしかったりしない?」

その言葉に私はハッとする。やはり椿はひまりについて何か知ってるようだった。

「ひまりとは昨日会ったけど様子がおかしくて。椿は何か知ってたりしない?」

「はあ、やっぱりそうなんだね。咲、悪いことは言わないから今のひまりには近づかないであげて。」

「それ蜜柑にも言われたけどどうして?私はひまりのことを大事に思ってるし困ってることがあれば助けたいよ。」

ひまりは悩みとか溜め込みそうな気がする。それなら私が少しでもひまりの負担を減らせたい。

「大事に思ってるなら尚更だよ。アタシも蜜柑もひまりと一緒に居たから分かる。今のひまりはそっとしておくべき。だから今日は咲がひまりに話しかけないように忠告しに来たってわけ。」

「だけどやっぱり心配だよ。今のひまりは忙しくてただでさえ大変そうなのに。椿は心配じゃないの?」

その言葉に椿は鋭い目で私を睨みつける。

「勘違いはしないで。アタシも蜜柑もひまりのことを助けたいと思ってる。だからこそ咲だけはひまりに近づけさせない。ひまりのことを大事に思ってるなら遠くで応援すること。」

椿の目は本気できっと色々と私の知らないことも知ってるんだと思う。

「分かったよ。そう言うことなら今は何もしない。」

完全に納得することは出来なかったが今は椿の言うことに従うことにした。ただこれ以上ひまりの様子がおかしくなった時は無理やりにでも助けに行く。ひまりは私の大事な友達なのだから。」

「あはは。そう言ってくれて嬉しいよ。またひまりのことで何か困ったことがあればアタシに相談してくれればいいから。じゃあ私はバイトに行くね。」

椿はそれだけ言ってバイト先へと向かって行った。椿は本当に全てが唐突だ。とりあえず私は考え事をしながら家に帰る。

今はただひまりが大丈夫か祈るしかなかった。








アタシはバイトに行く途中ひまりに電話する。こいつらは本当にめんどくさい。そのせいでどれほどアタシに迷惑がかかっていることか。

「もしもし、忙しい時期にごめんね。今少し喋れる?」

「大丈夫だけどどうしたの?もしかしてお願いしたことやってくれた?」

「うん、とりあえず忠告はしておいたよ。だけどそれも長くは持たないと思うよ。アタシは早く咲と向き合うべきだと思うけどね。」

咲はひまりの気持ちに気づかない鈍感だしひまりは悩み事とか全部抱え込んじゃうアホだし本当にイライラする。ひまりも咲も優しくていい子だからこうやってすれ違ってるのは心苦しい。その上蜜柑は何考えてるかも分からないし。

「分かってるよ。いつかアタシ自身で向き合わないといけないと言うことは。でも今のアタシには無理だよ。蜜柑ちゃんや椿ちゃんほど心が強くはないから。」

「そっか、それでひまりはどうするつもりなの?咲に思いを告げるのか何も言わずにいなくなるのか。」

「それも分からない。だけど私は咲ちゃんに傷ついて欲しくない。だからあたしは多分何も言わずに咲ちゃんと分かれると思うよ。」

ひまりはもうすぐこの町を離れる。それはずっと前から決まっていたことだ。ただ想定外だったのはひまりが咲のことを好きになってしまったことだけだ。

「それでひまりが後悔しなければいいけどね。ひまりは友達だから傷つかないで欲しいから。」

「うん、椿ちゃんはいつも優しいね。小さい頃から椿ちゃんはずっと優しくて面倒見が良かったもんね。」

「妹の面倒見てるからかな。貴方達を見てるとずっとヒヤヒヤして仕方ないよ。アタシも蜜柑に思いを伝えれてないから人のことは言えないけど思いを溜め込むことは辛いことだよ。」

「もちろんだよ。それはあたしも分かってるから。あっ、マネージャーに呼ばれたから終わるね。それと引き続き見張りよろしくね。」

プツンと音がなり通話が終わる。恋というのは本当に難しい。

「はあ、アタシ含むてバカなやつしかいないな。」

アタシは何もないただ静かな空間にぼやくことしか出来なかった。

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