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はなかご  作者: 和音
別れの季節
73/105

やりたいこと

「絶対にお化け屋敷がいいわ。」

「いや、絶対にメイド喫茶がいいぜ。」

「なんでよ、メイドなんて絶対に恥ずかしいだけよ。」

「お化け屋敷だって準備大変なだけじゃん。」

「えっととりあえず二人とも落ち着いて。ゆっくり話し合おうよ。」

「そ、そうだよ。お互いの意見をまとめなきゃ。」

私達は文化祭の出し物で争っており、意見が二つに分かれていた。そのせいでクラスは混沌を極めている。

どうしてこうなった?


   


「やっぱり文化祭といえばお化け屋敷よね。」

私達はいつものように柳さん達と集まってお話をしていた。しかし今日もひまりはおらず四人だった。それと昨日から柳さんがずっとくっついてる気がする。

「綾乃は文化祭が楽しみなんやな。」

「そりゃあそうでしょ。だって年に一回の行事よ。貴方達は興味とかないの?」

綾乃はいつもより高いテンションで話していた。結構前から文化祭について調べていたし、よほど楽しみなんだろうな。

「私は楽しみだよ?日野さんと一緒に回りたいし。」

「もう、柳さんったら咲のこと好きすぎじゃない?」

「そ、そんなことないよ。日野さんは私と回るの嫌?」

「ううん、私も柳さんと一緒に回りたいな。」

「ふふっ、それならよかった。本番が楽しみだね。」

柳さんは顔を赤らめて私をじっと見る。中学の頃も文化祭はあったがそこまで大きなものではなかった。だからみんなで文化祭を巡るのは私の憧れでもある。それとここの文化祭は他校も来ていいからなのは達も呼ぶつもりだ。

「やっぱり咲は天然たらしよな。」

「本当よ、蜜柑もひまりも柳さんも惚れさせてるのに気づいてないんだから。」

何やら二人でこそこそしてるが内容は聞き取れなかった。それと私はもう一つ気になることがある。

「そう言えばひまりは文化祭に来るのかな?」

仕事が忙してくて準備に参加できなかったとしても本番くらいは来てほしかった。

「そうね、忙しいみたいだけど流石に文化祭くらいは来ると思うわよ。」

「そうだよね、きっと来てくれるよね。」

あれからラインも返ってこないし寮でも会うことがないから少し不安だ。どこかでひまりとお話がしたい。

「日野さん、南雲さんが気楽に楽しめるように私達が文化祭を盛り上げようよ。」

「そうやで、柳ちゃんの言う通りみんなで頑張らんとな。」

二人の言う通りかもしれない。今はひまりのことよりも文化祭に集中しよう。

「ああ、そういえば文化祭の後、各クラスの出し物があったわね。」

「え、そんなのあるの?」

私と柳さんは同時に口を開く。そんなこと聞いてなかった。

「はあ、二人とも知らないわけ?文化祭の後の出し物を楽しみにしている人もいるのよ?私もそのために色々考えてたんだから。」

「出し物って何をするの?」

「そうね、ダンスやクイズなどのエンタメもあるけど一番メジャーなのはやはり演劇ね。白雪姫などの童話からオリジナルの話まで色々あるわ。」

綾乃は楽しそうに演劇について語っていた。綾乃も出し物を楽しみにしていたんだね。

「文化祭は楽しみやな。それと文化祭といえばもう一個あるやろ?」

「ん、何かあったかしら?」

私達が何か分からずにいると涼くんはニヤニヤと笑っていた。

「やっぱり文化祭の後の告白ラッシュも忘れたらあかんで。文化祭の後の告白はメジャーやろ?」

確かに漫画とかでも文化祭の後の告白は鉄板だ。現実でも見たことはないけど。それとさっきからちらちらと柳さんがこちらを見ているがどうしたのだろうか?

「あー、そんなものもあったわね。でも私には関係ないわね。」

「そうだね。私も関係ないかも。」

「いやいや、そんなことないで。咲ちゃんと柳ちゃんはかなりモテるからな。これを気に告白してくる奴は多いと思うで。」

「ええ、それと少なくとも一人は。」

綾乃はそう言って柳さんの方をチラッと見る。

「本田さん、少なくとも一人は何って?」

「ご、ごめんってば冗談よ。」

綾乃は何か言いたげだったが柳さんの圧で黙ってしまった。一体何を言おうとしてたのか。

「それにしても楽しみだね日野さん。」

「うん、楽しい文化祭にしようね。」

私達が文化祭について盛り上がっているとドアから霞先生がやってくる。今日はチャイムが鳴る前に来ており珍しい。それと少し疲れてるようにも見える。

「皆さん早く席に着いてください。それでは今から文化祭の出し物を決めていきますよ。それじゃあ代表として日野さんが取り締まってください。」

チャイムがなると同時に教室がざわつき始める。これから文化祭が始まると言うことで楽しみではあったがなぜ先生はいつも私に厄介ごとを押し付けるのだろうか。私は仕方なく黒板の前に立ち、みんなの意見のまとめ役をすることにする。

「分かりました。それでは皆さんやりたい出し物はありますか?いろんな案が出た後に多数決で決めます。」

「私はお化け屋敷がいいと思うわ。」

早速綾乃が候補を上げた。それから順にどんどん候補が上がる。

「俺たこ焼き屋さんしたい。」

「射的とか良くね?」

「やっぱ文化祭といえばメイド喫茶っしょ。」

やはりいろんな意見が飛び交いとてもまとまりそうにはなかった。私は一つずつ案を黒板に書いていく。

やはり文化祭ということもありたくさんの案が出る。まあ年に一度のお祭りだから楽しまないとだしね。お化け屋敷とメイド喫茶が若干多い。

「ねえ、浅野さんは何がいいと思う?」

「うーん、メイド喫茶とかいいんじゃないかな?」

蜜柑はクラスメイトの一人に聞かれて悩みながらも答える。蜜柑も大変そうだな。

「ほらー、やっぱりメイド喫茶が一番だよ。お客さんだって喜ぶだろうし。」

「ねえ咲、咲はもちろんお化け屋敷よね。」

綾乃がすごい眼圧でこちらを見てくる。私は圧により首を縦に振る。私はメイドは恥ずかしいからお化け屋敷派だ。

「ほら、やっぱりお化け屋敷の方がいいと思うわ。」

「はあ?お化け屋敷なんてつまらないだけじゃねえか。」

そしてなぜか綾乃とクラスの男子は喧嘩を始める。

周りは盛り上がっておりもうめちゃくちゃだ。まあ、私は関係ないからまだマシだけど。

「やっぱりメイド喫茶だよな。代表の浅野さん?」

「うちの代表の咲がお化け屋敷って言ってるけど?」

「えっ?」

私と蜜柑は揃えて口を開くのだった。









そして今に戻る。何故か気づいた時には私と蜜柑がそれぞれの代表になっておりメイド喫茶とお化け屋敷派でずっと戦いが続いてる。その上私と蜜柑が何を言っても無視される地獄の空間になっていた。

私は横の柳さんに助けを求めるが見て見ぬふりをされる。綾乃は熱が入っており、涼くんは同情の目で私を見ていた。誰か助けてはくれないのだろうか。こういう時にひまりがいれば。

「とりあえずお互いに話し合った方がいいと思うよ。」

「日野さんの言う通りだよ。このままじゃ埒があかないもん。」

何故か私だけではなく蜜柑までまとめ役側におり、二人でなんとかこの状況を止めようとする。

「だって俺柳さんや日野さんのメイド姿見たいもん。お前らだって見たいよな。」

「ああ、美少女のメイドは眼福だからな。」

男子がそう言うと他の男子も共鳴するかのように騒ぎ出す。いや、やっぱりメイドは恥ずかしいしやりたくはない。

メイド喫茶派の蜜柑も男子達をゴミを見るような目で見ていた。

「だからメイドは嫌なのよ。もっと誰でも楽しめるお化け屋敷にするべきよ。」

「そうよ、メイドなんて恥ずかしいだけだわ。」

「いいだろ文化祭くらい欲望出しても。

ああ、もう私達のクラスは終わりだ。

私はみんなが争っている間に蜜柑とこっそり話す。

「ねえ、そもそも何でメイド喫茶って言ったの?」

「まさかこうなるとは思わないじゃん。それに咲のメイド姿見たかったもん。」

「じゃあ蜜柑と二人きりの時にメイド服になってあげるから今からお化け屋敷派になってよ。」

私はなんとか穏便に済ませる方法を考える。いや、もう穏便ではないけど。

「それは無理だよ。今この状況じゃもうどうにもならないよ。時間が経つのを待つしか。」

誰も止めようとはしてくれないし、クラスはうるさいしで私はため息をつくしかない。先生も呆れた目で見ているし。そして気づけばもう時間が過ぎていた。

「ねえ、一旦辞めにしない?」

騒いでる中城戸さんの一言で突然しんとなる。まさか城戸さんが助けてくれるなんて。

「みんなの気持ちはわかるけどこのままやっても無駄じゃない?どうせ明日から連休なんだからそこで考えなよ。」

「いい考えですね。みなさん一度頭を冷やすのがいいと思いますので今日は一旦終わりましょう。」

先生の合図とともに一度話し合いは幕を閉じた。城戸さんがいないと私は終わっていた。ありがとう城戸さん。

「それじゃあ次は文化祭の出し物を決めますよ。」

そういえば出し物もあるのを忘れていた。というかもうこれ以上は限界だ。









「それで誰か主役のシンデレラ役と王子様役になりたい人はいませんか?」

さっきとは違い割とあっさりと演劇のシンデレラをやることに決まった。無難だけど争わずに決まったことに安堵する。

しかし問題は別にあり、誰も王子役とシンデレラ役をやろうとはしなかった。誰だってみんなの前で演技するのは緊張するもんね。まあ、私も絶対にやる気はないけど。

先ほどとは真逆に誰も喋らずに無言の空間が続いていた。こういう時ひまりがいたらいいんだけどな。ひまりはシンデレラ役とか似合いそうだし。

「はあ、それならこの連休が明けてから決めますか。次決めるときは皆さん争わないようにしてくださいね。」

疲れていた霞先生の挨拶とともに今日の話し合いは一旦終わりを迎えた。私もすごい疲れた。

「もう、綾乃ったらどうしてあんなこと言ったの?そのせいで私が代表みたいになっちゃったじゃん!」

今日の学校が終わり、帰る時間になると私はすぐに綾乃に文句を言う。綾乃のせいで巻き込まれたから当然だ。

「ごめんってば少し熱くなっちゃって。」

「いやー、見てる分にはおもろかったわ。」

「日野さん可哀想だね。」

「もう、二人も何で助けてくれなかったの?私一人じゃキツイよ。」

安全圏にいた二人に私は文句しか出ない。助けてくれればもっと簡単に済んだかもなのに。

「だって怖いから。それに日野さんなら大丈夫だと思って。」

「せやで、咲ちゃんは強いからな。」

二人ともただめんどくさかっただけでしょ。私は呆れた目で二人を見つめる。

「まあ、一旦この話はいいじゃない。それよりみんなは演劇出るの?」

綾乃の質問に私達三人とも首を横に振った。でしょうね。だってみんな劇に出るような性格じゃないし。

まあ、何はともあれこれで今日の学校は終わりだ。今日は疲れたし明日は空ちゃんとの約束もあるから早く帰ろう。

「それじゃあまたね。」

「うん、じゃあね日野さん。」

私はみんなと別れて寮へと向かう。どうか明日は何も起きませんように。

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