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はなかご  作者: 和音
別れの季節
72/105

新学期

「蜜柑、早く起きて。今日から新学期だよ。」

「うーん、まだ学校行きたくないよ。まだ私の中では夏休みなの。」

私はいつも通り蜜柑を起こすのに苦戦していた。確かに夏休み明けで学校に行きたくない気持ちもわかるがこのままじゃ蜜柑がダメ人間になってしまう気がした。

私は蜜柑の布団をバッと剥いで窓を全開にする。外の風が入ってきてとても涼しい。私は秋の風を感じつつ朝ごはんの準備をする。

今日から新学期ということもあり私は楽しみで仕方なかった。秋は遠足や文化祭など様々なイベントがある。だから私は柳さんや綾乃と一緒に文化祭で何するか話してワイワイしていた。

「それなのになんで蜜柑はやる気ないの?文化祭とか楽しみでしょ?」

やっと起きて来たと思えば明らかにテンションが低そうだった。

「そりゃあそうだよ。もっと咲と一緒にいたかったもん。」

今でもまだ学校では蜜柑とは話してないしそれが嫌なのかもしれない。確かに私も蜜柑と学校で話せないのは少し寂しいかもしれない。

「それじゃあ学校で話すようにする?」

私は蜜柑に提案してみるが蜜柑は少しの沈黙の後首を横に振った。 

「それはダメだよ。咲をクラスのみんなに近づけたくないし。それと私は咲と二人きりがいいの!」

蜜柑ってば本当に面倒くさい。

「でもみんなで学園祭とかやるの楽しそうじゃない?蜜柑はやりたくないの?」

「そりゃあやりたいけど私は咲と。あー、もう分かったよ。それなら今のうちに咲に抱きついておくね。」

私が食事の準備をしているのに蜜柑はお構いなしに後ろから抱きついてくる。やっぱり蜜柑は新学期になっても変わらない。

「もう、後で抱きついてよ。それよりご飯できたから食べるよ。」

私はいつものようにテレビをつけて朝ごはんを食べる。ニュースでは秋の特集をやっており夏が終わったんだなとしみじみする。まあ、まだ外は暑いままだけど。

「咲のご飯はやっぱり美味しいよ。」

「そういえば蜜柑はちゃんと夏休みの宿題やった?」

私の質問に蜜柑が答えることはなかった。ああ、これやってないやつだ。確かに蜜柑が宿題をやってるところなんて見たことなかったけど。

「ねえ、ちゃんと宿題やらないと先生に怒られるよ?言ってくれたら私だって手伝ったのに。」

「だって宿題なんて量が多くて面倒くさいもん。それに半分はやったもん。」

「いや、それダメだよ?それに私宿題やらない人は好きじゃないかな。」

「わー、ごめんってば。やるよ、やるから怒らないで。」

蜜柑はわざとらしく私に抱きつく。。夏休み中蜜柑と一緒に宿題をやるべきだった。

「はいはい、それならいいけど。」

多分ひまりや柳さんはちゃんと宿題やってると思う。蜜柑ももう少し真面目になってくれたらいいのに。

「ねえ、ニュースにひまりが出てるよ。」

蜜柑の言う通りテレビにはひまりの姿があり、そのニュースの内容に目を見開いた。その内容はひまりな出演していたドラマがもうすぐ完結するというものだった。それを見て私は全てを思い出したのだ。

「蜜柑、これってもしかして。」

「もうこんな時期なんだね。思ったより早かったね。」

そう、元々ひまりが転校して来たのはこの地域でドラマを撮影するからであり、そのドラマが完結したとなればひまりはここにいる意味はなくなる。そう思うと胸が苦しくなる。いつかこうなることは分かっていたがいざその日が来ると寂しい。というか蜜柑はあまり気にしてなさそうだけど寂しくはないのだろうか。

「それじゃあひまりはまた転校しちゃうってこと?」

「そうなんじゃない?ひまりって忙しいし。」

私はもっとひまりと一緒にいたい。この気持ちは我儘だろうか?

「咲、悲しむ気持ちは分かるけどもう学校に行く時間だよ。それにそんなに心配なら本人に聞いてみたら?」

確かに蜜柑の言う通り本人に聞くのがいい気がした。なんだか夏祭りの後からひまりとは話せてなかったし色々とモヤモヤすることがあった。だからそれも含めて本人に聞いてみようと思う。このまま話せないままお別れするのが一番嫌だから。

とりあえず私は制服に着替えて学校の準備をすることにした。まだ色々な不安が残る中それでも私は新学期が楽しみで仕方なかった。

  







私が教室に来ると柳さんはすでに来ておりなんだかソワソワしている様子だった。

「おはよう柳さん。なんだか久しぶりだね。」

「久しぶりだね日野さん。私日野さんに会えなくて寂しかったんだよ?」

日野さんはじっとした目で私を見つめる。相変わらず柳さんは可愛らしい。

「ごめん。夏休み後半は色々あったから。でもこれからは毎日会えるよ。」

夏休み後半は実家の帰省とかで柳さんに会うことがなかった。そのせいか少し怒ってるようにも感じる。

「うん、だから私学校が始まるのを楽しみにしてたんだ。」

ふわっと笑う品格はお嬢様そのものだ。私も柳さん達に会えて嬉しい。

「もう、二人だけの空間に入らないでよ。私達もいるからね。」

「せやで、新学期もよろしく頼むで。」

こうやってみんなで揃ってワイワイするのも久しぶりに感じる。だけどいつもいるひまりが今日はいなかった。

「あれ、ひまりはまだ来てないの?」

「ほんまやな、ひまりちゃんはいつも来るの早いのになあ。もしかしたら今は忙しくて学校にも来れへんのかもな。」

「そっか、もっとお話ししたかったんだけどしょうがないか。」

「そうね、寂しいけど今は応援しましょう。」

二人の言う通りだ。今は友達として応援しよう。仕事が終わってからゆっくり話せばいいのだから。

「皆さん時間になりましたよ。早く席についてください。」

チャイムがなると同時に霞先生が教室に入ってくる。

相変わらずこの教室はうるさくてなんだかそれも懐かしく感じる。

「皆さん、夏休みが明けたばかりということでおそらくやる気がないと思いますが気を引き締めてください。もうすぐ文化祭もありますからね。」

「そうじゃん、文化祭何する?」

「やっぱりメイド喫茶っしょ。」

みんな文化祭のことになると急に盛り上がり始める。

私はお化け屋敷とかしてみたいかな。

「ああ、それともう一つお知らせです。この度ひまりさんが仕事が忙しいということで学校を休むことになりました。どうかご理解の程を。」

「えっ、もしかして南雲さん転校しちゃうの?」

「マジかよ、俺もっと南雲さんと話しておくべきだった。」

みんながざわつく中、私は不安で仕方がない。後でラインでも送ってみようかな。

「それでは連絡は以上です。では新学期も頑張ってくださいね。」

霞先生の話が終わると再びうるさい教室に戻る。蜜柑は他の人と話してるしひまりはいないしでやっぱり寂しい。

「日野さん大丈夫?」

「ごめん、どうしたの?」

私が考え方をしていると横には柳さんの姿があった。一才気づかなかった。

「もう、さっきからずっと上の空だよ?何かあったの?」

「いや、大丈夫だよ。それでどうしたの?」

「今度二人で美術館に行かないかなって。」

柳さんはもじもじと顔を赤くして私を見つめる。柳さんとは二人で話したいと思っていたしちょうどいい。

「いいねそれ。私も行きたいよ。」

芸術の秋だし美術館に行くのは楽しみだ。

「本当?なら良かった。」

柳さんは笑顔で微笑むとそのまま自分の席へと戻っていく。私も次の準備をして考え事をする。



私は柳さんと遊ぶ約束をして後は授業を午前だけ受けたっけ。今日は考え事ばかりで何も頭に入ってこなかった。そして気づけばもうホームルームだ。やっぱりひまりがいないとなんか違うなと感じてしまう。

「それでは明日は文化祭のお店決めと演劇の役決めがあるので明日まで考えてくるように。それでは以上。」

霞先生の話が終わるとすぐにみんなが教室から出ていく。私も今日はあまり気分が良くないから早く帰ることにした。








「うへー、やっぱりクラスメイトの相手は疲れるよ。咲ぎゅってして。」

寮に戻ると蜜柑が待ち構えており、いきなり抱きつかれる。まあ、今の私にはちょうどいい。私も優しく蜜柑に抱きついた。

「ふふっ、咲から抱きついてくれるなんて珍しいね。どうしたの?」

「うーん、ただの気まぐれだよ。」

「そっか、困ったことがあればなんでも言ってよ。」

蜜柑はそう言ってくれるがこれは私で解決したい。私はそう思って少し前からラインを送ったのだが返事は来ていなかった。やっぱり忙しいのかな?

「咲はなんでも溜め込む癖があるからねー。ってスマホ震えてるよ?」

何やら着信があり私は急いで電話に出るがそこに出たのはひまりではなく空ちゃんだった。

「やあ、咲はこの夏休み元気だった?」

「うん、空ちゃんこそ忙しいんじゃないの?」

仕事で忙しいだろうにわざわざ電話をかけてきてどうしたのだろうか?

「忙しいと言ってもこれくらいの時間は取れるさ。それで相談と言うかお願いと言うか明後日遊べないかい?」

「明後日?別にいいけどどうしたの?」

突然の遊びの誘いに私は困惑する。ひまりが学校を休むほど忙しいだろうに空は休みを取れるのだろうか?

「少し二人きりで話したいと思ってね。お願いできるかい?」

「うん。私も空ちゃんと遊びたかったから。」

「そうか、それじゃあ細かな予定はまた後で話すからまた明後日な。」

空はそれだけ言って電話を切った。蜜柑からの許可が出るかわからないがとりあえず私は明後日が楽しみで仕方がなかった。

とりあえず今日は疲れたし明日に向けて早めに眠るのだった。


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