椿
私を助けてくれた女の子はまさかの蜜柑との知り合いだった。
「やあ蜜柑久しぶり。あとあんたは蜜柑の友達だったんだ。」
「久しぶり椿!まさか椿が咲を助けてくれてたなんて。」
「そうだよ。この子が困ってたから。」
椿さんはそう言ってニコっと笑う。
「すみません。先ほど助けていただきありがとうございます。私は日野咲と申します。」
「いーよいーよそんな堅苦しくしないで。同い年なんだしタメでいいよ。あたしは花園椿。椿でいいよ。これからよろしく咲。」
「うん!よろしく椿。」
「それにしても咲を助けた子が椿だったなんて世界は小さいなあ。」
「いや本当にね。私もゲームセンターで二人を見つけた時はびっくりしたよ。」
「にしてもまさかここで再会するとは思わなかったよ。てっきり次会う時は学校だと思ってたからさ。」
そんな会話をして一つ疑問に思ったことがある。
「そういえばニ人はどう言う関係なの?」
それに答えたのは椿だった。
「普通に小中一緒だっただけ。いわゆる幼馴染ってやつ。それでまさかの高校まで一緒なんだ、何気にすごいよね。」
「えっ。もしかして椿も花坂学院?」
「うん。まああたしは寮じゃなくて家から通うけどね。」
椿も花坂学院だとは。本当に世界は小さいなあ。
そうやって三人で会話を弾ませてるといつの間にかすごい時間がたっていた。
ゲーセンはうるさいからと適当なカフェに入ったけどそこから一時間近く経っていた。
「それにしてもあたしたち気が合うね。学校で話せるのが待ち遠しいよ。」
「そうだよ!これからは椿と咲と私の三人で学園を過ごせるんだよ!絶対楽しいよ。あー全員同じクラスにならないかなー。」
「蜜柑うるさいはしゃぎすぎ。」
椿は呆れたように言った。
「それとここはうるさいし、もう暗くなるし、また三人で会わない?その時いっぱい話そうよ。」
「いいねそれ!ナイス椿。それなら学校が始まるまでの間でみんな予定が空いてるとこで会おうね。」
「そう言うことなら。咲これあげる。」
そう言って一枚の紙を渡された。
「何これ?」
「それはあたしの電話番号。これでLINE入れといて。それでいっぱいお話しよ。」
「うん!ありがとう椿。今日は本当ありがとう。また遊ぼうね。」
「うん楽しみにしてる。」
そう言うと椿はぶっきらぼうに手を振りながら帰っていった。
とても優しい人だったな。またいっぱい話して仲良くなりたいな。
「咲、私達も帰ろうよ。」
蜜柑は少し先のとこで大声で叫んだ。
「わかったから。あんまり大声で叫ばないで!」
そうやってドタバタしながら今日も1日が終わるのだった。
今私はお風呂に入って今日の疲れを取っている。
「咲、背中洗うよ。」
「うん。ありがとう。」
今日を振り返ると楽しい一日だった。蜜柑とたくさん遊べたし、怖いこともあったけど、椿が助けてくれたし、そのおかげで椿と仲良くなれたし。これからの学園生活が楽しみで仕方なかった。
「それにしても今日は楽しかったねー。」
「うん。これからも楽しみだよ。」
「そういえば咲。明日は何の日か知ってる?」
「ん?明日何かあったっけ?」
「もう!忘れたの?咲はちょっと抜けてるよね。明日は寮のみんなと会って自己紹介する日だよ。」
私ってやっぱり抜けてるのかな?よく言われる気がする。
「なるほど。そういえば言われた気がする。」
「そうだよ。だから明日はいろんな人と仲良くなれるチャンスだよ?私はとっても楽しみなんだ!」
「それは楽しみかも。それなら今日は早めに寝ようかな。」
「うん。そうだね!」
そうして今日の長い一日は終わりを迎えた。そして、明日はまた新たな出会いがあるのだった。私はそれに想いを膨らませ、ぐっすりと深い眠りにつくのだった。