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はなかご  作者: 和音
第二章 みんなと一緒なら
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帰省

「えへへ、咲の実家に行けるなんて楽しみだなー。」

蜜柑はそう言ってウッキウキで支度をしていた。というのも私達は今から電車に乗って私の実家に帰省するところだ。

なので私達は朝早くから帰省の準備をしていた。ご飯を食べて、旅先に必要なものを鞄に詰めていた。

私は気分転換に一度窓を開ける。外はまだ暗く、寮のみんなはまだ寝ている時間だった。しかし、この街から私の実家まで割と時間がかかるから朝早く出るしかなかった。

「それにしても私も一緒に帰省していいって言われた時は安心したよー。もし、私一人だったら死んじゃってたかも。」

「そんなので死んだりはしないと思うけど私も蜜柑と一緒に帰れるのは嬉しいかな。」

この前、蜜柑と一緒に帰省していいか恐る恐る聞いたところ以外にもあっさりと認めてくれてびっくりした。てっきりもっとぐちぐち言われるものだと思っていた。お父さんはともかくお母さんがいいよって言ってくれた時は少しびっくりしたものだ。

「ねえ、咲もぼーっとしてないで早く出発の準備するよ。」

蜜柑はそう言って私の体を揺する。今日の蜜柑はいつも以上に外見に気合いが入っており近づかれるとドキッとしてしまう。

「う、うん。後ちょっとで終わるから待ってね。」

私は必要なものを鞄に詰め込んで今度は着替えに取り掛かる。

まあ、何はともあれ一緒に帰れるのだ。実家に帰ったら思いっきり遊びたいな。昔の同級生に会ったり、蜜柑といろんなところ回ったり考えるだけで楽しみで仕方ない。

「それにしても、荷物多すぎじゃない?それに服装もいつもよりきっちりしてるし。」

蜜柑の荷物を見ると明らかに大きくて絶対に必要なないものまで入っていた。これじゃあただ重たくて邪魔になるだけだ。

「いやあ、だって咲と色々やりたい事あるし、咲の親に会うんだからちゃんとした格好じゃないと。」

そんなに礼儀正しくしなくてもうちの親は怒ったりはしないと思うけど。

「まあ、いいじゃん。それより出発の時間も近いんだしご飯わ早く食べようよ。」

私は少し緊張しつつも実家に帰るのが楽しみで仕方なかった。私は楽しい帰省になるように祈るのだった。

「それじゃあ出発だー。」

蜜柑は大声でそう言って部屋を出る。外はちょうど日が出たくらいでまだ大分早い時間帯だ。 

「そうだね。それじゃあ駅に行って早く電車に乗ろっか。」

まだ出発まで時間があるからゆっくり行っても問題はなさそうだ。

「おやおや、二人ともこんな早い時間にどうしたんですか?」

私達が学校の外に出ようとするとそこには霞先生がいた。先生こそこんな早い時間にどうしたのだろうか?

「おはようございます。今から咲の実家に帰るんです。」

「そうでしたか。二人で帰省するとは仲が良くていいですね。」

霞先生はいつものようににこやかな表情でいた。この先生はいつも笑っているな。

「先生こそこんな時間にどうしたんですか?」

「夏休みは色々とやらないといけないことが多くてねえ。花の水やりや校内の見回りやで忙しいんですよ。」

「そうなんですね。それじゃあ私達は急いでるんで。」

蜜柑はそう言って私の手を掴むとそのまま校門の方へ向かう。前から思っていたけど、蜜柑って若干霞先生のことを嫌っているような気がする。何かあるのだろうか?

「ええ、それでは起きをつけて。」

霞先生はそう言って手を振った後どこかに行ってしまった。

「さあ、気を取り直して駅へ向かおう。そして電車に乗って咲の実家にゴー!」

テンションの高い蜜柑と共に私は駅へと向かった。






 



ガタンコドンと電車が揺れ、私達は実家へと向かう。

「うわー、すごい綺麗な景色だね。」

最初はビルだらけの都会から徐々に山が広がっていき今は完全に自然だらけの景色になっていた。少しずつ見慣れた景色になっていき懐かしくなる。

「綺麗だけど何もなくてつまらないところだよ。」

「でも私は都会よりも田舎の方が好きだよ。都会は居心地悪いし。」

田舎生まれの私からしたら田舎は何もなくてつまらないし、都会の方が絶対良い。これが隣の芝生は青いってやつか。とはいえ久々に見ると確かに綺麗でいいところかも知れない。

「それにしても人がいなくて静かだしなんだか旅って感じがするね。」

朝早い上にそもそもこんな田舎に来る人なんてあまり居ないからか、電車には私達以外ほとんど乗ってなかった。

「まあ、こんなところに来る人なんてほとんどいないと思うよ。」

それにしてもこんな長時間電車に乗るのも久しぶりだ。こうやって景色を見ながらワクワクするのはやっぱり楽しくていい。

「そうだ!到着まで時間があるし、帰ったら何するか考えとこうよ。」

「そうだね。まずは蜜柑に私の町を紹介したいかな。おすすめスポットをいくつか紹介したいし。」

「そうだね。咲と二人で回るのは楽しみで仕方ないよ。私、田舎に行くのは初めてだから本当に楽しみなんだ。」

蜜柑はとてもワクワクしてるが田舎の余りの不便さに驚くんじゃないだろうか。コンビニは24時間やってないし割と歩かないとスーパーとかないし都会でしか過ごしたことない蜜柑にとってはかなり不便な感じるだろう。 

「まあ、私がいろいろ案内するから楽し見にしててよ。」

「うん。今日からずっと楽しみで仕方ないよー。」

「後は私の中学校に言ってみたりするのはどうかな?」

「いいね、それ。中学時代の咲の話とかいっぱい聞きたいもん。」

蜜柑はそう言ってとっても楽しそうにする。そういえばお母さんって結構おしゃべりな性格だし蜜柑に色々言いそうで怖い。私がなんとかしないといけない。

「いやー、それにしても本当に楽しみだよ。咲と一緒帰れて。」

「もし、親が蜜柑を連れて来ちゃダメって言ってたらどうしてたの?」

今回親が許してくれたから良かったけど全然ダメって言われる可能性もあった。

「うーん、もしかしたら無理やりにでもついて来てた可能性はあるかな。だって私、咲がいない生活なんて考えれないもん。」

「もう、またそんなこと言って。いつか、私と離れる日は来るでしょ。」

私だって考えたくはないが、いつかは蜜柑と離れ離れになる日がくる。そうしたら蜜柑はどうするのかだろうか。

「そうかもね。でも今はそんなこと考えたくはないかな。」

蜜柑は私の手を繋いで頭を私の肩の上に乗せる。私だって蜜柑と離れたくはない。だけどいつか離れる日が来る。そう思うと悲しい気持ちになってしまう。だから私はそれまで蜜柑と一緒にいて今を楽しむのだ。

それからも私は蜜柑とお話をしたり、少し眠ったりしていた。すると思ったより早く、目的地の私の故郷へとついた。

私達は手を繋いだまま電車を降りるとそのまま私の家に向かうのだった。









「おおー、ここが咲の故郷かー。自然豊かでいい所だね。」

蜜柑はそう言ってはしゃいでいた。まあ、確かに久々に見ると自然豊かでいい所ではあるかもしれない。

大きな建物とかはないけど空気が美味しくて久しぶりに来ると確かに心地よかった。

「じゃあ、早速私の実家に帰るよ。まあ、少し歩くことになるけど。」

「咲とならいくらでも歩けるよー。ほら、早く行こっ。」

「もう、くっつきすぎると動きづらいよ。」

蜜柑はそう言って私に抱きつくとそのまま実家へと向かうのだった。

「うわあ、なんか懐かしい気分だなあ。小さい頃は良くここら辺にいたっけ。」

「へー、咲はここらへんで遊んでたんだね。」

「うん。私は小さい頃は体が弱かったからそんなに動いてなかったけどみんなは川で遊んだり、虫をとったりして活発だったかな。」

せっかく帰って来たんだし、またみんなと会いたいものだ。 

「私も小さい頃は椿と遊んでたりしてたけどここまでアクティブではなかったかなー。なんなら今から川で泳ぐ。」

「いや、それはいいかな。びしょびしょになっちゃうし。」

蜜柑は本当に元気だよね。私は電車に乗って疲れたし家に帰って早く休みたいよ。」

「そういえば咲の両親はどんな人なの?ちゃんと聞いたことないなって思って。」

「二人とも基本的には優しいよ。お母さんはガミガミ言ってきたりするけど、基本私のことを思ってくれてるからだし、お父さんは私の意見を尊重してくれる。」

二人とも優しくて私は親のことが大好きだった。お母さんとは良く喧嘩するけどもそれでもお母さんのことは大切に思っている。

「そっか、それなら安心したよ。もしかしたら本当は私が来たことに怒ってるんじゃないかと思って。」 

蜜柑はついてきたことに少し後悔してるような悲しい顔をする。

「大丈夫だよ。特にお父さんは楽しみにしてるって言ってたから。」

私は蜜柑の手を掴んで前へと進む。蜜柑は優しくて可愛いから二人とも蜜柑のことを気にいると思う。

「えへへ、ならいいんだけどさ。まあ、不安なことも咲となら大丈夫だよね。」

そうだ。二人ならきっとどんなことも大丈夫だ。私は蜜柑と共に前へと進むのだった。



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