プライベートビーチ
「うわー、とっても広いよここー。」
「えへへ、そうかな。みんな楽しんでいってよ。」
私達は今、柳さんのプライベートビーチに来ていた。とても広くてとても静かな素晴らしいビーチだ。それにしてもプライベートビーチまであるとは、さすがお金持ちだ。
「咲ー、今日はいっぱい泳ごうよ。」
「うん。あたしもいっぱい泳ぐぞー。」
ビーチについてすぐに二人は水着に着替えるとそのまま泳ぐき満々だった。
「私は一回休みたいなー。来たばっかりだし。」
「いやいや、せっかく来たんだし早く泳ごうよ。」
ちょっと待ってまだ準備が。
二人はそう言って私を引っ張るとそのまま海の中へ入った。
「ぷはあ、凄い気持ちいね。ずっとここにいたいや。」
確かに海の中はとても涼しくてとても気持ちよかった。
「そうだね。今日はいっぱい遊ぶよー。」
私達はみんなで泳いだり水を掛け合いっこしたりして遊んでいた。
また、外では涼くんが砂のお城を作って楽しんでおり、綾乃と柳さんはパラソルの中で休んでいた。
それぞれが夏を楽しんでおりとても楽しい一日になりそうだ。
「それにしても咲の水着可愛いよね。本当最高だよ!」
蜜柑はそう言いながら私に水をかける。
「う、うん。咲ちゃんの水着とっても似合ってると思うよ。」
ひまりはそう言いながらも私とあまり目を合わせてくれなかった。というかひまりが私にキスしてから何となく気まずい雰囲気になってしまっていた。
私はこの雰囲気を何とかしたくてしかたなかった。ただひまりになんて言ったらいいかも分からず途方に暮れるしかなかった。
「それにしてもこんな大きいプライベートビーチがあるなんて本当にすごいよね。」
「ええ、そうでしょう。なんせお嬢様の親は警察庁長官と社長とどちらもすごい方ですからね。」
私達が話していると緑さんが話に入ってくる。緑さんはいつも突然来るのでびっくりしてしまう。
「柳さんのお母さんって社長だったんですか?」
私はびっくりして大きな声を上げる。お父さんの職業は知っていたがお母さんもすごい人なのか。
「ええ、ですからお嬢様もその二人の期待に応えようと必死なのです。お嬢様は小さい頃からボディーガードが近くにおり、誰もお嬢様に近づこうとせずに友達もできませんでした。」
確かに私が友達と行った時ものすごく喜んでいたし。私達と一緒にいると柳さんはいつも楽しそうだった。
「ですから、貴方達がお嬢様のそばにいてくださり私は嬉しいのです。いつも帰ってくると皆さんの事を楽しそうに話しており、親も安心していました。なのでどうかこれからもお嬢様と一緒にいてください。」
「はい。私はこれからも柳さんと仲良くしたいです。」
「そうだよ!柳ちゃんは大事な友達だもん。」
私達の言葉に緑さんは軽く微笑んだ。
「それなり安心できます。では引き続きお楽しみを。」
緑さんはそれだけ言うと、またどこかに行ってしまった。多分緑さんも柳さんのことが心配で仕方なかったんだろうな。
「ねえ、日野さん。さっき緑と何話してたの?」
さっきまで浜で休んでいた柳さんが私のところまでやって来ていた。いつのまにか水着に着替えており泳ぐ気満々だった。
「まあ、色々とね。それより一緒に泳がない?」
「うん!一緒に泳ぎたい。」
私は柳さんの手を繋いで海の中へと入った。
「こ、怖いよ日野さん。私泳いだことないから。」
柳さんと海に入るまでは良かったのだが、そういえば柳さんが運動できない事を忘れていた。
「泳げないなら何で入ったの?というかプールの授業とか出てないの?」
蜜柑は呆れたように言う。
「だって日野さんと泳ぎたかったんだもん。」
柳さんは嘆くように言うがひまりが慰めてくれる。
「安心して柳ちゃん!私達が今日中に泳げるようにしてあげるから。」
やっぱりひまりは優しい。
「うん。みんなでやれば怖くないよ。」
「まあ、二人が教えるってのなら私も手伝おうかな。」
「うう。みんなありがとう。私、今とっても嬉しい。」
あれからかなりの時間が経ち、気づけば夕方になっていた。
「はあはあ、今日はとっても楽しかったね。」
柳さんはそう言って海を出る。柳さんが本当に楽しそうでよかった。
あれから私達はずっと柳さんと泳ぐ練習をしていた。最初こそ溺れかけたりして大変だったが最後の方になると一人で泳げるようになり、最後はみんなで泳いで楽しんだ。
やっぱりやってないだけで数時間で覚えるほど要領はいいのだ。
「それでこの後はどうするの?」
「ふふっ、ちょうどお腹も空く頃だしバーベキューを用意しているよ。」
柳さんがそう言うと緑さんと数人の使用人が現れてバーベキューの準備を始める。
「うわー、すごいよ柳さん。美味しそうだなー。」
どの食材も美味しそうで蜜柑もとても楽しそうにしている。
「それでは準備が終わりましたのでお召し上がりください。」
緑さんに言われて私達は食べ始める。
「これはすごいわね。この肉とかとんでもない値段するんじゃ。」
「せやねー。今日はいっぱい食べるでー。」
綾乃と涼も来て全員揃ったので私達はご飯を食べることにした。
「うわー、このお肉美味しいね。咲、あーん。」
「蜜柑にそう言われて私はお肉を食べる。
「うわ、これはすごく美味しい!」
今まで食べたことないレベルの美味しさで私は驚愕する。柳さんはこれを毎日食べてるのかな?
「むー、私も日野さんに食べさせたいな。」
「あたしも咲ちゃんに食べさせるー。」
そう言って二人とも私にお肉を食べさせようとする。私は動物とでも思われてるのだろうか。
「それにしてもこんな綺麗な場所にいつでも行けるなんて羨ましいわね。」
綾乃の言葉に柳さんはそうでもないような顔をする。
「確かに綺麗だけど一人で見てもそこまで楽しくなかった。だけど今こうやって綺麗な景色を見てると心が温かくなるの。」
柳さんが楽しそうで私も嬉しい。
「分かるよ。私も一人は嫌だからね。」
「あたしもあたしも。」
蜜柑やひまりの言葉に柳さんは涙を流した。
「うう、みんなありがとう。私はずっとみんなといたいよ。」
「もちろんよ。いつまでもいてあげるわ。」
「うん。私も柳さんともっと遊びたいから。」
私達はそう言ってお肉を食べながらお話しして笑いあう。この時間がいつまでも続けばいいのにな。
「それにしても柳ちゃんの家って逆に何がないんや?自家用ジェットがあるって言われても別に驚かんで。」
確かに、柳さんの家なら何でもあるような気がした。
「流石にそこまではないよ。一度お母さんが買おうとした時はあったけど。」
「いや、買おうとしたんかい。」
「でも、お金持ちっていい事ばかりじゃないよね多分。」
蜜柑の言葉に柳さんも大きく頷く。
「周りからの目線はすごく怖いし、親からの期待の厚だってすごいし、正直居心地は悪いよ。だから、お金とか身分とか関係なしに優しく接してくれる貴方達が大好きなの。」
「分かるよ。私だって色々あったけど親の期待に応えるのはもううんざりだもん。」
私は蜜柑の昔の事をあまり知らないがもしかして蜜柑もお金持ちだったりするのだろうか?
「あたしも分かるなあ。他の人は私を有名人としか見てなかったりするし。」
確かにみんなといると嫌なことも忘れられる。この場所はとても大切な場所なんだ。
「お嬢様、花火の準備ができましたよ。食事が終わり次第砂浜まで来てください。」
私達が食事を終え、お話しをして盛り上がっていると緑さんがやってくる。
「うん。じゃあ、そろそろ行こっか。」
「えっと、どこに行くの?」
何も聞かされていない私達は揃って頭を傾げる。」
「ふふっ、とても綺麗なものだよ。」
私達が柳さんについていくとそこにはたくさんの花火があった。
「最初は職人さんに花火を作ってもらおうとしたんだけど緑がそれはやめた方がいいって言うから、自分達で火をつける花火にしたんだ。」
うん、私もそれでいいと思う。流石に本格的な花火は祭りで見るくらいがちょうどいい。というか祭りも、もうすぐ開催されるしね。
「うわあ、いっぱいあるよ。早くやろうよー。」
私達はそれぞれ花火を持って火をつける事にした。祭りで見る花火も好きだけど手持ち花火も夏を感じられるから大好きだった。小さい頃はお父さんとよく花火をしたものだ。
「花火ってとってもきれいね。」
私達はキラキラと光る花火を眺める。こうやって友達と一緒にする花火は宝物のように綺麗でずっと忘れたくなかった。
「ねえ、来年もみんなでこうやって遊べるかな。」
私はつい、心の中で思っていた事を口に出してしまった。
「もちろんだよ。来年も再来年も私達はずっと一緒だってば。」
蜜柑はそう言いながら抱きついて、それに続き柳さんやひまりも抱きついてくる。暑苦しかったがとでも楽しくてこの時間が過ぎるのはあっという間だった。
「じゃあ、そろそろ帰ろっか。」
もう外は真っ暗で私達は柳さんの車で帰る事になった。
「寮まで着いたよ。それじゃあ気をつけて。」
「うん、また今度ね。」
私は手を振って柳さんと別れる。
「それじゃあ、ひまりもまた今度ね。」
「う、うん。それじゃあまたねー。」
「今日の二人、少し様子が変だったけどどうかしたの?」
どうやら、蜜柑は私とひまりの様子がおかしいのを気づいてたらしい。さすがよく見てる。
「別に何もないから気にしなくていいよ。」
「そっか。困ったことがあったらちゃんと言ってよ。」
「うん.もちろんだよ。だけど今は大丈夫だからね。」
もっとしつこきな聞かれると思っていたら意外と呆気なくてびっくりする。
私は部屋に入るとシャワーを浴びてベットにダイブする。
それにしても今日はとても楽しかった。だけどまだ夏休みは長い。そう思うとワクワクが止まらなかった。




