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はなかご  作者: 和音
第二章 みんなと一緒なら
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楓先輩のお買い物

「咲ー、パスしてー。」

蜜柑にそう言われて私はボールをパスする。蜜柑はボールを受け取るとそのままゴールへと向かい敵をかわしながらシュートを決めた。

そしてそのまま私達のチームが優勢なまま試合は終わった。結構ギリギリだったけど勝つことができてよかった。

「やったね咲。私達連携できてるし、これなら今度の試合も楽勝だよ。」

練習試合が終わった瞬間蜜柑は私を抱きしめてくる。

「うん。この調子なら勝てそうだね。あと暑いから少し離れて欲しいな。」

「むっ、嫌だよ。私はずっと咲といたいもん。」

「まあ、この調子で明日も頑張ろうぜ。」

私達は今、部活の練習試合を行っていた。というのも近々バスケの試合があり、その大会に私達も出ることになっているのだ。一年生はこれが初の大会となる。なので一年生のみんなはやる気に満ちていた。

「そうだね。でも今日は疲れたし、私は帰ったらゆっくりするよ。」

蜜柑はそう言ってボールを片付けに行った。

「それにしても咲は本当に頑張ってるな。最初の頃なんてみんなの練習に追いつくのが限界だったろ。」

「ううん、麻莉や蜜柑がわかりやすく教えてくれるおかげだよ。」

麻莉は私を褒めてくれるが私がここまで成長したのは二人の教え方が上手いからに他ならない。

「まあ、今日はみんな頑張ったし、俺達も早く片付けして帰ろうぜ。」

私も早く片付けをして早く帰ろう。今日は疲れたし、シャワーを浴びてゆっくりしたい。

「ねえ、咲ちゃん。この後暇だったりしない?」

私が片付けを終えて帰ろうとしていると、楓先輩が話しかけて来た。楓先輩はいつものようににこやかな笑顔を見せる。

「特に予定とかはありませんけどどうされたんですか?」

「それがこの後買い物に行くんだけど一人じゃ大変だから手伝ってくれないかなって。」

楓先輩は困ったような表情で私を見つめる。特に予定もなかったし楓先輩を手伝うことにする。

「いいですよ。私に任せてください。」

「ありがとう咲ちゃん!やっぱり持つべきは可愛い後輩だね。それじゃあ早速行こっか。」

「ちょっ、先輩?」

楓先輩は私の手を握ると走って校門を出る。楓先輩は意外と強引なところあるからなー。

「蜜柑ちゃん、咲ちゃんは借りてくねー。」

「咲、どこに行くの?ちょっと楓先輩!」

楓先輩は蜜柑を無視しそのまま学校を出た。

「よーし、それじゃあ早速買い物に行こっか。」

こうして私は楓先輩と二人で出かけることになったのだ。もう嫌な予感しかしないけど。









「いやー、それにしても今日は特に暑いね。」

確かに今日は晴天だし真昼間ということもあり、いつもとは比にならないほどの暑さだった。それでもいつも暑い中練習しているためある程度の暑さなら平気になっていた。

「そうですね。ところで今からどこに行くんでしょうか?」

私はどこに行くか何も聞かされないことに気づいた私は楓先輩に聞くことにした。

「そうだね。最近みんな部活頑張っているでしょう?だからみんなに差し入れをしたい思って。でも一人じゃ運べないから咲ちゃんに手伝って欲しくて。」

「いいですねそれ。私も頑張ります。」

みんなのことを考えてる楓先輩はやはり優しい。

「それと最近咲ちゃんと話せてなかったでしょう?だから久々にお話ししたいなと思って。」

「はい!私も楓先輩とお話ししたいです。」

「ふふっ、それで咲ちゃん最近何かあった。」

「ふえっ、突然どうしたんですか?」

「最近の咲ちゃんは何か様子がおかしいなと思って。時々部活に集中できてない時あるでしょ。何か相談したいことがあったら先輩が聞いてあげるよ?」

先輩はそう言って私の頭を撫でる。私が悩んでいることに気づくなんてさすが先輩。蜜柑や麻莉には気づかれなかったのに。

「えっと、その実はこの前。」

私はこの前起こった事を全て話すことにした。

「えー、咲ちゃん、ひまりちゃんと蜜柑の二人にキスされたの?」

「ちょっとあまり大きな声で言わないでください。恥ずかしいので。」

私は少し恥ずかしかったが相談に乗ってくれそうな人が先輩くらいしかいないのでしょうがなかった。椿とかに言ったら大変なことになりそうだし。

「なるほどね。それでどうしたらいいか分からないと。青春してるねー。」

「それで、友達だとこういうキスもあるんでしょうか?」

「うーん、どうだろうね。あるとも言えるないとも言えるかも。」

それは結局どっちなんだろうか。でも二人とも冗談でキスしたようには見えなかった。

「そうだね。一度私ともキスしてみる?」

楓先輩の綺麗な顔が近づいて私はドキッとなる。

「冗談はやめてください。これ以上はだめです。」

ただでさえ、困っているのにこれ以上キスされると煩悩まみれになってしまう。

「ひどいなあ、私も咲ちゃんとキスしたかったのに。」

楓先輩はそう言ってヘラヘラと笑っている。楓先輩の言うことは冗談か本気かわからないことがあるから困る。

「それでどうしたらいいとか分かりますか?」

「うーん、咲ちゃんは咲ちゃんだからこのままでいいと思うよ。」

「それってどういう意味ですか?」

楓先輩の言ってることが分からずに私は困惑する。

「まあ、二人とも咲ちゃんのことが大切だと思ってるんだよ。だから咲ちゃんも二人のことを大切に思うといいよ。」

楓先輩の言う通りかもしれない。キスしてくるということは私のことを大事に思ってるのかもしれない。もちろんまだよくわからないことだらけだけど今はこれでいいや。

「ありがとうございます。相談に乗っていただきありがとうございます。」

「全然大丈夫だよ。それより二人にキスされてどうだった?」

そう言われて私はドキッとする。そりゃあほっぺとはいえキスされたことはなかったしドキドキしちゃったけど突然言われると恥ずかしくなってしまった。

「ふふっ、顔を真っ赤にしちゃって可愛いなあ。やっぱりキスしてあげよっか。」

「いいえ。遠慮しておきます!」

私がそう言うと楓先輩は笑っていた。本当に悪魔みたいな先輩だ。










「よーし、着いたよ。それじゃあ買い物しよっか。」

スーパーに着くと楓先輩はカゴを持って、そこに商品を入れていく。楓先輩はたくさんの飲み物とお菓子をカゴに入れて、それを私と先輩の二人でもつ。

「それにしてもこんなに買うんですね。」

先輩はたくさんカゴに入れてるがこの量はかなり重い気がする。

「うん。みんないっぱい食べるからねー。それに暑いから水分補給もしないと。」

「それはそうですけど、お金とか大丈夫なんですか?私も少し出しましょうか?」

私は楓先輩のお金が心配であった。そんなに買ってはお金がなくなるのでは?

「それは心配しなくてもいいよ。私はみんなの笑顔が見れればそれでいいし、バイトだってしてるしね。」

「えっ、楓先輩ってバイトしてるんですか?」

「うん。まあ、バイトと言っても土日と祝日だけではあるけどね。」

学校に通いながらバイトもするなんて楓先輩は凄すぎる。

「何のバイトなんですか?」

先輩が何のバイトをしているか気になってしまう。先輩なら何のバイトをしていても似合うと思うけど。」

「お花屋さんでバイトしているんだー。お花はね、見てるだけでとっても癒されるんだよ。」

お花屋さんで働いている先輩は容易に想像できる。

「いいですね。とても素敵です。」

「えへへ、そうかな。それなら今度私のバイトしてるお花屋さんに来る?とっても綺麗なんだから。」

「はい!絶対行きたいです。」

私は大きく頷いた。楓先輩がバイトしているところは見てみたい。

「まあそういうことだから、咲ちゃんはお金の心配はしなくていいよ。今日は私が全部出すよ。」

「本当に楓先輩は完璧ですね。優しくてかっこよくて。」

「いやいや、褒めすぎだよ。私なんて全然完璧じゃないよ。性格悪いし、出来ないこともいっぱいだし。」

楓先輩は悲しそうに言うが先輩はどう見たって完璧な気がする。優しく勉強ができて運動神経もいい人なんて限られる気がする。

「そんなことないですよ。先輩は完璧です!」

「ふふっ、そう言ってくれて嬉しいよ。咲ちゃんこそとっても優しいね。」

先輩はそう言って微笑むと次の棚へと向かっていった。

「そう言えば楓先輩はキスしたことはあるんですか?」

「えっ、急にどうしたの?」

私達が会計を待ってる間、私は先輩に一つ質問をした。

先輩は不意打ちを喰らい顔を赤くする。いつも余裕そうな楓先輩が顔を赤くしているのは少しレアかもしれない。

「さっき相談に乗ってくれましたけど、そういえば楓先輩はキスしたことあるのかなって。」

楓先輩は私の相談をニヤニヤしながら聞いていたが楓先輩は恋愛経験があるのか気になって仕方なかった。

「うーん、キスしたことはないかなー。」

楓先輩はモテると思っていたからそれは少し意外だった。

「じゃあ、好きな人とかはいるんですか?」

「こ、これ以上は教えられないかなあ。また今度ね。」

楓先輩はそう言って好きな人を教えてくれることはなかった。でも隠すということは好きな人がいるのかもしれない。とっても気になってしまう。

「そんなことより、買い物も終わったし、早く帰ろうよ。」

先輩はそう言ってスーパを出た。買い物も終わったことだし、私達はすぐに寮に帰ることにした。



「いやー、咲ちゃんのおかげで助かったよ。本当にありがとう。」

「いえ、こちらこそ先輩とお話しできて楽しかったです。相談にも乗ってくださりありがとうございます。」

優しく相談に乗ってくれた先輩にお礼を言って頭を下げる。

「また、困ったことがあれば私に相談してね。それとこれは手伝ってくれたお礼。じゃあまたねー。」

楓先輩は私にジュースを渡すとそのまま自分の部屋に戻っていく。先輩はとても優しいし。今日は楽しい一日だった。今日は疲れたし帰ったらゆっくり休もう。

「ただいまー。蜜柑いる?」

私はすっかり蜜柑の事を忘れており、恐る恐るドアを開けるとそこには案の定機嫌の悪い蜜柑がいた。

「もう!咲ってばどこ言ってたの?」

「ごめん蜜柑。楓先輩と買い物してて。」

私がそう言うと蜜柑はいつもより真剣な顔をする。

「楓先輩に変なことはされてないよね?いやなことがあったらすぐに私に言って?」

「大袈裟だよ。楓先輩は優しいんだからそんなことしないよ。」

優しい先輩が私に嫌がらせをすることなんてまず無いはず。

「いや、楓先輩のことはあまり信用しすぎない方がいい。何考えてるか分からないし。」

蜜柑が真面目そうな顔をするから私は不安になる。やだなあ、先輩は確かに何考えてるか分からないけど怖くなんか無いはず。

「まあ、大丈夫だよ。とにかく先輩には何もされて無いからね。」

「まあ、何も無いならいいや。そんなことより私を一人にしたんだからお仕置きだよ!」

蜜柑はそう言うと私に抱きついて離してくれない。

「蜜柑ってば、暑苦しいよ。」

「いいじゃん。私を構ってくれなかった罰だよ!」

今日は本当に疲れた。私は蜜柑に抱かれながら眠りにつくのだった。

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