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はなかご  作者: 和音
第二章 みんなと一緒なら
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好きの違い

ひまり視点です。

あたしの周りには小さい頃からたくさんの人がいて、みんなが私のことを好きって言ってくれるし、そう言われるとあたしはとても嬉しかった。

特にテレビに出始めてから特に声をかけられるようになった。

だけどあたし自身があまり好きというものを理解していなかった。よく告白されるけどあたしはその感情がわからなかった。もちろん、みんなのことは好きだけどそれは友達としてであたしは恋を知らなかった。それなのに。

「あれ咲ちゃん?」

「二人ともどうしてここに?

テレビの撮影で水族館にいたあたしが帰ろうとするとそこには咲ちゃんの姿がいた。咲ちゃんを見ると心臓がドクドクする。

そうだ、咲ちゃんと会ってからあたしは変わったんだ。咲ちゃんはとても優しくて困ってたあたしを助けてくれた。だから咲ちゃんとは仲良くなりたいし、あたしも咲ちゃんを助けたかった。

それは咲ちゃんのことが友達として好きだからだと思っていた。

だけど一緒にいるうちにそれはもしかしたら恋なのかもしれないと思うようになってしまった。私にはまだ好きな違いがわからないのだ。

「へえ、そんな偶然もあるんだね。」

「私もびっくりだったよ。二人とこんなところで会えるなんて。」

とりあえずあたし達は今四人でご飯を食べることにした。水族館の近くにあったオシャレなレストランだ。

「それにしても咲にまた会えて嬉しいよ。」

「せっかく二人だけのデートだったのに。」

嬉しそうにする空ちゃんと悔しそうにする蜜柑ちゃん。二人とも咲ちゃんのことが好きなんだろうな。特に蜜柑ちゃんは本当に咲ちゃんのことが好きなんだろうなってのが分かってくる。だからあたしがもし咲ちゃんのことを好きだとしたら蜜柑ちゃんとはライバルになるわけで。 

そう思うと胸が痛くなる。恋愛のせいで今の関係が引き裂かれてしまうと思うと気持ち悪くなる。今の関係を壊すくらいなら。

「ひまり顔色悪いけど大丈夫?何かあったの?」

あたしが考え事をしていると咲ちゃんが顔をのぞいてくる。咲ちゃんと顔の距離が近くなって私はドキッとしてしまう。 

「ごめん、ごめん。ちょっと考え事してた。」

「もう、ひまりってばそういうとこあるよね。ご飯も食べ終えたんだしそろそろ行くよ。」

蜜柑に言われてあたし達はレストランを出ることにした。

そうだ、気持ちを切り替えてこう。あたしならできるはず。普段から演技慣れしてるんだから。





「それじゃあ今からここらへんでもぶらぶらしよっか。」

蜜柑ちゃんはそう言って咲ちゃんの手を掴めと走ってどこかに行ってしまう。あたし達も二人を追って走る。

「見てよ、すっごい大きいでしょ。」

「うわあ、すごいよ蜜柑。」

蜜柑ちゃんについて行った先にはとても大きい神社があった。

「本当だ、こんなところあるんだね。あたし知らなかったよ。」

ここの地域は何度か行った気がするけど、この神社は知らなかった。まあ、子供の頃だしそんなものかもしれない。

「ほら、みんな早く行くよ。お祈りしよう。」

蜜柑ちゃんはそう言って神社の中へと入っていく。あたし達も蜜柑ちゃんに続いて入った。

「それで、ここはどんな神社なんだい。」

空ちゃんの質問に蜜柑ちゃんは堂々とこたえる。

「ふふん、ここは恋愛成就の神社だよ。みんなは好きな人とかいないの?」

蜜柑ちゃんの質問にあたしは顔を暗くする。恋愛かどうかなんてわからない。だからあたしはここにいてはいけないような気がする。

「あたしは遠慮しようかな。」

「わ、私もいいかなー。」

あたしと咲ちゃんは断ろうとするが蜜柑ちゃんに無理やり連れて行かれてしまった。

「ほら、みんな祈るよ。」

あたしは賽銭箱にお金を入れると目を瞑りお願い事を考えた。

あたしは咲ちゃんの役に立てるようになりたい。そして咲ちゃんが幸せになれますように。

あたしが目を開けるとすでにみんなお祈りを済ませていた。あたしは咲ちゃんが何をお祈りしたが気になって仕方なかった。

「よし、それじゃあお祈りも済んだし次は別の場所に向かおっか。」

蜜柑ちゃんはそう言って次の場所へと向かった。いつも蜜柑ちゃんは無理やりな時があるけど今日はいつも以上に強引だった。とりあえずあたし達は蜜柑ちゃんについていくしかなかった。

「ほら、見てよ。すごいボートでしょー。」

蜜柑ちゃんに連れられてところはボート場だった。ここは私でも知っている。私もよく小さいころお母さんと乗ったものだ。

蜜柑ちゃんはそう言って二人乗りのボートへと乗る。

四人用もあるが蜜柑と二人で乗りたいのだろうか。私あたしだって蜜柑ちゃんと乗りたい。そう思うとあたしはモヤモヤする。ダメだ親友の蜜柑ちゃんにまで嫉妬してはいけない。

「ほら、早く乗ってよ鏡音さん。」

しかし蜜柑が指名したのは咲ちゃんではなくて空ちゃんだった。

「いいのかい?君は咲と乗りたいんじゃ。」

「いいから。私はあなたのこともっと知りたいし。だから咲とひまりで乗るといいよ。」

蜜柑はそれだけ言ってボートを漕ぎ始めた。

「それじゃあ私達も乗ろっか。」

咲ちゃんにそう言われて、私はドキドキしながらも二人でボートを漕ぐことになった。






「いやー、いい眺めだね。」

「うん、私は初めてここに来たけどとっても綺麗だね。」

あたしも久しぶりに来たけどとても綺麗な景色で曇っていた心が少し浄化されるような気がした。

「それにしてもボートを漕ぐのってとてもきついんだね。」

頑張ってボートを漕ぐ咲ちゃんはとても可愛らしかった。

「そうだね。でもこうやって二人で頑張って漕ぐのも楽しいよ。」

あたしがそう言って微笑むと咲ちゃんもまた微笑んでくれる。

咲ちゃんとこうやって二人で楽しくやってるだけであたしは幸せだ。

「そう言えばひまりはさっきの神社で何をお願いしたの?」

「ふぇっ?」

咲ちゃんに突然聞かれて私は顔を真っ赤にしてしまう。

「それは内緒だよー。恥ずかしいし。」

「それじゃあ好きな人はいるの?」

咲ちゃんにそう聞かれ私はどう答えればいいか分からなくなる。

「うーん、まだあたし好きとかよく分かってなくて。これがどんな好きなのか分からないんだ。」

「そっか、でも気になる人はいるんだね。」

咲ちゃんはあたしの恋バナに興味深々だった。

「うーん。とても優しくて笑顔が可愛いらしい子だよ。」

「へえー、そんないい子がいるんだね。」

いや、咲ちゃんのことなんだけどなあと思いつつ、私は話を続けた。

「それでね。あたしはその子のことが好きなんだけどそれは友達としてなのか恋としての好きなのか分からないんだよ。」

本人に恋の相談をするのも変なことだが仕方なかった。

「一緒にいてドキドキしたりする?」

「うん。とても心地よくて、心がドキドキするんだ。」

「その子が他の子と話してたりしたら嫉妬しちゃう。」

「うーん、それはまだ分からないかな。」

「そっか。まあ、困ったことがあったら私を頼ってね。」

咲ちゃんはそう言ってあたしの手を握ると真剣な眼差しであたしの目をみつめる。咲ちゃんのそういった優しさがとても嬉しいし、優しくしてくれるたびドキドキしてしまう。

「あっ、そろそろ一周するね。」

気づいたらすでに一周しており、蜜柑ちゃんたちはすでに降りて私達に手を振っていた。

あたし達も手を振りかえしてボートを降りた。

「じゃあ次はどこに行くんだ?」

「あー、私ちょっとひまりとお話ししたいから二人はどこかで休んでおいて。」

蜜柑ちゃんはそう言って私の手を掴むとどこかに向かって行った。

「えっ、ちょっと待ってよ蜜柑ちゃん。」

あたしは困惑しながらも蜜柑ちゃんについて行くのだった。





蜜柑ちゃんに言われてついて行って見るとそこはとても綺麗な向日葵畑だった。

「うわー、とっても綺麗だねー。」

太陽に向かって凛と咲く向日葵はとても綺麗で大好きだった。

「でしょ。咲と水族館に行く途中に見つけたんだ。」

蜜柑ちゃんはそう言って私を見つめる。

「それで話というのは?」

もしかしたら咲ちゃんと二人の時間を潰して怒ってるかもしれない。私は覚悟しながら蜜柑ちゃんの話を聞いて。

「単刀直入に聞くけど、ひまりって咲のこと好きでしょ?」

蜜柑ちゃんのその言葉に私は目を丸くする。まさか気づかれているなんて。

「よく分かったね。一応顔に出さないようにはしてたんだけどなあ。」

どうしよう。もしかしたら蜜柑ちゃんは怒ってるかもしれない。そう思うと胸がいたくてしょうがなかった。というかこの気持ちを蜜柑ちゃんにだけはバレたくなかった。

「そりゃあ分かるよ。私だって恋をしていっぱい悩んだし。それに蜜柑は友達だから。」

そう言ってニコッと笑うのは実に蜜柑ちゃんらしいと思う。

「それで蜜柑ちゃんは怒ってるよね。あたしが咲ちゃんのことを好きになっちゃって。」

あたしは思い切って聞くことにした。私は胸が痛くて仕方なかった。

「はあ、やっぱりそう言うことか。私がひまりに対して怒るわけないでしょ。」

蜜柑の言葉にあたしは頭が真っ白になる。

「えっ、でも蜜柑ちゃんも咲ちゃんが好きなんじゃ?」

「うん、そうだよ私は咲のことが大好きだよ。でもそれは関係ない別に私が先を好きだからと言ってひまりが咲を好きになったらダメというルールはないよ。」

蜜柑ちゃんのことだから怒っていると思ったけど蜜柑ちゃんはあたしに優しくしてくれてびっくりする。

「だってライバルが増えたら蜜柑ちゃんだって。」

「ひまりは優しいね。自分じゃなくていつも周りを気にする。そう言うところはずっと好きだったなあ。」

「でもあたし、恋愛のせいで今の関係が全部崩れたら嫌だよ。」

「うーん。まあその気持ちは分かるよ恋愛って複雑だからね。それでも私はひまりが一人で背負い込んで苦しんでいる方が嫌だよ。」

そうだ。蜜柑ちゃんはいつだって優しく子だったなあ。中学の頃から誰よりも優しくて強い子だった。

「それにさ、私は絶対に負けないよ。柳さんやひまりが相手だろうが絶対に負けないから。」

蜜柑の笑顔を見ると私は涙が溢れてくる。こんな優しくされるとどうしたらいいかわからなくなる。

「そうだよ。あたし、咲ちゃんのことが好きだよ。だからあたし一度咲ちゃんとお話ししたい。」

あたしは覚悟を決めた。一度咲ちゃんと二人でお話しすることにする。

「さすがひまり。私も応援してるから。」







あたし達が戻ると二人は楽しそうにアイスを食べていた。

「あっ、二人とも戻って来た。どこに行ってたの?」

咲ちゃんにそう聞かれ私はドキドキする。あたしは勇気を出して咲ちゃんに話しかける。

「うーん。まあ、色々話してたかな。それよりちょっと二人で話したいんだけどいいかな?」

「うん。私でよければ。」

あたしは深呼吸して覚悟をきめる。あたしは咲ちゃんを連れて人気のない場所へと向かうのだった。


あたし達は人気のない海場までやって来た。ここなら誰にも聞かれることなく話せる。

「それで話って?」

「そうだね。なんだか二人でお話ししたい気分だっから。」

「私もひまりと話したかったから嬉しい。特に今日のひまりは少し変だったから。」

咲ちゃんにまで気づかれていたのか。そう思うと少し恥ずかしくなる。

「やっぱり分かる?」

「うん。ひまりは友達だもん。」

「あたし、咲ちゃんに感謝してるんだ。咲ちゃんがいてくれてよかったって。」

あたしはありのままの思いを咲ちゃんにぶつける。

「急にどうしたの?」

「だって本当に感謝してるんだもん。咲ちゃんが私を助けてくれた時から今までの間、ずっと感謝してるんだ。」

「そっか。それなら私もひまりには感謝してるよ。いつも私を助けてくれるしいつも優しくしてくれるし。」

咲はそう言って私に微笑んでくれる。

「あたしさっきまで色々悩んでたんだ。だけど今はもう迷いもなくなったんだ。」

「そっか、それならよかった。もし困ったこととかあれば私も相談に乗るからね。」

「ありがとう。そうやっていつも優しくしてくれる咲ちゃんのことが大好きだよ。」

あたしはありのままの気持ちを咲ちゃんにぶつける。

「うん。私もひまりのことが大好きだよ。」

あたしと咲ちゃんで好きの意味が違うことはわかっている。だけど今はそれでいい。

「咲ちゃんちょっといい?」

「どうしたの?」

あたしは咲ちゃんに近づくとそのまま左ほっぺにキスをした。

「ふえっ、急にどうしたの?」

「えへへ、これは日頃の感謝だよ。それじゃあそろそろ二人のところに帰ろっか。」

「う、うん。そうだね早く帰ろっか。」

顔を真っ赤にして動揺する咲ちゃんの手を掴んであたしは二人の元へと向かう。

これからはもう迷わない。あたしは咲ちゃんのことが大好きだから。

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