海
青い海、白い砂浜。今私達は海にいます。
「うわあ、めっちゃ綺麗だー。みんなー、早く泳ごうよ。」
蜜柑はそう言って一足先に海に泳ぎに行った。蜜柑はいつでもどこでも元気だな。
「はあ、浅野さんはいつも元気ですね。私は早く、日陰に入りたいです。」
西園寺さんはそう言ってレジャーシートを引き、パラソルを立てる。
私達は今、寮のみんなで海に来ていた。霞先生の提案で寮のみんなで山と海の両方に行くことになったが蜜柑が今日はとても晴れていてとても暑かったので海に来たのだ。確かにこの暑さなら海に来て良かった。もうすでに夏休みということもあり人はとても多く周りの目線も多かった。
蜜柑と麻莉とひまりは海で泳いで私達は日陰で休んでいた。そして霞先生は一人で釣りをしに行ってしまった。先生が一番楽しん出るような気もするけど。
「それにしても日差しがすごいですね。日野さん、日焼け止めを塗って貰っても?」
西園寺さんにそう言われて私は西園寺の背中に日焼け止めを塗る。
「うわー、とても白いね。」
西園寺さんの肌をとても白く、とても綺麗だった。
「ええ、私はちゃんと日焼け対策してますので。」
「あれ?そういえば影山さんは?」
よく見るとさっきまでいたはずの影山さんがどこにもいない。
「ああ、影山さんなら周りの人の目線が怖いって、どこかに行ってしまいました。」
まあ、影山さんは人見知りだから、こういった場所は苦手なのだろう。
「それにしてもみなさん元気で羨ましいです。私にそのような力はないです。」
西園寺さんはサングラスをかけて寝転がっていた。確かに西園寺さんが水遊びしてるところは想像できないかもしれない。
「日野さんこそ泳ぎに行かないのですか。」
「うーん、私はいいかな。小さい頃から体が弱くて、泳いだことがなかったから。」
「日野さんの体が弱いことは初めて知りました。部活もしていたので尚更。」
西園寺さんは少し驚いた顔をする。確かにこう言った話はあまりしてなかった気がする。
「まあ、今は普通に動けるようにはなっているかな。」
「そうですか、なら後で私と泳ぎますか?二人なら怖くはないでしょう。」
西園寺さんはそう言って微かに微笑む。
「うん、それなら怖くないかな。というか西園寺さんって泳げるんだね。」
「ええ、私だってある程度のことは大体こなせますよ。それに昔の私はとても元気でよく遊び回っていましたからね。」
それを聞いて私はびっくりする。西園寺さんはもっともの静かなイメージがあったから。
「へえー、意外かも。西園寺さんはもっとお淑やかなイメージがだったから。」
「そんなことありませんよ。昔はよくやんちゃしてお父様に怒られたものです。」
「へえー、そういえば西園寺さんの家って、お金持ちなの?」
そういえば私はあまり西園寺のことを知らないことに気づく。
「ええ、お父様は社長ですし、お母様は私達の学校の校長ですよ。」
その言葉に私は固まる。よく考えたら苗字か一緒ではないか。
「えー、そうだったの?全然気づかなかったよ。」
確かに髪色だったり顔だったり似てるとは思ったけどまさか親子とは。
「ふふ、そうでしょう。お母様はあの性格なのでよく似てないって言われるんですよ。」
まさかの情報に私は困惑を隠せない。というか身近にお金持ちが二人いるって結構すごいことでは?
「でもお金持ちなのに何で寮暮らしなの?」
「そうですね、このまま実家で不自由な暮らしをしてると自分のためにならないなと思いまして。」
「西園寺さんはすごいね。私だったらそんなことできないよ。」
「では、日野さんはなぜ寮暮らしを?」
「まあ、私は学校から遠いから寮暮らしなだけだよ。私も家事とかやってるけど西園寺さんほど上手には出来ないと思うよ。」
私がそう言うと西園寺さんは首を振る。
「いえいえ、私の方が家事は苦手ですよ。今まで使用人にやってもらってばかりだったので本当に全然分からなくて。いつも影山さんに助けて貰ってますからね。」
そういえばあれから西園寺さんと影山さんはうまくやってるのだろうか?
「そういえばあれから二人での暮らしは順調?」
「ええ、あれから会話もするようになりましたし、彼女とゲームをしてよく遊んですよ。」
影山さんのことを語る西園寺さんはとても楽しそうだった。二人が仲良くなることは私としてもすごく嬉しい。しかし、西園寺さんは少し顔を暗くする。
「ですが、影山さんは自分の意見を全く口にしないので彼女が何を思ってるのかが分からなくて。本当は私の事をめんどくさいと思っていたらどうしようと考えてしまうことがあるのです。」
確かに影山さんはあまり喋るイメージばないけどそれでも西園寺さんのことを嫌ってはなさそうである。
「それなら、今度二人でどこか行ってみたら?」
「お出かけですか。確かにいい案ではありますが彼女はあまり外に出たがらないので。」
「うーん。なら、贈り物とかは?それで日頃の感謝を伝えたり、影山さんの気持ちを聞き出したり。」
私の言葉に西園寺さんは大きく頷く。
「それです!その手がありました。そうと決まれば今度彼女の贈り物を買いに行きます。」
意気込む西園寺さんを横目に私は笑みが溢れる。
「どうしました?」
「いや、二人が仲良くしてて嬉しいなって。私達は同じ寮に住む仲間だから。」
私がそう言うと西園寺さんも微笑む。
「ええ、そうですね。私達は寮に住む仲間ですから、お互いの困った時は手を取り合わないとですね。」
「そうだね。困った時はお互いにね。」
やはり西園寺さんはかっこよくて優しくて本当に頼りになる人だ。
「おーい、二人ともー。そろそろ泳ごうよー。」
蜜柑が手を振ってる。
「では私たちもそろそろ泳ぎますか。」
私と西園寺は蜜柑達のところへと向かった。
「咲ちゃんも泳ごうよ。涼しいよ。」
「いやー、にしても泳いだな。俺は一旦休もうかな。」
私達が海に向かうとすでに泳ぎまくって若干疲れているひまり達がいた。私もすぐに泳ぎたかったが私は泳げるかが心配だった。
「うん。でも私泳げるか分からなくて。」
私が困っていると西園寺が私の手を握る。私に任せてという表情で私を見る。
「私が手伝うので泳げるようになりましょう。」
西園寺がそう言うと蜜柑もまた、私の手を取った。」
「むー、私が咲に教えるんだから。」
「あらあら、浅野さんでは危なっかしくて見ていられません。」
西園寺さんはそう言って私の手を握ったまま海に入る。
蜜柑も嫌そうな顔をしていたが渋々譲ってくれた。
こうして私と西園寺さんの水泳の授業が始まった。
「はい、それでは最初は水になれることから始めましょう。」
西園寺さんは小学生が水泳の授業で習うようなことから始めてくれる。ゆっくりかつ、丁寧に教えてくれるのでとても分かりやすい。
「それでは私が手を掴むので泳いでください。」
私は西園寺さんに教わりながら少しずつ、泳げるようになっていった。
そして気づけば一人で泳げるところまできた。
「本当にありがとうね。こんなことまでしてくれて。」
私は西園寺に感謝を伝える。
「いえ、お互い様です。こちらこそ感謝してるんですよ。私と影山さんの中を取り持ってくれたり、私の買い物に付き合ってくれたりしたので。」
「そうだね。私達友達だもんね。」
私がそう言うと西園寺さんは顔を明るくする。この流れ前も見た気がする。
「友達、すごくいい響きです。私中学の頃ほとんど友達がいなかったもので。」
もしかしてお嬢様って友達が少ないものなのかもしれない。
あれからさらに少しが経ち私はみるみる泳げるようになった。
「こんな短時間で泳げるようになるなんて、さすが日野さんです。」
「いやいや、西園寺さんの教え方が上手いだけだよ。」
実際西園寺さんはずっと丁寧に教えてくれて分かりやすかった。
「おーい咲。泳げるようになった?そろそろみんなで遊ぼうよ。」
私達はみんなで泳いだり水をかけあいっこしたりして遊んだ。
「ほら、咲っ。」
咲に水をかけられ、私も蜜柑にやり返す。」
「やったなー。それっ。」
私達が夢中になって遊んでいるとあっという間に時間が経った。
そして西園寺さんが異変に気づく。
「ちょっと待ってください。影山さんの姿が見えません。」
西園寺さんに言われて、周りを見てみると確かに影山さんの姿がどこにも見えなかった。
「私、影山さんをさがしてきます。」
西園寺さんは急いで海を出るとすぐに影山さんを探しに向かった。
私も影山さんのことが心配だったので追いかけに行く。
「ごめん。私も影山さんを探しに行くから。」
蜜柑も影山さんがいないことに気づいたのか静かに頷く。
「分かった。それなら私達は二人と反対の方を探して来るから絶対に怪我しないようにね。」
私は蜜柑と約束をして、西園寺さんと一緒に影山さんを探しに向かった。




