プレゼント
私は椿に引っ張られどこかに連れて行かれた。私はここがどこか分からず不安になる。
「ねえ、ここはどこなの?」
私は椿に尋ねるが椿は一切答えてくれない。椿たまには何を考えてるかわからないことがあるから怖い。
「まず明後日が何の日か知ってる?」
椿にそう言われて私は明後日が何の日か考えるが何も出てこなかった。
「えっと何もないと思うけど?」
私がそう言うと椿は大きなため息を吐く。
「はあ、やっぱり蜜柑は何も言ってないんだね。明後日は蜜柑の誕生日だよ。」
始めて聞く情報に私はびっくりする。一切聞いてなかったので誕生日プレゼントはもちろん用意できてない。
「私蜜柑から何も言われてなかったんだけど。」
「まあ、蜜柑なら自分の誕生日なんて忘れてそうだと思ったから。どうせ咲はプレゼントも用意してないと思ったから連れ出したんだよ。そういうことだから早くプレゼント買いに行くよ。」
椿はそう言って私の手を再び引っ張る。さすが椿。見た目は怖いから勘違いされやすいが椿はとても優しいのだ。
「ありがとう椿。椿がいてくれて良かったよ。」
「はいはい。それじゃあ早くプレゼントを決めるよ。」
「うーん。何がいいかなー。」
とりあえず蜜柑にあげて喜びそな物を考えてみる。
いや、蜜柑なら何あげても喜んでくれそうではあるけど。
「椿は蜜柑に何をあげるの?」
「アタシは無難にマグカップをあげるよ。」
椿は袋から取り出し見せてくれる。猫の柄でとても可愛いマグカップだった。ちゃんと蜜柑が猫が好きってこと知ってるんだなあ。
「そう言えば蜜柑と椿って幼馴染なんだっけ。」
そう言えば私は蜜柑の幼少期の話とか聞いたことないし、この際だから聞いてみる。
「そうだよ。小学校から高校までずっと一緒。」
「蜜柑の小さい頃の話とか聞いてみたいな。」
椿は一瞬黙ったがその後すぐに答えてくれる。
「うーん。どこまでしゃべっていいのかな。まあ、誰にも言わないってなら教えてもいいよ。」
椿の言葉に私は静かに頷く。蜜柑のプレゼントを選びながら静かに椿の話を聞く。
「まず蜜柑は昔はもっと静かで冷たい性格だったんだよ。」
「あの蜜柑が?」
今の蜜柑しか知らない私からするとあり得ない話だ。
「ふふ、そうでしょ。アタシは今でも信じられないないし。でも昔は本当に静かで物事に興味がなく冷めていた。というのも蜜柑は親が社長でいわゆるお嬢様なんだ。」
「えっそうなの?」
再び初めて聞く情報に私はびっくりする。
「うん。だから蜜柑は周りの期待に応え続けた。そうする内に蜜柑はだんだん暗い性格になっていった。もちろんアタシやひまりはよく遊んでたし、その時は今のような笑顔を見せてくれてた。それでも蜜柑にとってはずっと苦しかったんだと思う。」
周りの期待に応え続ける。それはとても簡単なことではないだろう。
「アタシもずっと苦しかった。出会った頃は明るくて純粋だった蜜柑が少しずつ暗くなっていくんだから。アタシもひまりも何も出来なくて悲しかった。」
「それでも二人がいてくれただけで蜜柑は嬉しかったと思う。」
誰か一人でも本音で喋れる人がいればだいぶ変わる物だと思う。実際蜜柑はひまりや椿のことを大切に思っていた。
「うん、それはそうかもしれない。それでも蜜柑が明るくなることはなかった。」
椿は悲しそうに言った。その表情を見るとこちらまで悲しくなってしまう。
「蜜柑は本当にずっと暗い感じだったの?」
正直私はいまだに信じれない。あの蜜柑が暗かったことも、私と出会っただけで再び明るくなったということも。
「そうだよ。それは高校でもずっとそうだと思ってた。けど違った。」
椿はそう言って私の方を見つめる。
「私が蜜柑を変えたって言うの?」
「うん。アタシも何で明るくなったか詳しいことは知らないけど少なくとも咲が蜜柑を変えたんだ。」
「なるほど。でも何で蜜柑はこのことを私に教えてくれないの?」
私に言ってくれても良かったのに。私はもっと蜜柑のことを知りたいのに。
「うーん。私も詳しいことはわからないけど多分蜜柑は咲に自分の気持ちを押し付けたくないんだと思う。」
私は今にでも蜜柑の悩みを聞きたかった。しかしそれを蜜柑は望んでいないかもしれない。
というかひとつ気になることがある。
「椿は私が蜜柑を変えたって言ったけど私が初めて蜜柑と会った時すでに蜜柑は明るかったよ。」
「それは咲が初めて会ったと思ってるだけじゃないの?」
「え、どういうこと?」
もしかして私はどこかで蜜柑と会っていた?でも私は一切記憶にない。
「私にも細かいことは分からないけど多分蜜柑と咲は高校に入るまでのどこかで会っていたんだと思うよ。」
椿はそう微笑むと私の手を掴み会計の方に向かう。
「それに決めたんでしょ?」
椿は私が手に持っていた猫のお皿を見て言った。
「うん。椿のコップと合わせて使えるし可愛いから。」
「いいんじゃない。咲らしいと思う。」
私が会計を終えると椿は再び私の手を掴み、どこかへ向かった。
「えっ、どこに行くの?」
「まあ、後ちょっと話そうよ。」
椿にそう言われ、私はどこかに連れて行かれる。というか椿ってすごい強引では?
「はい、ここ座って。」
椿に連れてこられたところはショッピングセンターの一階にある小さいカフェだった。
「それで、お話ってのは。」
「咲って蜜柑のこと好きでしょ?」
椿にそう言われ、私は一瞬コーヒーを吐きそうになった。」
「ゲホッ、ちょっと待ってよ。急に変なこと言わないでよ。」
「顔真っ赤になってんじゃん。やっぱり蜜柑のこと好きなんだね。」
椿に当てられて私は顔が真っ赤になる。私は仕返しをすることにした。
「そう言う椿はどうなの?椿も蜜柑のこと好きなんじゃないの!」
「うん。アタシは蜜柑のこと好きだよ。」
椿はもっと恥ずかしがると思ったが、椿は堂々と好きと言った。
「そうなんだ。もしかしてずっと前から?」
「うーん。まあそうかな。蜜柑の優しい所や頑張ってるところにいつのまにか惹かれてたんだ。」
それは分かる。私も優しくいつでも私の味方でいてくれるそんな蜜柑にいつの間にか惚れてたから。
「じゃあ、アタシ達恋のライバルだね。もちろん咲には感謝してる。だけど私は負けるつもりはない。」
椿は真剣に私の方を見つめる。
「うん。私だって負けないよ。椿の方が蜜柑と一緒にいるし、蜜柑のことを知っているかもしれない。だけどそれでも私は蜜柑のことが好きだから。」
私も蜜柑のことが好きだと言うことを椿に打ち明けた。
「そっか、その言葉が聞けてよかった。それじゃあ蜜柑のことに帰ろっか。」
再び私は椿と手を繋ぎ蜜柑達の元へと向かう。
「ねえ、咲。」
蜜柑達のところへ向かう途中に椿は静かに話しかけてくる。
「どうしたの?」
「今日は話したことは全部二人だけの秘密だからね。」
「うん。もちろん。誰にも言わないから。」
私はこれでも口は硬い方だ。
「それと蜜柑を変えてくれてありがとう。蜜柑は咲と一緒にいて本当に楽しそうだから、どうかこの先もずっと一緒にいてあげて。」
椿は本当に蜜柑のことを一番に考えてるんだな。
「うん。もちろんだよ。」
「それなら良かった。じゃあアタシは帰るね。」
ちょうど私は蜜柑達のいるゲームセンターに着いた。
「待って椿。咲とどこに行ってたの?変なことしてないよね?」
蜜柑は椿を睨みつけるが椿は何とも思っていないようだった。
「まさか。私がそんなことするわけないじゃん。それじゃあまたね。」
椿はそう言って笑うとそのまま帰って行った。
「今日はありがとう椿。また今度遊ぼうね。」
私がそう言って手を振ると、椿は手を振替してくれる。
「まあ、椿なら変なことはしないか。それにしても椿は強引すぎると思うけど。」
蜜柑はそう言ってため息を吐く。それに関しては全く持ってその通りだと思う。
それから色々あったが私達はショッピングセンターを巡り、夕方になって帰ることにした。
「今日はとっても楽しかったよ。また遊ぼうね。」
柳さんは私達を車から降ろすと笑顔で微笑む。
「うん。それじゃあまたね柳さん。」
私は柳さんと別れ、寮に向かい自分の部屋に入る。
「あたしも楽しかった。じゃあねー。」
ひまりはそう言って自分の部屋に入る。
私も手を振ってそのまま自分の部屋に入る。
私は帰ってすぐにベットへとダイブする。今日はとっても疲れた。今日はお風呂に入ってゆっくり休むんだ。
私がベットで寝転んでいると蜜柑が抱きついてくる。
「もう!今日はひどいよ。空って人に抱きつかれたと思ったら今度は椿とどこか行っちゃうんだから。」
誕生日のことはまだ言えないので私は何も言えず無口になる。
「蜜柑はずっと寂しかったの?」
「もちろんだよ!だから今から私を構ってくれないと怒るんだから。」
蜜柑はそう言って私に抱きついて話さなくなる。
それにしても今日は蜜柑の過去について知ってしまった。今はまだ何も聞けないけどいつかは蜜柑の口から過去を聞きたい。
そのいつかが来るまで私はずっと蜜柑といるのだ。




