水着選び
「蜜柑起きてー。水着買いに行くよー。」
「うーん、夏休みなんだからもう少し寝かせて。」
今日も蜜柑は全然起きる気配がなく私はため息をつく。今日はみんなで水着を買いに行く日だというのにいつも通り起きる気配がない。
今日は柳さんがこの寮に来て、私と蜜柑とひまりを乗せてそのままショッピングセンターへ行くので、それまではゆっくりしておこう。
私はテレビをつけて朝ごはんを食べる。
「最近は夏休みに入り人が多くなっていますのでみなさん不審者には気をつけましょう。」
一度私達は不審者にあったことがあるので今日は変な人に会わないといいな。
「次は夏休み特集の時間です。夏休みのおすすめスポットをお勧めしたいと思いまーす。」
そういえば最近蜜柑と二人で外に出てなかったしたまには二人でお出かけしたい。そしていつかは蜜柑に好きだと言いたい。だけどそれはまだ私にはハードルが高く、相当先の話になりそうだけど。
「おはよう、咲。」
「ふえええ、お、おはよう。」
蜜柑のことを考えてる時にやって来たので私はびっくりしてしまう。
「急にどうしたの?それと、柳さんが来るまでどれくらいかかる?」
「まだ時間はあるからゆっくりでいいよ。」
「そっかー。でもそれならもっと寝ててよかったんじゃ。」
「ダメだよ。夏休みでもいつも通り起きなきゃ。」
ただでさえだらしない蜜柑が夏休みにもっとだらしなくなってしまったら私は手がつけられなくなる。
「ってそこの水族館めっちゃ綺麗だよね。」
蜜柑がテレビ特集に写っていた水族館を見る。確かに、綺麗だし距離も電車で行けば大丈夫な距離だった。これはチャンスだ。私は勇気を出して蜜柑に声をかける。
「本当だ。それなら今度二人で行かない?ほら最近二人で外に出かけてなかったし。」
私は断れないか不安になりながらも蜜柑の顔を見る。
「もちろん!私もずっと咲と出かけたかったしいいよ。それに咲から声かけてくれて嬉しい。」
蜜柑の太陽のような笑顔に私は顔を真っ赤にしてしまう。
「それなら良かった。また今度予定決めよっか。」
そんなことを話していると玄関からチャイムの音がなる。予定の時間より大分早い気がするけど誰だろう?
「やっほー、暇だから来ちゃったよ。」
「ごめん日野さん。私もう待ちきれなくて。」
ドアを開けると外にはとびっきりのおしゃれをしたひまりと柳さんがいた。
「もう来たんだ、二人とも早いね。」
まだ綾乃達との待ち合わせまで時間があるから一旦部屋に入れることにした。
「お邪魔しまーす。」
「えへへ、ここが日野さんの部屋。初めて来たよ。」
私は二人をソファーに座らせ、お茶の準備をする。
「わっ、二人とも早いねえ。」
蜜柑もお出かけの準備をしていた。
私は二人にお茶を渡し、お話をする。
「それにしても二人とも今日はとても気合い入ってるね。」
二人とも普段から可愛いのだが今日は軽くメイクがされており、服も普段より可愛いものだった。
「そりゃあ、みんなで買い物だよー。気合い入れなきゃ。」
「うん。私も楽しみで気合い入れちゃったの。」
こうしてみると、ひまりは本当に芸能人って感じがするし。柳さんもお嬢様オーラが出ている。
「というか咲ちゃんはまだ準備してないんだね。私達がメイクとか手伝うよ。」
そういえばまだ時間あるし後でいいやと思い、まだ準備してなかったし二人みたいに本気なメイクをするつもりもなかった。
「うん。それならちょっと手伝ってもらおうかな。」
「任せて。私がとびっきり可愛くするから。」
こうして私は更衣室に入り、私は少し身構えながらも二人にメイクしてもらうのだった。
「こちらでございます。みなさんお乗り下さいませ。」
外に出ると柳さんの召使がおり、私達は高級車に乗る。
緑さんも乗っており、明らかに機嫌が悪そうだった。
「遅かったですね。月花お嬢様。」
「ご、ごめん。日野さんが可愛いすぎて気づいたらこんな時間に。」
二人が私のメイクに盛り上がるせいでかなり時間が経っていた。綾乃達怒らないかな。
「うへえ、柳ちゃんの家って本当にお金持ちだよね。」
初めて乗るひまりはとてもびっくりしていた。私も久々に乗ったがいつ見ても凄い光景だと思う。
「それにしても咲ものすごく可愛いよ。もしこの前みたいに変な人がいたら私が守るから。」
蜜柑も私のメイクを大絶賛してくれる。
あれから私は二人にメイクをされ、いろんな服を着せられて人形のようにされていた。おかげでとても可愛いのだが少し落ちつかない。
「やっぱりこのメイクと服装ちょっと落ち着かないよ。」
「大丈夫、大丈夫。そのうち慣れるから。」
ひまりは普段からテレビに出てるからかものすごく慣れていた。メイクもとても上手だったし。
「それにしても今日は楽しみだね。みんなで遊べて。」
柳さんはにこやかに微笑んだ。
「本当だよ。今からどこ回ろうか悩んでるもん。咲はどこ行きたい?」
「うーん。どこ行こうか迷っちゃうな。」
私も楽しみで仕方なかった。
そんなこんなで私達が話しているとあっという間に目的地のショッピングセンターに着いた。
「ほら、つきましたよ月花お嬢様。今日は一日楽しんできてください。」
緑さんはそう言うと私達を降ろしすぐにどこか入ってしまった。まあ、高級車は目立つからしょうがない。
「あっ、いたいた。もう遅いじゃない。」
「何かあったと思って心配したんやで。」
私達が車から降りるとすぐに綾乃達が駆けつけてくる。
「ごめん、ごめん。ちょっと色々あって。それより早く中に行こう。」
「そうね。それにしても柳さんって本当にお金持ちなのね。急に高級車が来たと思ったらあなた達でびっくりしたわ。」
やはり、誰でも高級車を見るとこういった反応になるんだな。
「それにしてもみんな気合い入ってるな。」
涼くんは私達の格好を褒めてくれる。というか今更だけど涼くんって他の男子達みたいに変な目で見てこないからとても落ち着く。だからあまり男子と話すのが苦手な私でも気軽に話せるのかもしれない。
「よーし。それじゃあ今日は一日楽しむぞー。」
ひまりの掛け声と共に私達は中に入ることにした。
「うわー、やっぱり今日は人が多いね。」
中に入るといつもとは比べ物にならない人がいてびっくりする。私一人では迷いそうで怖い。
「咲が迷わないように私が手を繋いであげるね。」
蜜柑は私の心を読み取ったのか私の手を握ってくれる。少し恥ずかしいが私は蜜柑の手を握り返す。
私達はまず最初に水着を買うために水着ショップに向かう。
「ねえ、あの子達可愛いくね?」
「おい、お前話しかけこいよ。」
私達が歩いていると、周りの人からジロジロと見られる。柳さん達はとても可愛く、ひまりもサングラスをかけているがやはりオーラが出ているため、どうしても周りの人の注目を集めてしまう。しかし、涼くんや、蜜柑がものすごい目つきで睨むため、話しかけてくる人はいなかった。
「ふー、着いた着いた。それじゃあ早速みんなに合った水着を探しますかー。」
ひまりはそう言って水着を選びにどこか行ってしまった。私も蜜柑と一緒に水着を探すことにした。
「うーん、どれも咲に似合うからどれにしようか迷うなあ。これは可愛けど露出が少し多いし、これはちょっと派手すぎるしどれにしよう。」
蜜柑は自分の水着そっちのけで私の水着を選んでおり、私より真剣に選んでいる。
「ねえ蜜柑、自分の水着くらい自分で選ぶから、蜜柑も自分の選んでいいよ。」
「やだ!私が咲の服を選びたいの。」
蜜柑はそう言って再び私の水着を選び始めた。私は諦めて、蜜柑を眺めることにした。それにしても本当にここのお店はいろんな種類の水着がある。可愛いのからセクシーなものまであり、とても凄い。
「咲ー。とりあえず何着か選んだから着てみて。」
私は蜜柑から渡された水着を着ることにした。いくら水着とはいえみんなの前で見せるのは少し勇気がいる。
「ど、どうかな?」
私は恥ずかしながらも更衣室の扉を開けて、姿を見せる。
「グハァ、とても可愛いよ咲。可愛いすぎて他の誰にも見せたくないけど。」
蜜柑今吐血しなかった?大丈夫なのかな。
「やばいよ日野さん、あまりにも可愛いすぎて私おかしくなっちゃう。」
突然柳さんも出てきてすごく褒めてくれる。後、柳さんすごい鼻血出てるけど大丈夫かな?
それから私は何着か水着をきて、蜜柑とひまりに見てもらった。その都度二人とも吐血するので私は心配で仕方なかった。
私達はそれぞれ水着を買い、外に出た。私は結局、小さなリボンの着いた可愛いらしい水着を買うことにした。露出もあまりなく、私としては満足だったが二人にとっては何やら不服なようだった。
外に出ると、先に水着を買い終わった綾乃と、最初から外で待ってた涼が話していた。
「やっと、戻ってきたのね。」
「ごめんごめん。咲があまりにも可愛いすぎて、時間かかっちゃった。」
「あれ?ひまりは一緒じゃないんやね。」
涼くんのその言葉で私達はハッとする。ひまりだけまだ帰ってきていない。
「私が見てくる。」
蜜柑の身に何かあったら大変なので私は急いで水着ショップへと向かう。
「待って、咲一人に行かせるわけには行かないから私も行く。」
私が行こうとすると蜜柑も一緒に着いてくる。
私達が再び水着ショップへ向かうと、そこにはひまりがおり、最初は何かあったのかと思ったが何やら楽しそうに話していた。
「おーい、ひまり何してるの?」
蜜柑が声をかけるとひまりはこちら側に気づいた。
「あっ、二人ともごめんごめん。ちょっと同僚とお話ししてて。」
ひまりの同僚ということは芸能人だろうか。確かにとてもかっこよくて紳士的な人だった。というかどこかで見たことあるような?
「咲?もしかして咲か。」
よく見て見るとその人は私の元同級生の鏡音空だった。
「あっ、空ちゃんだ久しぶり。」
私がそう言うと空ちゃんは顔を明るくする。
「やっぱり咲か。ずっと君に会いたかった。」
空ちゃんはそう言って私を抱きしめる。
「は?」
その光景を見たひまりと蜜柑は顔を顰めるのだった。




