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はなかご  作者: 和音
第二章 みんなと一緒なら
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体育祭

「ふんふふーん。」

私は朝早くに起きるといつもより高いテンションで鼻歌を口ずさむ。

なんといっても今日は待ちに待った体育祭の日だ。なので私はいつもより早く起きてお昼のお弁当の準備をする。

今日はいっぱい動くだろうから多めに用意することにした。特に蜜柑は唐揚げが好きだから多めに揚げておこう。

料理をしている合間に外を覗いて見るともうすでに先生や係の人がテントを立てたりして準備を行っていた。生徒は皆やる気に満ち溢れておりそのオーラがこちらにまで伝わってくる。

特に三年生はこれが最後の体育祭であり、この日のために皆頑張っていた。 

私も負けられないなと気を引き締める。私達だってこの一ヶ月ずっと練習してきたのだ。先輩たちの足を引っ張るわけにはいかない。

「うーん、今日はいつも以上に早いねー。」

私が料理をしていると蜜柑があくびをしながらやってくる。普段は私が起こさないと起きて来ないのに今日は私が起こす前に起きてきた。

「蜜柑がこんな時間に起きるなんて今日は変なことが起こるんじゃ。」

「失礼だなー、私だって体育祭の日くらいはちゃんと起きますけどー。」

蜜柑は頬を膨らますが普段全然起きない蜜柑が悪いと思う。

「じゃあ私、霞先生に呼ばれてるからちょっと行ってくるねー。」

蜜柑はそう言って外に出るが何も聞いてない私はびっくりする。

「もしかして何かやらかしたの?」

「そんなんじゃないよ。ただ手伝って欲しいことがあるって言われたんだ。朝ごはんまでには戻ってくると思うから。」

蜜柑はそれだけ言うと外に出てしまった。蜜柑は本当に嵐のようだ。

私もご飯の準備が終わり休んでいるとチャイムの音がした。

「もしもし、どなたですか?」

私が外に出るとすでに体操服に着替えたひまりがいた。

「咲ちゃーん、暇だから来たよー。」

「来るのはいいけど体育祭はまだ先だよ?」

まだ時間はあるのにすでに体操服なのは流石に気が早いのではないだろうか。

「だって待ち遠しくて退屈なんだもん。」

「まあ、気持ちは分かるけど。それなら一緒にご飯でも食べる?」

「いいの?じゃあそうさせてもらおっかな。」

蜜柑が中々帰って来ないので二人で先に朝ごはんを食べることにした。

「いやー。それにしても優勝したいなー。」

「そうだね。そのために私達はいっぱい練習したしね。」

ひまりはいつになく楽しそうだった。ご飯中も体育祭のことをずっと話して待ちきれない様子だ。

「うん。特に柳ちゃんは頑張ってたから上手くいくといいんだけど。」 

「うーん。心配ではあるけど最初とは見違えるほどに成長したし大丈夫なんじゃない。」

この日のために頑張ってきたし仮に上手くいかなくても誰も責めはしないと思う。

「うーん。まあ、そうかな。それにあたし達がその分頑張ればいいもんね。」

「ひまりってそんなに体育祭が好きなんだね。」

私の質問にひまりは首を横に振る。

「ううん。体育祭が好きと言うよりはみんなと一緒にイベントに参加できるのが楽しみなんだ。ほら、あたしってよく転校してクラスに馴染めなかったから。」

なるほど、だからこんなに気合が入っていたのか。そう考えるとそのテンションの高さも納得だった。

それから私とひまりが体育祭が始まるまでの間、お話ししてるとやっと蜜柑が帰ってきた。

「ごめん咲。遅くなっちゃった。ってひまりもいるんだ?」

「うん。体育祭が始まるまで暇だったから咲ちゃんとお話ししてたんだー。」

「ずるい!私も咲とお話ししたい。」

私達は三人でお話ししながら体育祭が始まるまで待つことにした。

私達が三人で盛り上がってると外から体育祭の始まる合図がなった。私達はワクワクしながら急いでグラウンドへ向かった。










私達がグランドへ向かうと大体の生徒は並んでおり、私達も自分達のクラスのテントへと向かう。

クラスのテントに着くとそこには柳さんがいたが明らかに様子がおかしかった。

「おはよう柳さん、今日は頑張ろうね。」

私が声をかけても柳さんは俯いたままで答えてくれない。柳さんは明らかに落ち込んでおりとても暗い雰囲気だ。

私は先に来ていた綾乃と涼に何があったかを聞くことにした。

「柳さんに何があったの?」

「それが私達にも分からないのよ。」

「俺らが来た頃にはすでにこんな感じやったで。」

「日野さん私やっぱり無理だよ。緊張で体が動かなくて。」

柳さんはそう言ってため息をつく。とりあえず私達は柳さんを励ますことにした。

「そんなことないよ。柳ちゃんは頑張ってたじゃん!」

「うう、そうだけど他の人達を見てるといくら練習しても私じゃ無理なんじゃって思っちゃって。」

今の柳さんは明らかにやる気を失っておりこのままじゃ今日の運動なんてできそうにない。私は頭を抱える。

「なら柳ちゃんが頑張ったらご褒美をあげるとかどうや?」

「ご褒美って言っても何あげるのよ?」

いい提案だとは思ったけどお金持ちの柳さんが喜ぶものとかあるのだろうか?

「そりゃあ咲ちゃんの頑張ったねって頭よしよしされるとかどうや?」

「いや、そんなの柳さんが喜ぶわけ。」

そんなことされても柳さんは嬉しくないと思うけど。

私がそう思ったのも束の間柳さんは目を輝かせた。

「え、頑張ったら頭撫でてくれるの?」

「まあ、柳さんがいいなら全然やるけど?」

私の発言に柳さんは目を燃やす。

「そう言うことなら私、頑張る。」

理由はともあれ柳さんがやる気になってくれてよかった。

「それならあたしも頑張ったらなでなでしてよー。」

何故かひまりまでなでなでを求めてくる。私に頭を撫でられて嬉しいのだろうか。

私にはよく分からなかったがとりあえずテントに入り開会式が始まるのを待つ。







少し待っているとパンとピストルの音が鳴りその合図とともに私達はグランドの真ん中に移動する。

移動した場所に座るとすぐに一人の先生が台の上に乗る。

「コホン。それでは今から体育祭の開会式を始めようか。」

台に乗った先生はとても綺麗な金髪でとても美人な先生だったが私はこの先生を一度も見たことがない。

「だが、その前に私を知らない人もいると思うだろうから軽く自己紹介から始めようか。私の名前は西園寺華だ。この学校の校長をやっているよ。私は色々と忙しくこの学校にいることも少ないがよろしく頼むよ。」

まさかの校長先生の登場で私はびっくりした。確かに今まで校長先生を見たことがなかったので不思議に思ってはいたのだ。それにしても淡々とした感じの先生だ。

「まあ、では開会式の合図を始めようか。では諸君、正々堂々スポーツマンシップに則りお互いに切磋琢磨磨き合い素晴らしい青春を作ってくれたまえ。」

西園寺先生は短めな挨拶をして、開会式を閉じた。

開会式が終わると生徒達は自分のテントへ戻りそれぞれの競技の準備をする。

私も、もちろん負けてられない。絶対に勝ってチームに貢献して見せる。





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