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はなかご  作者: 和音
第二章 みんなと一緒なら
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恋バナ

「ぜえぜえ、もう無理だよー。」

「柳ちゃん頑張ってとりあえずここまでは踊れるようになろう。」

ひまりはそう言って柳さんにお茶を渡す。外は雨が降っており、体育館はとても蒸し暑くて地獄だ。

今私達は体育の時間で体育祭のダンスの練習をしていた。体育祭まで後一週間とちょっとしかなく、みんなダンスを覚えるのに必死だった。体育館ではそれぞれグループに分かれて必死に踊っていた。

私やひまりはすでにほぼ完璧に踊れるようになっていたが柳さんは振り付けこそ覚えたものの肝心のダンスを踊る体力がなくかなり苦戦していた。

「どう?私上手になった?」

柳さんはタオルで汗を拭きながら私達に聞く。

「そうね。柳さん、ダンスの振り付け自体は完璧に覚えているから後はその通りに踊れればいいのだけど。」

綾香の言葉にみんなが頭を抱える。なんと言ったってそこが一番難しいのだから。私達はあれから体育祭に向けてトレーニングをしていて柳さんも着実に体力はついているのだがそれでもまだお世辞にもいいとはいえなかった。

「まあでもまだ一週間とちょっとはあるし、徐々につけてけばいいよ。」

ひまりの言葉にみんなも顔を明るくする。確かにひまりの言う通りだ。ダンス自体はできてるし、後は体力をつけて質を上げるだけでいい。そう思えば簡単な気がしてきた。

とりあえずこれ以上やると柳さんが倒れる可能性があるので私達はお茶を飲み休憩をすることにした。

「ねえねえ暇だし恋バナでもしない。」

ひまりの言葉に私はドキッとする。

「急にどうしたの。そんな女子高生っぽいこと言って。」

「いや、女子高生だよ?だって今までみんなの好きな人の話って聞いたことなかったから。みんなだって気にならないの?」 

周りを見るとみんな頷いていた。

そう言われると少し気になる。女の子というものはどの歳になっても恋バナが大好きなのだ。

「それなら最初はひまりから言いなさいよ。」

「いいよー。でも私は好きな人というか気になる人というか。」

ひまりはそう言ってもじもじする。芸能人で人気者のひまりでも気になる人とかいるんだな。やっぱり同じ芸能人とかかな?

「いいじゃない。どんなところが好きなの?」

綾乃は興味津々に聞く。

「えっと、とても優しくて可愛いて天使みたいな子だよ。一緒にいて心地がいいんだ。」

気になる人のことについて語るひまりは完全に恋する乙女だった。

ひまりはさっきから私の方をじーっと見てくるがなんでなんだろう。

「いいじゃないそういうの。やっぱり一緒にいて居心地がいいってのは大事よね。」

「告白とかはしないの?」

柳さんと綾乃がひまりに質問するがこれ以上は何も答えてくれなかった。

「これ以上は恥ずかしいからパス。さあ次は綾乃ちゃんの番だよ。」

二人に迫られたひまりは慌てて綾乃に話を振る。

「えっと私は別に好きな人とかは。」

さっきまでニヤニヤしていた綾乃が今度はがもじもじする。

「嘘だー、教えてよー。」

さっきの仕返しかひまりがニヤニヤして綾乃に質問する。今のひまりはとても楽しそうだ。

「本田さんは青木くんのことが好きじゃないの?」

柳さんがそう言うと綾乃は顔を真っ赤にする。

「違うわよ!涼とはただの幼馴染よ。」

「おやー。その割には顔が赤いけどー。」

二人が綾乃をいじっているが私は気になることがあった。

「逆に二人って付き合ってなかったんだね。」

ずっとに一緒にいるからてっきり付き合っているものだと思っていた。

「はあ?何言ってるのよ咲。あんなやつと付き合うわけないでしょ。」

「でもその割には仲良しだと思うけど。それにこの前も二人でお出かけしてたし。」

「そ、それはたまたま暇だったから一緒に行ってあげただけで私が行きたかったとかじゃないんだから。」

明らかに早口になってるし顔は真っ赤だしで綾乃はすごく分かりやすい。これが俗に言うツンデレと言うやつなのかも。

「もう私の話はいいでしょ。次は柳さんの番よ。」

こうして次は柳さんの番になった。柳さんは普段大人しくくて儚げな感じだけど好きな人とかいるのだろうか。

「えっとここで言うの恥ずかしかな。」

柳さんはもじもじしながら私の方をチラッと見てくる。

「いや柳さんの好きな人はもう分かってるから大丈夫だよ。」

「確かにね。じゃあ次行きましょうか。」

二人がそう言ってサラッと流そうとするが私は慌てて止める。

「ちょっと待ってよ。私知らないんだけどなんで二人とも知ってるの?」

「それはまあ、見てればねえ。」

「咲ちゃんは知らなくて大丈夫だよ。」

二人はにやけるが私も柳さんの好きな人を知りたかった。

「もしかして私に知られたくない人とか?」

「そのなんというか日野さんには言えないというか。」

私は柳さんに聞くが柳さんはもじもじして何も答えてくれず綾乃とひまりは呆れた目で私を見てくる。

「まあとりあえず次は咲ちゃんの番だよ。」

結局私だけがわからずに少しモヤモヤしたがとりあえず答えることにした。

「好きな人はいるよ。誰かは言えないけど。」

私が頬を赤らめながらそう言うとひまりと柳さんが明らかに動揺する。

綾香は動揺する二人を見てニヤニヤしていた。

「二人とも大丈夫?」

「う、うん。急だからびっくりしちゃっただけだよ。」

ひまりはすぐに元の表情に戻ったが柳さんは私に質問責めをしてくる。

「ねえ、好きな人って誰?いつのまにできたの?」

「えっとそれは言えないかな。」

「もしかして浅野さんとか?」

その言葉に私は少し動揺する。

動揺した私を二人は見逃さずに二人に質問責めされ綾乃はまるで部外者のように見ていた。

「本当咲ってば天然たらしなんだから。」

綾乃は呆れながら言うがその言葉は咲には聞こえなかった。

流石にみんなの前で蜜柑が好きと言うのはまだ恥ずかしかった。それにみんなだって名前までは教えてくれなかったんだしいいよね。

そこからはそれぞれの恋の悩みなどを話したりしていた。

私達がそんな感じで盛り上がっているとちょうどチャイムが鳴り体育の時間が終わった。

「あー、チャイム鳴ったし、教室戻ろっか。」

「そうね。もう疲れたわ。」

柳さんだけ少し納得のいってないようだったがとりあえず好きな人がバレることはなくよかった。それでも恋バナは面白いし次もやってもいいかな。   







体育が終わった後は私達はご飯を食べながらいつものように雑談していた。

「それで柳ちゃんのダンスは進歩したんか?」

「まあちょっとずつ良くはなってるわね。」

「体育祭までには間に合うとは思うよ。」

私達は体育祭の話で盛り上がっていたがそう言えば体操着を更衣室に置いたままなのを思い出した。

「ごめん。忘れ物したからすぐ取ってくるね。」

「咲ってば少し抜けてるわね。」

「気をつけてな。」

私はそう言って急いで更衣室に向かう。



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