危機
はあ、今日はとっても楽しい一日だ。咲と一緒に祭りを回れて楽しかった。桜を見てライブを見たりご飯を食べたりしてとても楽しかった。この後は午後の部のイベントを楽しんで帰ったらゲームでもしようかな。私は今日が楽しくて仕方なかった。この景色も咲がいたからこそ見れたんだ。
「咲、受付に着いたよ。早く行こう。ってあれ?」
私が後ろを見るとそこには咲の姿はなかった。少し前までは確実にいた。柳さんも咲がいないことに気づいたのか顔を真っ青にしていた。もしかしたら不審者に連れて行かれたのかもしれない。私は吐きそうになった。何故私はこうも甘いのか。もっと咲の隣にいるべきだった。守っていると思っていたがこれでは足りなかった。こうなったら咲が何かされる前に早く見つけ出さないといけない。
「柳さん、手分けして探そう。まだ遠くには行ってないはずだから。」
「うん。その前に私はお父さんと緑に電話して、ボディーガードの数を増やすね。」
「分かった。お互い見つかったらすぐ連絡だからね。」
私も一応霞先生と椿に咲がいなくなっことをLINEで伝える。二人ならすぐに駆けつけてくれるだろう。
柳さんと二手に別れ、私は人混みを掻き分けて咲を探しに行く。私はもう二度と咲を悲しませないようにするって誓ったはずなのに、結局こうなってしまった。昔、私を救ってくれた私の一番大好きな人。私は自分の不甲斐なさに腹を立たせながら、咲が酷い目に遭う前に絶対に助けると心に誓った。
私は男達に攫われて倉庫のような所に連れてこられた。倉庫の中は真っ暗で怖かった。何故こんなところに閉じ込められないといけないのか。
「よー。久しぶりだな。今度は逃げらなれねえからな。大声を出したってここじゃ聞こえないから無駄な抵抗もするんじゃねえぞ。」
そう言って男たちの一人が私に話しかける。最初は誰かわからなかったがよく見ると、ショッピングモールで私にナンパして来た人達だ。もしかしてこの前に私が逃げたから仕返ししに来たのだろうか。
「どうして私の場所が分かったですか?」
まさか私をピンポイントで攫ったというのか。そんなこと出来るのだろうか。私が質問すると集団の一人が前に出てくる。
「俺はお前が逃げた時からずっと苛立ってんだよ。だからずっとお前を痛い目にあわすと心に決めたんだよ。だからずっとお前の学校で待ち伏せしてたんだが、警察が多くて近づけなかったんだよ。」
男がキレていると今度はメガネの男が話しかけて来た。
「ああ、だが祭りなら人が多くて警察も撒けるからな。」
「でも祭って今日だけじゃないですよね?」
この桜祭は数日間開催してるからなんで私がいると分かったのだろう。
「それはな、いつも学校周りにいるはずの警察が今日だけいなかったからな。そして祭の方を見てみるといつも学校にいるはずの警察が祭にいたからな。」
なるほど、このメガネの男は他の男より頭がキレるようだ。それにしてもこの数だと無理やり暴れても逃げれそうにはない。それにここは人が来ないだろうし助けを呼ぶのも絶望的だった。
「それで私になにするつもりですか?」
私は怖くて仕方ないが頑張って男たちを睨みつけた。何とか時間を稼げば蜜柑か柳さんが助けに来てくれるかもしれない。私はその僅かな可能性に賭ける。
「ふん。その生意気な顔が堕ちる姿が早く見たいぜ。」
男はそう言って私の服を脱がそうとする。私はもう限界に近かった。気持ち悪い。何故私はずっとこんな酷い目に遭わないといけないのか。
男は私の服を脱がそうとするが私は抵抗し続ける。絶対にこの人たちの言いなりにはならない。
「オラ!抵抗すんなや。」
今までの私ならもう無理だった。でもこれ以上蜜柑に迷惑はかけたくない。私は絶対に屈さない。まだ可能性はある。
「嫌です。私は貴方達のような人が一番嫌いなので。」
「そう言うのが一番うぜえんだよ!女は大人しく従っておけらいいんだよ!」
男はカッターを取り出して私の服を無理やり破った。服の布が破けて肌が露出する。
それでも私は諦めなかった。
「あなた達って可哀想ですよね。」
「はあ?」
「だって女の子を無理やり襲うことしかできないんですから。モテないからって流石に頭が悪いですよ。」
私は必死に男を煽った。
「ああん!うっせえ女は黙ってろ!」
キレた男は私に拳で殴りかかる。
私は恐怖のあまり目を閉じたがその拳が私に当たることはなかった。
「貴方達、流石に度が過ぎてますよ。よくも好き勝手してくれましたね。この不審者どもが。」
「女の子相手にサイテー。私の咲に触らないで。」
そこにいたのは緑さんと蜜柑だった。私は我慢していた涙が一斉に溢れた。私は一番に蜜柑の顔が見たかった。
「どうしてここがわかった?」
メガネの男の質問に蜜柑が答えた。
「それは咲のおかげだよ。私が森の方に行くと、咲のスマホが落ちてて、その後にハンカチが落ちてて、順々に辿っていったからここに着いたんだ。」
そう、私はこの時のために道標を作っていたのだ。もちろん祭りで人が多いからあまり役に立たないかもだけど蜜柑なら気づいてくれると信じていた。
「だがお前ら二人が来たところでどうかな。こっちは六人いるぜ。」
男達は一斉に遅いかかるが緑さんは一人で全員をいなした。
「ふむ。その程度ですか。それに助っ人は二人だけじゃありませんよ?」
翠さんがそう言うと、一気に警察が入ってきてあっという間に男達を取り押さえた。
「不審者を発見。直ちに確保せよ。」
「くそ、はなせよてめえら。この、覚悟しとけよ。」
「後の処理は私がしておきますので浅野さんは日野さんを運んでください。」
「うん、任せてください。ほら、私が運ぶから乗って。」
蜜柑は私をおんぶして小屋を出る。小屋を出た瞬間、私は泣きながら蜜柑に抱きついた。
「怖かったよ、蜜柑。蜜柑が来てくれて本当に良かった。」
「私こそごめん。咲を守るって決めたのに、結局咲を傷つけて。」
蜜柑も泣きながら私を抱きしめる。
「蜜柑は悪くないよ。ありがとう蜜柑。これからもずっと一緒にいて。」
「うん。これからも私はずっと咲の隣にいるよ。」
私と蜜柑は手を繋いで呼吸する。本当に蜜柑には感謝してる。初めて会った時から今日まで蜜柑がいたからこの生活は幸せだった。蜜柑に会えて本当に良かった。
お互いに落ち着いて来たので柳さん達のところに戻ることにした。
服が破けて肌が見えてたから蜜柑が上着を被せてくれた。私達は手を握ったままゆっくりと歩いていく。
「それにしても綺麗な桜だね。」
私は綺麗に舞っている桜を見る。ひらひらと薄いピンクの花びらが舞っていてとても綺麗だった。
「うん、今日はとっても楽しかったよ。また来年も行こう。」
「もちろんだよ。来年も再来年も何回でも行くよ。」
私はずっと蜜柑と一緒にいたい。
私達が戻るとそこには柳さんと緑さんがいた。柳さんは私を見つけるとものすごい勢いで私に抱きついた。
「よかった。日野さんが無事で。私ずっと心配だったの。」
「柳さんもありがとう。心配させてごめんね。」
柳さんにまで迷惑かけてしまって申し訳なくなる。もちろん私が悪くないというのはわかってるのだがそれでも少し気が引ける。
「日野さんがいないって気づいた時私もうダメかと思ったの。だから私は自分のやれることを最大限やったよ。」
そう言って柳さんは涙目になる。私って愛されてるな。
「ええ。だから突然泣きながら私に電話して来た時は何事かと思いましたよ。動かせる人は全て動かしましたからね。とりあえず日野さんが無事で本当に良かったです。」
「緑さんも助けて頂いて本当にありがとうございます。」
「いえ、お礼なら柳お嬢様に言ってください。」
「いや本当に柳さんがいないと終わってたかもしれないから本当に助かったよ。まさか柳さんのお父さんが警察庁長官だとは思わなかったよ。」
今蜜柑がとんでもないことを言った気がする。
「えっ!柳さんのお父さんってそんなすごい人なの?」
「うん。役にたててよかった。」
柳さんはとってもニコニコだがとんでもないことを言ってる気がする。ということは、学校の周りに警察がたくさんいたのも、今日の祭の警備がやたらと多いと思ったのも全て柳さんが手配していたのか。霞先生のコネの意味が分かった気がする。
それにしても本当に柳さんと緑さんには本当に迷惑をかけた。今度何かお礼をしたい。
「本当はもっと遊びたいけど疲れたし今日はもう帰るね。何より咲をこの格好のままにさせる訳には行かないから。」
「それなら車で送っていくよ。」
私達は柳さんの車で送ってもらうことにした。
私達は寮に戻るととりあえず服を着て、その後ベットに飛び込んだ。
今日一日を振り返ってみる。
蜜柑が私を助けてくれた時、私はとっても安定した。今まで蜜柑を見ている時、私はドキドキすることがあったけど今日の件で分かった気がする。蜜柑と一緒にいるとポカポカした気分になれる。蜜柑といると安心する。この気持ちは間違い。
私、蜜柑のことが好きだ。




